前回までのシリーズ投稿で、「高齢化の波は、個人客相手の職業に限らず、BtoBがおもな士業にだってビジネスチャンスになりえる」というお話をしました。今日はちょっと違う方向のお話です。
こんにちは、ネクストフェイズ編集部(以下、編集)です。さて、編集は前回まで、こんなようなことを書きました↓
●経営者の高齢化が進み、事業承継やM&Aについて話せるセミナー講師が、全国で人気(9/20)
●同じ理由で、税理士・社労士・弁理士だってシニア(企業)ビジネスに参入できる(9/22)
しかし…。
士業の仕事って、BtoBと言い切っていいんだろうか
大手の企業さん相手の場合は別として、中小企業を顧客とする士業さんの話です。日々、お客さんに訪問していて、もちろん専門的な、「仕事です!」という話もするのだけれど、個人的な話も聞きますよね。「事業を継いでくれる人が見つからなくて」「さいきんの若い人って、自分たちの時代とは」「そんなこと言う自分は、もうそろそろ潮時かねえ」「そういえばこないだの健康診断で医者から…」などなど。そうなると、(遺言や相続などはさておき)士業の仕事って、BtoBと言い切っていいのかなあと、ふと思ったのです。
「出口のない、ただの愚痴」と聞き流すこともできるけれど
「顧客の愚痴や繰り言を聞くのも仕事のうち」と割り切ることもできます。実際のところ、高齢によって経営者が代替わりしても、あるいは経営者が無理を圧してでも経営を続けてくれて、企業さえ存続してくれたら、自分が顧客を失うことは(まず)ない。経営については経営者マター、自分はそこに専門知識でサポートするだけ、というスタンスです。編集は、その考えを心から尊重します。それはそれでアリだと思います。うん、思う、思うんだけれど…。
「出口」は、本当にないのか
前にも書いたように、関与先・顧問先としてそれなりの期間、その企業を見つめ続けてきた士業さんにとって、お客さんは「ただのビジネス相手」「ただのメシのタネ」にはけっして見えてないと思うんです。経営者の今の事情はもちろんこれまでの経緯、そのときの彼らの気持ち、もちろん仕事へのスタンスやら従業員への責任感やら、あれこれいっぱい吸い込んだうえでのおつきあいが続いてきたのではないでしょうか。その経営者が自社の未来を心配しているなら、編集がブログでわざわざあれこれ言わなくても、経営者の、まるで世間話の延長のような愚痴の「出口」を見つけようと腕まくりしている士業さん、すでにけっこういるんじゃないかなあ…。
経営者が、ひとりの個人に見えるとき
このブログの読者はまだ若い方々が大半だと思いますが(若いって、いくつだ(笑)、連休などの機会に親御さんの顔を久々に見て、「あれ、うちの親、トシとった? 老けた?」なんて、口にはしなくても、思った人もいるでしょう。もしそんな親御さんと同世代のお客さんがあなたにいらっしゃるなら、その経営者も同じ印象を今ごろお子さんたちに持たれているかもしれません。そう考えると経営者だって、ひとりの人間、ひとりの個人。士業とお客さんのおつきあいは、もちろん事務所と企業のおつきあいですが、相手によっては「個人と個人のおつきあい」に見えてくるケースだって、おありではないでしょうか。
それは「ビジネス」というよりも
まずは自分。そして家族、あるいは事務所のスタッフ…。士業にとって大切な人はたくさんいるでしょう。それに加え、もしお客さんである経営者と、個人的にもあれこれお聞きしているしなあ…というおつきあいを重ねてこられたのなら、その経営者の(個人としての)笑顔だって同じように大切にしたいと、あなたはきっと考えておられる。シニアビジネスは、たしかにビジネスであるのだけれど、「普段からおつきあいのある大切な人のために、自分に何かできないだろうか」と日々奮闘する士業さんにとっては、ビジネスを超えた次元の話になってくるのではと想像しています。
けっきょくシニア「ビジネス」って
前回の投稿で編集は、「この投稿がシルバーウィークに(士業ひとりひとりにとってのシニアビジネスを)ちょっと考える機会になれば」と書きました。編集にとってのいわゆる「シニアビジネス」に対する考えは、暫定的ではありますが、以上に述べた通りです。つまり極私的な結論としては、「シニアビジネスは、最終的には個人と個人」というところでしょうか。何だったんだこれまで2回の投稿は、という、まさかの結論。書いて、言葉にして、考えてみないとわからんもんです。
よいお休みを
連休中の投稿、しかも今回は長文にも関わらず、ここまで読んでくださってありがとうございました。門外漢の思い違い、トンチンカン、アサッテの方向の話もあったかもしれませんが、編集が今のこの仕事を通して感じたことを、今後も少しずつこうして、考えながら、悩みながら、脱線もしながら(それは要らんな)、お話ししていけたらと思っています。編集の知らない士業の現場の話を、これからもたくさん教えてください。残り少なくなりましたが、みなさん、どうぞよいお休みを。編集も休みます!
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■参考までに、前回までの記事
「シニアビジネス=個人相手」と思っていませんか【1】(9/20)
●経営者の高齢化が進み、事業承継やM&Aについて話せるセミナー講師が、全国で人気
「シニアビジネス=個人相手」と思っていませんか【2】(9/22)
●上と同じ理由で、税理士・社労士・弁理士だってシニア(企業)ビジネスに参入できる