奈良県奈良市で開業している行政書士・藤本忠相さん。
4年前の2015年9月にも、この士業インタビューにご登場いただいています。
当時は藤本さんの活動を、3本柱でお話しいただきました。
・時代に伴って増えてきつつあった、相続案件を獲得するための方法
・これもまた増えつつあった、財産管理・死後事務契約など任意後見の案件を獲得するための方法…etc
現在、藤本さんの事業は、建設業の許認可から、相続や任意後見に大きくシフトしています。
また、当時は複数の職員がいる個人事務所でしたが、
今は他の行政書士を含めて多くの職員を抱える「さくら行政書士法人」に。
この5年間で、たいへんな飛躍です。
たしかにこういう時代ですから、相続や任意後見の案件が増えていることはわかる。
でも、その案件をしっかり「計画的に」獲得できているのはなぜ?
5年経って藤本さんの活動をさらに詳しくお尋ねしたところ、
当時と同じように細かく、またアップデートした情報まで、惜しげなく具体的にお話しくださいました。
新しく訪れた令和の時代。
行政書士のみならず、税理士、司法書士、弁護士、
また「これから積極的に相続案件に関わりたい」と考える中小企業診断士や保険営業、FPの方々も必読です。
みなさん、じっくり読んで、バンバン真似してくださいね。
いつものように5回連載でお届けします。聞き手はネクストフェイズ編集部ですが、
取材に同席していたネクストフェイズ代表・東川もときどき発言しています。
●藤本忠相さんプロフィールはこちら
藤本忠相行政書士インタビュー(全5回)
「計画的に、相続案件を獲得できますか?」
【もくじ】
1/相続案件は、「計画的に」獲得できる。なぜなら…
2/第1段階の営業:相続話が集まる地域包括支援センターへのアプローチ方法
3/第2段階の営業:高齢者との相続話は1時間を限度に
4/相続手続き報酬の決め方、相場より高い料金でも払う理由
5/士業が相続の「営業」に無理なく出ていけるコツ
第3回 第2段階の営業:高齢者との相続話は1時間を限度に
藤本 はい、第2段階の営業ですよね。高齢者と話すときには、コツがあるんです。まず、ジェスチャーを大きめにします。
―― ジェスチャーを。
藤本 こちらが普段通りの相談のような対応をすると、「自分に無関心なのかな」「自分の話を聞いてくれているのかな」と不安になられます。高齢者はよく見ていらっしゃいますよ。「自分の話にどんな反応をしたのか」って。
―― そうなんですね。
藤本 「自分の話を聞いてほしい」というニーズが、私たちの世代よりも圧倒的に高いと感じます。「死に近づいていく自分の気持ちを理解してほしい」ということでしょう。「今までこんな仕事、こんなご苦労をなさった」「こんなに頑張ってこられた」といったことを「すごいですね」と、ジェスチャーを大きめに、そして笑顔で耳を傾けること。これが一番のポイントです。
―― 笑顔も忘れず。
藤本 高齢者に安心感を持っていただけて、信頼関係を短時間で築くことができますよ。
―― ほかには。
藤本 高齢者と話をするときは、1時間が限界です。長く話していると、冒頭で話したことを忘れてしまわれることがあるので。だから時間は大事にしましょう。
―― 1時間で話が終わらなかったときは。
藤本 1時間でいったんおいとまします。「また来てください」と言われればそれでよいので。その後1回でも2回でも、声をかけていただけるなら通います。でも7割くらいは、訪問1回で契約に至りますよ。
―― 服装は。
藤本 スーツです。実は5年以上前、3億円の資産家に契約をお願いしに行きましたが、断られたんです。夏で、僕は半袖シャツにネクタイでした。それが信頼されるに足りなかった理由だと考えています。僕のトラウマです。今、僕、半袖シャツ持っていません。夏も長袖。
―― 藤本さんがいつもきちんとした格好なのはそういう理由があったんですね。話運びのコツは。
藤本 契約しなかった場合、その後に訪れる「差」がどれだけ大きいかを、かならずお話しします。というのも、実は近ごろの相続のキーワードに、「役割分担」というのがありまして。
―― 役割分担?
藤本 自分たちでできる手続きは自分たちで、難しいところだけは専門家に頼もう、という役割分担を考えるご家族が少しずつ増えています。銀行や証券会社、また車の手続きくらいなら自分でやってみようかなと。これはご家族のなかでも、奥さまより、むしろお子さんたちに多い傾向ですね。ネットにもたくさん情報がありますし。ただ…。
―― ただ?
藤本 相続は、やり直しがきかないんです。それはいつもお伝えします。たとえば証券でも車でも家でもいいんですが、お子さんが相続して名義変更をした、でも後になって「やっぱり要らない、お母さんもらってよ」はNGです。いったんお子さんが相続したのですから、次は贈与になります。
―― 相続や贈与などになると、税金の申告も面倒そうです。
藤本 はい、私たちに任せていただければ提携税理士がその任に当たりますし、相続はやり直しがきかないことも含めて、お任せいただく方が最終的に安心ですよ、費用対効果を考えてみましょうとお話しすると、たいてい契約に至るんですが…。
●「報酬の値引きを交渉されると消耗しますよね、値引き交渉を避ける料金表の作り方、ちゃんとありますよ」
(藤本さん)
相続手続きの報酬、値引き交渉を避ける料金表
―― 相続とは、人生設計。
藤本 多くのご家族は、相続は単なる手続きだと考えておられます。手続きだから、作業だから、値引きしてほしいという要望も出てきやすい。ところが。
―― ところが。
藤本 ほとんどの場合は配偶者、とくに奥さまと、そしてお子さん方が残ります。その方々は、これからも生きていかなくてはならない。奥さまの人生をお子さんたちがサポートすることになる、そこに私たちも専門家としての知識や法律面などで協力できますよとお伝えするんです。
―― 残された家族の、今後の人生。
藤本 はい、「今回の相続は、お母さんの今後の人生を、私たちと一緒にどうサポートしようか考えるきっかけなんです」とお伝えします。するとですね…。
―― はい。
藤本 相続の仕事だけで終わらないんです。
―― ほう。
藤本 たとえば奥さまの遺言書、後見、家族信託といったご提案をすることもできるし、逆にお子さんから「母の遺言書も今のうちに…」という相談をいただくこともあります。1回の相続のお仕事から、いろんな家族員の人生設計をさせていただける機会になるんですね。
―― ひとつの相続をきっかけに。
藤本 しかしそれは、「相続は、残された方々の人生設計を考える機会」とご理解いただけた場合です。「相続=単なる手続き」というお考えを崩さないご家族もいらっしゃいますし、その場合はすぐに値引き交渉をされます。
―― たとえば「車の手続きは、息子の僕が担当する」とか。
藤本 そこで料金表の作り方が肝心になってきます。僕も昔、失敗例がありまして。証書作って○万円、自動車なら○万円とか、内訳を細かく書くと料金に根拠が出て信頼感が増すだろうと思ったんです。しかし実際にお出ししたら、「これ要らない」「これも」「これも」とバンバン斜線を引かれて。
―― 今の料金表は。
藤本 オプションや別途料金はご用意・ご案内していますが、証書作成など多くの作業を含めた、コミコミの料金表にしています。
―― いわば、「相続は単なる手続きじゃない」と宣言する料金表。
藤本 そのとおりです。相続に携わる専門家の側が細かい料金表を作ると、自ら「相続は手間仕事だ」と言っているようなものです。自分の仕事を卑下して、自分の首を絞めているんです。
―― 料金表を見せるとき藤本さんは。
藤本 最初にかならず言うことがあります。「相続は、単なる手続きではありません」、「これから家族が一致団結するお手伝いをするために、私は今日来ました」と。
―― 自分は手続き屋さんじゃないと。
藤本 そうです、「人生設計の相談ができる相手だ」と思っていただけるんです。
―― 最初に宣言。
藤本 次に「私の周りには、税理士や司法書士など多くの専門家、また不動産屋さん、遺品整理屋さん、保険営業さん、葬儀屋さんなど多くの仲間がいますので、丸ごとお任せいただけます、どうぞご安心ください」とお話しします。すると、別の相続相談を持ちかけられることも少なくないんですよ。
―― それでも値引き交渉されるケースは。
藤本 そのときは僕も割り切って、リアルに数字の話を詰めていきます。
―― 藤本さんの料金は、あの、相場というか、一般的なものと比べると…。
藤本 安くはないと思います。
―― 契約者にとって、そこは問題になりそうです。
藤本 いえいえ、そんなことないです。全然違うんですよ。
(みんなが気になる料金の話になってきました。第4回に続きます)
第3回まとめ
●第2段階の営業先=高齢者と話すときは、笑顔で、ジェスチャー大きめに
●話は1時間以内に切り上げる、1時間で終わらなければいったん引き上げる
●料金表をコミコミ価格にすると値切りされにくい
●「相続は手続きではなく、今後の人生設計」とご理解いただく
藤本忠相行政書士インタビュー(全5回)
「計画的に、相続案件を獲得できますか?」
【もくじ】
1/相続案件は、「計画的に」獲得できる。なぜなら…
2/第1段階の営業:相続話が集まる地域包括支援センターへのアプローチ方法
3/第2段階の営業:高齢者との相続話は1時間を限度に
4/相続手続き報酬の決め方、相場より高い料金でも払う理由
5/士業が相続の「営業」に無理なく出ていけるコツ
「コロナショック後」の【相続案件獲得入門セミナー】詳細
藤本さんの相続案件獲得の営業ノウハウを学べるセミナーを開催します。
セミナーの詳細は以下の通りです。
(1)日時・会場
【大阪】サニーストンホテル<江坂>北館
・2020/7/17(金)14:00-17:00
・2020/7/18(土)14:00-17:00
【東京】DAYS赤坂見附
・2020/7/31(金)14:00-17:00
・2020/8/1(土)14:00-17:00
※4日程とも同じ内容です。ご都合のよい日時をお選びください
(2)定員・受講料
●各回 25名
●6,500円+消費税
(3)セミナー内容
●コロナショック後の相続案件の獲得方法
●相続案件って、「計画的に」獲得できますか?
●相続案件が発生する場所は、12ヶ所もある
●相続案件獲得には【第1営業】と【第2営業】がある
●介護事業所への有効なアプローチ
●こんな相談者には注意
●値切られない&信頼される!料金表の見せ方と説明法
●質疑応答
(4)講師紹介
藤本 忠相(ふじもと・ただすけ)
行政書士/さくら行政書士法人代表社員
●2004年、独立開業。当初は建設業等の許認可を中心に顧問数を増やすが、相続や遺言、任意後見など高齢者からの要望が高まり、誠実に応えてきた。2016年「さくら行政書士法人」として法人化、現在は3名の行政書士を抱える奈良県奈良市の本店および近鉄奈良支店を率いる代表社員として奮闘中。年間の相続相談件数は300件超、サポート実績は100件を超える。
●講師からのメッセージ
「相続や遺言は、みなさん人生をかけて相談に来られます。単なる手続きではありません。相談者の、言葉にできない想いを理解し共有したいんです」
(5)申込方法
下記ページの「お申込みフォーム」に必要事項を記入し、送信ボタンを押してください。
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