- 2015-5-13
- 士業インタビュー
- インタビュー, ネクストフェイズ編集部, 社長対談, 税理士
東京都墨田区で開業している税理士・猪田昭一(いのだ・しょういち)さんは、
独立3年目を迎えた29歳。
そう、まだ20代! しかも、もう独立3年目なんです。
営業は一切しないのに絶賛繁盛中というその理由を中心に、
ネクストフェイズ社長…というか、
今回はむしろ中小企業診断士としてのヒガシカワとご対談いただきました。
ユニークな仕事スタイル、金融機関との関係を作っていく方法、
関与先から融資相談を受けたら税理士的にどうなのとか、
専門家が知っておきたい各種の公的補助金、地域密着主義の貫きかた、
地元の士業ネットワークづくり、次世代を見据えた事業計画…などなど、
会話はまるでジェットコースターのようにスピーディでエキサイティング。
ふたりのお喋りをそばで聞いているような気になれる(ことを目指した)ライブな対談、
今回はたっぷり10回連載でお届けしましょう。
猪田さんが展開する内容の広さと濃さのおかげで、破格の読みごたえですよ。
【もくじ】
第1回 ほとんどの顧客が法人。個人さんは受けません。なぜなら…。
第2回 金融機関にとって「役に立つ」税理士。
第3回 地域の若手士業と、どんどん連携していきます。
第4回 顧客からの融資相談、コツさえつかめば難しくないのに…。
第5回 公的補助金申請のお手伝い、する? しない?
第6回 地場で連携して、この土地から新しいものを。
第7回 自治体訪問時に、みかん置いてきたりして。
第8回 税理士も、クリエイティブに。
第9回 次世代の経営者を育てると、自分も育っていく。
第10回 「すきま」は、つついていると広がる。
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第5回 公的補助金申請のお手伝い、する? しない?
東川 金融機関の情報収集力といえばですね、たとえば経営革新計画 の認定制度があるじゃないですか、あれさえも、ほとんど金融機関知らないんですよね。知っている行員もいるけれど、わずか。人による。つまり、組織としては、手を打ってないんです。
猪田 僕は最近、近くの信金さんとおつきあいが深いんですが、足を運んだりメールをしたりしていると、本部から直接「ちょっと顔出して」って電話がかかってきたり、支店からは「これ、どうしたらいいんですか」って問い合わせが入るようになりました。新しい制度が始まったときにあちらから連絡がもらえるような体制作りは、普段からどうおつきあいしていくか、です。
東川 僕の場合は、新しい制度ができたら、顧客にその情報提供ができるようなFAXシートを作って金融機関にお渡ししています。金融機関さんの名前を入れて。とても喜ばれていますよ。
猪田 支店の手間が一つ減りますもんね。
東川 私が作るFAXシートには、その金融機関の名前、支店名、住所や連絡先など全部入れて、そのシートだけ送るんです。「このまま支店のお客さんにファックスしてあげたら喜ばれますよ」って。税理士が金融機関と仲よくなる方法として、とてもおすすめです。
猪田 僕だと、新しい制度が出たタイミングで営業さんがウチに集金に来たら、そのときに新制度を解説することもあります(笑)。「営業さん、ここポイントだからね」とか言って。「ものづくり補助金 が始まったから、設備投資したいお客さんがいたら、すすめておくといいよ」「そのお客さんが相談したいと言ったら、商工会のアドバイザーとか無料相談にのってくれるところに行ってみたら、って言うんだよ」とか。創業者は、もの補助申請したけど難しかったので。
東川 ものづくり補助金は5月7日で終わりやけども、たぶん今回も第二期ありますよ。
猪田 配分の要望か何かがあるらしいですね。
東川 予算が全然消化しきられへんのでね。去年もそうやったし。たぶん7月か9月ぐらいにまた。
猪田 補助金で僕が一番言うのは、「自分でやる気にならないと、補助金は絶対受からないよ」ということです。「税理士さんたちがうまく書いてくれるならもらえるでしょ」って、いやいや、補助金はモラトリアム法の時代の融資とは違うから。
東川 自分で書かへん人間多いですもん。しゃあないですもん。
猪田 なので、たまに公的制度の中でお手伝いするのは、話を聞いて、じゃあ、この方法で書きましょうという、最初の方向づけ。たとえば、テーマだったら、ここ、と決める。
東川 テーマから相談にのってるんですか。すごいなあ。
猪田 いろいろ考えはあるだろうからとりあえず話は全部聞くけど、文章がブレるからどれにするか決めないと。
東川 僕も仕事柄、事業計画書にはアドバイスします。でも事業計画書をすでに作っているというのが、最低限のスタートライン。もう、イチからのアドバイスはしないと言うてるんですよ。今なんかでも小規模事業社持続化補助金 のセミナーやってますが、そのセミナー後に書類持ってきはる人がいるんで、それに対してのアドバイスはします。が、イチから一緒に考えようというスタンスではありません。そうじゃないと、(報酬と)合わないです。
猪田 僕も今は、補助金のお仕事ほとんど受けてないんです(笑)。し。
東川 それがエエと思いますよ。
猪田 よっぽど、もともとの知り合いとかだったら「まあ、いいよ」って書類の相談受けますけど、まあ、僕自身はもう見ない。提携している専門家に出しますね。
東川 僕も「ちょっと手伝ってほしい」言われたら、知り合いの診断士を紹介します。
猪田 それ、いいですよね。
東川 僕は手いっぱいなので、補助金専門にやっている専門家紹介するからって、全部振ってます。
猪田 大阪には結構いそうですね。
東川 僕自身が診断士やから、診断士の知り合いはたくさんいるんやけど、東京でも大阪でも一緒ですよ。「こんなお客さんいるんやけど、やる?」って独立している専門家に声をかけたら、東京でも大阪でも快く引き受けてくれる人は多いんじゃないかな。
猪田 みなさん結構やりますね。診断士も、営業できる診断士と、できない診断士出てきたので。
東川 営業できる診断士、ほとんど見たことがない(笑)。
猪田 僕は税理士っぽくないってよく言われますけどね。こんなラフな格好でお客さんも行きますから(笑)。
●猪田さんは名刺もユニーク。一度見たら忘れません。遠くから見てもわかります
東川 ステレオタイプじゃ、お客さんつかないですよ。
猪田 ステレオタイプじゃないといえば、僕さっき、提携士業の想定年齢を前後10歳って言ったでしょ。僕がおつきあいする社長の年齢層もそうなんですよ。僕のアドバイスに耳を傾けてくれる社長って、僕の年齢が今年30歳だから、その前後10歳だなって。カッコつけず、ざっくばらんに質問をしてくれるのもその年齢層です。僕、Facebookの返信速度が異常って言われるんですけど、お客様とは全部Facebookとメールでのやりとりなんですよ。電話は鳴りません(笑)。Facebookずっと起動しっぱなし。1日ためると、もう、全然返せない。変わっていますよね。
東川 ええ、とても。あ、ほめ言葉ですよ(笑)。
猪田 Facebookで事業計画書もくるし、会計ソフトのデータも全部くるし、Facebookはもう、インフラです(笑)。
東川 猪田さんって、めっちゃ仕事を楽しんでおられる感じですが、ホントのホンネのところで、独立開業してから苦労したこととか、おありなんじゃないですか。
猪田 うーん、苦労したのは、何だろう。ああそうだ、僕、つらいと思ったときにですね…。
(次回に続きます)
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【もくじ】
第1回 ほとんどの顧客が法人。個人さんは受けません。なぜなら…。
第2回 金融機関にとって「役に立つ」税理士。
第3回 地域の若手士業と、どんどん連携していきます。
第4回 顧客からの融資相談、コツさえつかめば難しくないのに…。
第5回 公的補助金申請のお手伝い、する? しない?
第6回 地場で連携して、この土地から新しいものを。
第7回 自治体訪問時に、みかん置いてきたりして。
第8回 税理士も、クリエイティブに。
第9回 次世代の経営者を育てると、自分も育っていく。
第10回 「すきま」は、つついていると広がる。