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金融機関の融資が変わるきっかけになるかもしれません。士業・コンサルタント注目の新しい制度です。
こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
2024年6月7日、「事業性評価推進法」が通常国会で成立しました。事業性評価推進法とは、以下のとおりです。
事業者が、不動産担保や経営者保証等によらず、事業の実態や将来性に着目した融資を受けやすくなるよう、事業性融資の推進に関し、「基本理念」、「国の責務」、「事業性融資推進本部」、「企業価値担保権」、「認定事業性融資推進支援機関」等について定める。
●事業性融資の推進等に関する法律案 説明資料(金融庁)
この法律の最大の目玉は、「企業価値担保権」でしょう。
企業価値担保権により、これから金融機関の融資のしかたが変わるかもしれません。また最近、この企業価値担保権についての質問も増えてきました。簡単に解説し、士業・コンサルタントの立ち位置・活躍の場についてもお話ししましょう。
先述した金融庁の資料によると、「企業価値担保権」とは以下のとおりです。
■ 有形資産に乏しいスタートアップや、経営者保証により事業承継や思い切った事業展開を躊躇している事業者等の資金調達を円滑化するため、無形資産を含む事業全体を担保とする制度(企業価値担保権)を創設する。
■ 企業価値担保権を活用する場合、債務者の粉飾等の例外を除き、経営者保証の利用を制限する。
●事業性融資の推進等に関する法律案 説明資料(金融庁)
一般的に、企業が大きな金額の融資を受けるとき、金融機関から不動産担保や経営者保証を求められます。しかし企業価値担保権では、土地や工場等の有形資産だけではなく、ノウハウや顧客基盤等の無形資産を含む事業全体を担保にできます。企業価値担保権を設定することで、基本的には経営者保証は不要となります。
このことにより、有形資産に乏しくても独自のノウハウを持つスタートアップ企業は、資金調達しやすくなります。
●企業価値担保権のイメージ
企業価値担保権は信託契約を通じて設定されます。
担保権者は、信託業免許を持つ「企業価値担保権信託会社」です。金融機関には簡単な手続きで免許を交付される予定なので、「貸し手」と「担保権者」が同じ金融機関になるケースが多くなるでしょう。
●信託契約による企業価値担保権の設定のイメージ
信託会社が担保権を実行する場合は、事業譲渡の対価から貸し手の金銭債権に充当することになります。
担保権を実行する際の手続きは、以下のとおりです。
①債務の弁済が滞った際、担保権を実行する場合には、担保権者が裁判所に申立て
↓
②裁判所が事業の経営等を担う管財人を選任
↓
③事業の継続等に必要な商取引債権や労働債権等を優先して弁済
①管財人は、事業の経営等をしながら、スポンサーへ事業譲渡
↓
②事業譲渡の際には、裁判所の許可を得る
①管財人が事業譲渡の対価から、貸し手の金銭債権に充当
↓
②一般債権者等のために、事業譲渡の対価の一部を確保
企業価値担保権を活用するにあたって最大の課題と言えるのが、「全資産の担保価値をどう評価するのか」。
金融機関には、その企業の無形資産(ノウハウ・顧客基盤等)を評価するノウハウに乏しく、その価値をどうしても低めに評価しがちでしょう。
また無形価値を把握するために、担保設定する企業とのコミュニケーションを密にし、適切な情報を継続的に入手する必要があります。
しかしただでさえ多忙な担当者が、適切な頻度で企業訪問するのはほぼ困難。現実的ではありません。
だからこそ「企業側から」金融機関に対して積極的に情報提供を行う必要があるのですが、中小企業はそのような情報の継続的提供に慣れていません。
そこで…。
上記のように、無形資産を含む事業全体の価値を金融機関が把握するのが第一の課題でしょう。そこで注目したいのが、その補完としての「認定事業性融資推進支援機関制度」導入です。
■企業価値担保権の活用等を支援するため、事業性融資について高度な専門的知見を有し、事業者や金融機関等に対して助言・指導を行う機関の認定制度を導入する。
業性融資の推進等に関する法律案 説明資料(金融庁)
もちろんこの認定支援機関精度が、国の期待どおり稼働するかどうかは未知数です。しかし考え方によっては、企業の企業価値を金融機関に把握してもらえる情報提供のサポートを士業・コンサルタントが担うことによって、企業担保権を使った融資による資金調達がしやすくなるかもしれません。
これからは金融機関に対し、適切な時期に適切な情報を伝えることが、円滑な資金調達の支援に重要となってくるでしょう。その仲立ちが、企業を支援する士業・コンサルタント。「企業価値担保権」の開始で活躍の場が今よりも増えるのではないかと、大きな期待を持って見守っています。
2026年末までに施行とのことで、まだ2年半あるため、企業価値担保権について士業・コンサルタントが尽力できる内容はまだはっきりしません。が、早めに準備しておくことで、施行時に「企業価値担保権におけるエキスパート」になることが可能です。
なぜなら新たな融資制度が導入されるとき、最初のうちは審査が甘めになる傾向があるからです。新制度のスピーディな広がり、スムーズな定着を促進するためでしょう。
本制度の導入時には、ネクストフェイズも企業価値担保権を使った融資を申請するつもりです。その過程、また申請して初めてわかるコツや注意点などをこの場で公開し、士業・コンサルタントの企業支援業務に役立てていただければと考えています。
またもちろん、それまでも、融資制度の最新情報をこちらのセミナーでお伝えしていきます。
※融資に関する質問などにもその場でお答えします
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