- 2020-7-22
- 士業インタビュー
- インタビュー, 中小・零細企業のM&A, 中小企業診断士, 事業承継, 士業のキャリア, 士業のビジネスモデル
東京都港区・株式会社つながりバンクに勤務するシニアM&Aアドバイザー、
白石直之中小企業診断士。
株式会社つながりバンクは、小規模のM&Aに特化した、
仲介・アドバイザリー業務をメインとしながら、中小企業の課題解決に取り組む会社です。
白石さんは2017年に入社、
年間で約10件ものスモールM&A(中小・零細企業のM&A)を手がけるという、
業界では破格のスピードで、経験とノウハウを積み重ねています。
「株式会社つながりバンク」と聞いて、ご記憶の読者もおられるでしょう。
そう、株式会社つながりバンクとは、
2019年にこの取材に応じてくださった齋藤由紀夫さんの会社です。
白石さんは、2017年に中小企業診断士として独立。
当初は融資や補助金をメインに考えていましたが、
同年、齋藤さんのスモールM&Aセミナーに出会って、完全に路線替えします。
白石さんの話をお聞きしながら、
ひとりの中小企業診断士としてのキャリア、
そして「スモールM&A」ならではの仕事の手応えが見えてきました。
白石さんと同じ中小企業診断士、
もちろん公認会計士や税理士、弁護士、司法書士、
さらに建設業と縁の深い行政書士、
法人との結びつきを強くしたい保険営業など、
それぞれの資格・職業の強みや立場から参画できる「スモールM&A」。
コロナショック後に変化しつつある業界事情も含め、
多くの士業・コンサルタントにとって参考になるお話です。
いつものように5回連載でお届けします。聞き手はネクストフェイズ編集部ですが、
取材に同席していたネクストフェイズ代表・東川もときどき発言しています。
●白石直之中小企業診断士プロフィールはこちら
白石直之中小企業診断士インタビュー(全5回)
「士業にスモールM&Aへの参画をすすめる理由は?」
【もくじ】
1/スモールM&A業務のメリットが大きくて路線変更
2/ひとりで抱え込まず、他士業との連携でスモールM&A
3/スモールM&Aを入り口に、他の業務の依頼が入る
4/コロナ事情、再生型M&A、実務寄り…【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020
5/需要は高いのに人が足りない、それが「スモールM&Aアドバイザー」
第3回 スモールM&Aを入り口に、他の業務の依頼が入る
―― しかし今はもう。
白石 ほとんど手がけていません。ほか、CFOになってほしいとの依頼もありました。
―― CFOって!
白石 それも結局、出資先開拓と融資サポートだったんですけどね。「KPI設定や融資、要するに資金調達全般をちょっと手伝ってほしいんだけれど、肩書があった方が動きやすいでしょう」とのことで、一時的にその企業のCFOとして動いていたこともありました。
―― ほかにスモールM&Aをしながら、別件の依頼は。
白石 実は今、少数株式の買取サービスも行っているんです。会社のプロフィールページにも「株式100%化コンサルティング(少数株主との折衝)」と記載しました。
―― どんな経緯で。
白石 これも、「M&Aに近いからやれるよね?」って言われて。でもM&Aより、さらにニッチなんですよ。ひとりでは対応しきれないので、M&Aを介して知り合った弁護士や、交渉のプロと新しくサービスを作りました。
―― 少し説明していただけますか。
白石 一般的な話をしますと、少数株式って、たいていオーナーの家族とか親戚とかが保有しています。たくさんではなく数株持っている程度なんですが、たとえば事業承継のときにオーナーが親族外に替わると、少数株主は現金化したがります。でも会社にそんな余裕はない。満足のいく単価は出せないし、コンサルタントに依頼したら、単価の半分近くのフィーを取られます。
―― (ふむふむ)
白石 そもそも、この少数株式の買取サービスを提供しているところがほとんどない。弁護士事務所さんくらいでしょうか。ところが株単価が非常に安くなってしまう。そこで、「いったんM&Aとして他者・他社に買い取ってもらいましょう」と。M&Aならある程度の単価が出せて、少数株主にも現金を渡すことができる、というスキームを作ったんです。
―― 少数株主、買い手側、両者に喜ばれそうです。
白石 はい、おかげさまで、依頼は順調です。
●「スモールM&Aの仕事をしていると、アイデアがどんどん湧いて、人とのつながりも広がり、
自分でも起業したくなります。スモールM&Aアドバイザーって、どの職種よりも、
いちばん起業しやすい立場じゃないかなあ…」(白石さん)
サイト、メールマガジン、YouTube…スモールM&Aの情報源は多彩
白石 売り手社長からいただいたペンです。契約時に100円ペンを出してしまったので、いいものをプレゼントでいただきました。
東川 ちょっと恥ずかしい(笑)。
白石 さらに恥の上塗りになりますが…。社判を押すときの朱肉、弊社の代表もあんまり気にしなくて、コンビニで売ってるようなものを出したんですけど、それを見かねて立派な朱肉を1セットいただきました。
東川 僕、前に金融機関で働いていたとき、不動産取引によく立ち会いました。で、お金貸すときって僕ら銀行員は売り手や買い手の事務所まで行って、書類確認して、司法書士の先生がOKって言ったら振り込んだり小切手渡したりするんです。そこで僕が普段持ち歩いているプラスチックの朱肉を出したら、取引先に怒られて。
白石 怒るんですか。
東川 「億単位の取引をするのに、なんやこの安っぽい朱肉は」みたいなこと言う人、いてはるよ。
白石 僕、怒られなくてよかったです…。
●白石さん愛用のディプロマットのペンと、高級感のある朱肉と捺印マットのセット。どちらも取引先にいただいたもの
白石 エクセルのピボットは必須です。これがないと総勘定元帳をみることができませんから。
―― エクセルにこんな機能があるとは知りませんでした。ほか、よく見る情報サイトは?
白石 M&Aについてだと、山田コンサルティンググループ株式会社さんでしょうか。近ごろは不動産M&Aなども、節税面も含めて手堅い手法で携わっておられるんですよ。しっかりした作りのサイトだと思います。
―― ほかには。
白石 M&Aとは関係ありませんが、中小企業庁のメールマガジンは、タイムリーに補助金などのお知らせが来るので、登録しておくと便利ですよ。私は社長との話のネタによく利用させていただいています。
―― 話題づくりに。
白石 「今度こんな補助金が始まりますね」とか、「税理士にこれ詳しく聞いておくといいですよ」とか。新型コロナ融資の対象になるとわかった企業には、資金繰り表とかの資料のフォームぐらいは私も手元にあるのでお送りし、「この部分を埋めて相談に行ってみては」といった助言くらいでしょうか。
―― ほかの情報源は。
白石 いいなと思うのは、フランチャイズチャンネル。動画もよくできていて、見るだけでも面白いです。
―― 情報源としてYouTubeをおすすめいただいたのは初めてです。
白石 今、増えていますしね。M&A系も、YouTuberがちょっとずつ出てきていますよ。そうだ、M&A系なら、建設M&Aチャンネルもいいですよ。
東川 建設とくれば、行政書士が強いやろなあ。ぜひ一度見てみてほしい。
白石 僕もやりたいと思っているんですよ、業界特化。ひとつの業界にフォーカスしたYouTubeチャンネルを作って…。
東川 情報が集まってくるようになるよね、M&Aで業界特化すると。専門化すると強い。
白石 その点は僕もセミナーで強くお話ししたいところです。ほかにも、今回のセミナーでは…。
(白石さんならではのセミナーの特色は? 第4回に続く)
白石直之中小企業診断士インタビュー(全5回)
「士業にスモールM&Aへの参画をすすめる理由は?」
【もくじ】
1/スモールM&A業務のメリットが大きくて路線変更
2/ひとりで抱え込まず、他士業との連携でスモールM&A
3/スモールM&Aを入り口に、他の業務の依頼が入る
4/コロナ事情、再生型M&A、実務寄り…【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020
5/需要は高いのに人が足りない、それが「スモールM&Aアドバイザー」
白石直之中小企業診断士による【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020を開催
今回の取材で話していただいたスモールM&Aについて、実務テクニックはもちろん、歴史から現在のマーケット傾向まで、最新の実例を交えてお話しします。
2019年の齋藤氏による同セミナーも好評でしたが、今回はとくに「コロナショック後」に増加しつつある再生型M&Aについて、また気になる「実務」についても、時間を割いてご説明くださるとのこと。
もちろん質問のための時間も設けていますので、気になること、深く知りたいことなど、何でも気軽にご相談ください。
●日時・会場
2020年8月21日(金) 14:00〜17:00 サニーストンホテル<江坂>北館
2020年8月22日(土) 14:00〜17:00 サニーストンホテル<江坂>北館
2020年8月28日(金) 14:00〜17:00 DAYS赤坂見附
2020年8月29日(土) 14:00〜17:00 DAYS赤坂見附
●定員 各回 25名
●受講料 6,500円(税別)
●お申し込みは下記からどうぞ↓
※白石さんの言葉もこちらから読めます