- 2020-7-27
- 士業インタビュー
- インタビュー, 中小・零細企業のM&A, 中小企業診断士, 事業承継, 士業のキャリア, 士業のビジネスモデル
東京都港区・株式会社つながりバンクに勤務するシニアM&Aアドバイザー、
白石直之中小企業診断士。
株式会社つながりバンクは、小規模のM&Aに特化した、
仲介・アドバイザリー業務をメインとしながら、中小企業の課題解決に取り組む会社です。
白石さんは2017年に入社、
年間で約10件ものスモールM&A(中小・零細企業のM&A)を手がけるという、
業界では破格のスピードで、経験とノウハウを積み重ねています。
「株式会社つながりバンク」と聞いて、ご記憶の読者もおられるでしょう。
そう、株式会社つながりバンクとは、
2019年にこの取材に応じてくださった齋藤由紀夫さんの会社です。
白石さんは、2017年に中小企業診断士として独立。
当初は融資や補助金をメインに考えていましたが、
同年、齋藤さんのスモールM&Aセミナーに出会って、完全に路線替えします。
白石さんの話をお聞きしながら、
ひとりの中小企業診断士としてのキャリア、
そして「スモールM&A」ならではの仕事の手応えが見えてきました。
白石さんと同じ中小企業診断士、
もちろん公認会計士や税理士、弁護士、司法書士、
さらに建設業と縁の深い行政書士、
法人との結びつきを強くしたい保険営業など、
それぞれの資格・職業の強みや立場から参画できる「スモールM&A」。
コロナショック後に変化しつつある業界事情も含め、
多くの士業・コンサルタントにとって参考になるお話です。
いつものように5回連載でお届けします。聞き手はネクストフェイズ編集部ですが、
取材に同席していたネクストフェイズ代表・東川もときどき発言しています。
●白石直之中小企業診断士プロフィールはこちら
白石直之中小企業診断士インタビュー(全5回)
「士業にスモールM&Aへの参画をすすめる理由は?」
【もくじ】
1/スモールM&A業務のメリットが大きくて路線変更
2/ひとりで抱え込まず、他士業との連携でスモールM&A
3/スモールM&Aを入り口に、他の業務の依頼が入る
4/コロナ事情、再生型M&A、実務寄り…【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020
5/需要は高いのに人が足りない、それが「スモールM&Aアドバイザー」
第4回 コロナ事情、再生型M&A、実務寄り…
【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020
白石 いちばんの違いは、「コロナショック後の」最新情報をお伝えできることです。
―― かなり状況は変わりましたか。
白石 変化する業界と、そうでない業界があるんです。たとえばメーカーは、短期的には運送の問題で売上低下していますが、受注は維持されているとよく聞きます。短期的な資金繰りは悪くなっても、戻る見込みが大きそうです。
―― ほかには。
白石 詳細はセミナーでお話ししますが、新生活様式、ニューノーマルに即した製品やサービスはもちろん、この変化に対応する企業は、業界に限らずいい方向に進んでいるようです。
―― 買い手の数は?
白石 新型コロナの影響で、さすがに減りました。
東川 第2波以降を考えると、今はリスキーと考える人もおるやろね。でも逆に言うと、今こそ第2波を見込んでビジネスモデル作っておいたら正味な話、安くつくって話やん。仕込みの時期というか、ナンピン買いみたいなモンで。
白石 おっしゃるとおりで、今こそチャンスと見る熱心な買い手がいらっしゃいます。「今なら安く買える」と考える、「再生案件への理解がある買い手」が増えているんですよ。
―― 再生案件?
白石 はい、実は今、リスケ中など、実質的に経営破綻している企業、いわゆるゾンビ企業の倒産や譲渡が増えています。
東川 しかし中小企業金融円滑化法は終わったけど、今回のコロナでわからんようになったからね。今やったら、リスケを希望したら通る企業も多いんちゃうかな。
白石 たしかに新型コロナ融資のおかげでリスケが通りやすく、復活するところも出てきそうです。が、一方これまで世間体があり、カッコ悪くて倒産・廃業できなかったけれど、コロナを理由に…という企業も出てきているんですよ。
東川 つまり同じM&Aでも…。
白石 はい、再生型M&Aが増えてきている手応えがあります。2020年の私のセミナーでは、需要が高まってきている再生型M&Aについて、より多くの時間を割く予定にしています。
●「今まで、MDRTなどの保険営業向けにM&Aについてセミナーを行ったり、
JC(青年会議所)ではM&Aに絡めた、創業など地域興しについてのセミナーも行ったりしています。
今回も受講者にご満足いただける場のために、しっかり内容を練っていますよ」(白石さん)
「実務寄りのセミナーにしたいと考えています」
―― 実務寄り。
白石 はい、今お話ししたように再生型M&Aを行うとなれば、デューデリジェンスなど細かいところをお知らせすることで、受講者のみなさんも安心なさるのではと思うんです。
東川 それは大事な点やね。
白石 また、学ぶだけではなく、知識を試したり…という、少しでも参加感のあるセミナーになるように構成を考え中です。
―― 楽しみです。
白石 M&Aアドバイザーにもいろんなタイプがあって、手がける人によってあれこれ違ってきますしね。
―― たとえば。
白石 今はこちらが主流だと思うんですが、いわゆる「売り手と買い手をマッチングするだけ」のアドバイザー。社長どうしを引き合わせて、「あとは直接どうぞ」と。とくにハワイなど海外の人気案件は、この手の「紹介するだけ」アドバイザーが多いようです。
―― そうなんですか。
白石 しかし直接深いところまでタッチしないので、簿外債務、未払い残業代、退職金積立を見逃したり、役員の辞任届を提出していないなど手続き上の不備があった…なんて話もよく耳にします。
―― それは困る…。
東川 退職金規定をきちんと調べてへん例はあるかもね。以前は人事デューデリなんかせんかった事例が多かったんちゃうかな。もちろん社会保険労務士が入ったら、リスクになりやすいと部分として就業規則とかチェックするやろし、今はそのケースの方が多いと思うけど、
白石 そのほか、買い手への打診数もアドバイザーによって違います。買い手への打診数が多ければ、価格交渉しやすいですよね。譲渡価格に影響してきます。しかし大手M&A企業のアドバイザーだと、もうこれは仕方ないことなんですが、買い手企業がある程度決まってくるので、次の商談を考えると、つい買い手優先になりがちになったりすることもあるんですよ。
―― 逆に、いい例は。
白石 いい例は、その逆ですね。売り手企業の社長の話をじっくりお聞きし、その気持ちを汲み、買い手への打診数が多くて、そして、節税の手法をよくわかっていて…。
―― 経験でしょうか。
白石 場数を踏むのは大事です。
―― では、「これからスモールM&Aやってみようかな」「どんな世界か知ってみたいな」と興味を持った士業・コンサルタントにお伝えしたいことは。
(スモールM&Aを手がける理想的な士業・コンサルタント像は? 第5回に続く)
白石直之中小企業診断士インタビュー(全5回)
「士業にスモールM&Aへの参画をすすめる理由は?」
【もくじ】
1/スモールM&A業務のメリットが大きくて路線変更
2/ひとりで抱え込まず、他士業との連携でスモールM&A
3/スモールM&Aを入り口に、他の業務の依頼が入る
4/コロナ事情、再生型M&A、実務寄り…【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020
5/需要は高いのに人が足りない、それが「スモールM&Aアドバイザー」
白石直之中小企業診断士による【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020を開催
今回の取材で話していただいたスモールM&Aについて、実務テクニックはもちろん、歴史から現在のマーケット傾向まで、最新の実例を交えてお話しします。
2019年の齋藤氏による同セミナーも好評でしたが、今回はとくに「コロナショック後」に増加しつつある再生型M&Aについて、また気になる「実務」についても、時間を割いてご説明くださるとのこと。
もちろん質問のための時間も設けていますので、気になること、深く知りたいことなど、何でも気軽にご相談ください。
●日時・会場
2020年8月21日(金) 14:00〜17:00 サニーストンホテル<江坂>北館
2020年8月22日(土) 14:00〜17:00 サニーストンホテル<江坂>北館
2020年8月28日(金) 14:00〜17:00 DAYS赤坂見附
2020年8月29日(土) 14:00〜17:00 DAYS赤坂見附
●定員 各回 25名
●受講料 6,500円(税別)
●お申し込みは下記からどうぞ↓
※白石さんの言葉もこちらから読めます