- 2024-7-11
- スモールM&A・事業再生
- リスケ, 事業再生, 金融機関とのつきあい方
「格付け」の大元となった金融検査マニュアルは廃止されましたが、金融機関では変わらず格付けを行っています。リスケを行いながら、その格付けを上げていく各プロセスをお知らせしましょう。
こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
先日、ある信用金庫の支店長からこんな話を聞きました。
最近コロナ融資の代位弁済が増えてきました。それだけでなく、リスケの依頼も増えています
リスケの審査上で本部からも細かく聞かれるケースが増え、なかなか以前のように簡単にはリスケを認めてもらえません
「2024年4月以降は融資審査やリスケ審査が厳しくなる」と以前からブログやメールマガジンでネクストフェイズがお伝えしてきたとおり、まさにそれが現実のものになりつつあります。
リスケを認めてもらえなければ、事業者は廃業を選ばざるを得ません。そのような状況を避けるために、経営が厳しい事業者を支援している士業・コンサルタントは、リスケを成功させる知識・ノウハウが必要です。
今日お話しするのはリスケ開始から脱却=正常化までのプロセス、おおむね10年の全体の流れです。リスケを検討している顧客を持つ士業・コンサルタントは、ぜひアドバイス時の参考にしてください。長丁場になることについて、経営者も腹をくくりやすくなるでしょう。
また士業・コンサルタント向けに、小規模企業の事業再生支援・経営改善支援に必要な知識をお伝えする2つの動画をご紹介しましょう。講師は、13年間で180社の事業再生を成功させている再生のプロ、宮内正一さんです。
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※なおネクストフェイズは、事業者への個別アドバイスを行っていません。ご相談のある事業者は、ネクストフェイズが運営する一般社団法人融資コンサルタント協会の会員を検索して気軽に連絡を取ってください。融資の専門研修を受けた融資コンサルタントが、全国に1,000名以上います
リスケ企業を正常化にするための期間
金融機関はリスケ審査を行う際、「5年程度で通常返済に戻す」というシナリオを求めてきがちです。が、現実には、そんな簡単に正常返済に戻すことはとても困難です。
現実的な返済スケジュールは、以下の4つの期間に分かれます。少なくとも10年はかかると心得ておきましょう。
- 1~3年目 抜本的経営改善期
- 3~5年目 少額返済期
- 6~10年目 正常化に向けての返済額増加期
- それ以降 正常化手続き
(1)抜本的経営改善期
リスケ開始1~3年目ぐらいは「抜本的経営改善期」です。
抜本的に経営を立て直す期間で、目標はできるだけ早期の月間収支黒字化。対策としては、①不要資産の売却、②経費の徹底的削減が挙げられます。
この時点では資金繰りが厳しいため、売上を爆発的に増やすような施策を立てるのは非現実的です。売上は減少するか、よくても微増でしょう。
この時期は収支トントン(収支が同じ)に持っていくのがせいぜいの状態。金融機関との交渉で「返済ゼロ」を実現し、地力を養いたいものです。
(2)少額返済期
3~5年目は「少額返済期」です。
それまで3年かけて経営改善を図っているのですから、業績は多少上向いているはずです(希望を込めて)。ここで月間収支が黒字化していないと、金融機関もリスケの継続を認めるわけにはいかないでしょう。
うまく経営改善が進み、キャッシュフローも少ないながらも黒字化していれば、少額での返済を開始してよいと判断できます。
ここでの注意点は、黒字分を全額返済に回さないこと。
キャッシュフローが黒字化していても、返済額は5~10万円ぐらいの少額に抑えましょう。そこで残った資金をプールし、6年目以降の形勢逆転に備えるのです。
なぜならリスケしている間、金融機関は追加融資をしてくれないからです。また、投資をしなければ、業績を急に上げることもできません。
その投資用資金をプールする時期が、この少額返済期です。ここで金融機関からの突き上げに負けて返済額を大幅に増やしてしまうと、いざという時に攻勢をかけることができません。金融機関との交渉は、よりタフに行っていきましょう。
(3)正常化に向けての返済額増加期
6~10年目にかけては、債務を減らすための「返済額増加期」です。
5年かけて経営を立て直すことで、経営者の意識も経営体質も大幅に改善しているでしょう。月間キャッシュフローも増えているはずです。そうなると「増加した収益を返済に回してほしい」と、金融機関から強い要望が出されるでしょう。
しかし返済に回すのは、毎月生み出されるキャッシュフローの半額程度に抑えたいもの。その程度でも、これまでの返済額と比較すれば、金融機関の「返済増額要求」に応えることになります。
たとえ金融機関に強く言われても、この時期でも「いざというとき」のために会社に一定程度のキャッシュは残しておかなければなりません。
金融機関との交渉では、通常返済額の50%程度までに抑えられたら合格点だといえるでしょう。
(4)正常化手続き
6~10年目で返済額を増やすことができれば、10年目には、償還期間が15年程度に収まっているところまで持っていけるでしょう。
そこまでくれば信用保証協会の「経営改善サポート保証」を使って、今の債務を全額、保証協会の保証つき融資で借換えをします。
「経営サポート保証」は最長15年返済ですので、償還期間が15年程度に収まっていれば、ほとんどの場合は対応してもらえると思います。
今のところ経営改善サポート保証(感染症対応型)制度は、2025年12月末まで延長されています。その後たとえこの「経営改善サポート保証(感染症対応型)制度」が終了しても、通常の「経営改善サポート保証」は残りますので心配はいりません。
既存の(通常の)経営改善サポート保証については、各信用保証協会のホームページで内容をご確認ください。例として、神奈川信用保証協会の「経営改善サポート保証」のページを紹介しておきます。
経営改善サポート保証を利用して「正常先」化した事業者に対しては、ほとんどの金融機関が前向きに融資を行う傾向にあります。
リスケを支援する士業・コンサルタントは、リスケ企業が格付けを正常化するには10年という長い期間が必要だと経営者に話し、長い目でサポートしていく認識を持っておきましょう。
もし金融機関が言うとおりの経営改善計画書を作成し、その計画が8割以下の未達に終わったら…? 翌年のリスケ交渉がきわめて困難になるだけです。「金融機関が言うとおりに書いただけだ」と反発したくても、実行するのは経営者の責任だからです。
しかし適切なリスケの方法、金融機関との交渉のセオリーをおさえておけば、金融機関に言われるがままの「債務者に不利なリスケ」にならずに済むのです。
リスケせざるを得ない事業者の正常化を支援するために、金融機関が納得しやすい「経営改善計画書の作り方」と「金融機関との交渉方法」をムラなく押さえておきましょう。
13年間で180社の事業再生を成功させている再生のプロに学ぶ
そんな、小規模企業の事業再生支援・経営改善支援に必要な知識を、13年間で180社の事業再生を成功させている再生のプロが指南する動画2本です。
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