大阪市福島区の税理士・浜田透さんは、独立4年目を迎えた38歳。
資金ショート寸前の不安をひとりで抱えこむ日々から、
悩みを仲間に相談できる現在までのドラマチックな数年間、
浜田さんが考えに考え抜いた先に見つけた、体温のある知見を5回にわたってお送りします。
まだ4年目なのに、なんでそんなにお客さんが多いの?
「運ですよ」ってホントですか?
みんなが聞きたい「そこんところ」はもちろん、
「そこんところじゃないところ」を含めて楽しくお話しくださいました。
聞き手は、(株)ネクストフェイズ編集部です。
【浜田透税理士インタビュー もくじ】
第1回 当初は毎月の売上高9万円。不安を誰にも打ち明けられなかった理由。
第2回 独立前におさえておきたい、2つのステップ。
第3回 今のその経験が、かならずあなたの強みになる。
第4回 独立後だからこそ、相談&叱ってくれる存在を、いつも。
第5回 前の世代からいただいたものを、次の世代へ。
第1回 当初は毎月の売上高9万円。不安を誰にも打ち明けられなかった理由。
―― 独立開業4年目、お忙しい日々だとお聞きしています。
浜田 おかげさまで…。でも、あの、私は、とても運がいいだけなんですよ。
―― いえ、運だけでは…。
浜田 いえいえ、ホントに運がよくて(ニコニコ)。
―― 独立当初から、わりあいお忙しかったんですか。
浜田 それがね、最初の約半年は、毎月の売上高が9万円!(笑)
―― えっ。
浜田 昔からの知り合いなど、独立してすぐからの顧問先が数件、あと確定申告のときに個人のお客さんを1件紹介してもらって…。ええ、10万円は超えなかったですね、だいたい9万円台(笑)。
―― あの、税理士さんといえば、たとえ顧問先が少なくても、確定申告の時期に税務署でアルバイトとか、開業届を出した方々に税務署から記帳指導の派遣とか…。
浜田 それがですね、私が独立した場所は大阪市の東税務署の管轄なんですが、この東税務署というのが日本で有数の大きさで…。税理士だけで1000人以上いますから、そういうのに全員が行けるわけじゃない。抽選なんです、抽選!
―― もしやその抽選に…。
浜田 はい、落ちました!(笑)
―― (運がいいとおっしゃっていたけれど、ホント…?)
浜田 貯金通帳を見るたび、残高が減っていくんです。で、1年もしないうちに残高が10万円ほどに…。ところが税理士はね、毎年PCソフトの更新があって、それに20~30万円ほどかかるんですよ。この残高じゃ更新料払えんなあ、廃業かなあと。
―― 廃業!
浜田 だってお金入ってこないですもん(笑)。
―― でも浜田さん、さっきからずっとニコニコして話しておられますよ…。
浜田 ははは。でもあのときは笑えなかったなあ。誰にも言えませんでした。いざとなったら頼れる(かもしれない!と希望していた)父を除いて、家族の誰にも、先輩や親しい友人たちにも、もちろん言えなかった。ヤマを越えて1年後くらいでしょうか、そのころのことをすごくお世話になっている先輩と話したとき「当時キツかった」とポロッと言ったら、「え、そうだったの?」って驚かれました。「そんなの知らなかった」「だって誰にも言ってなかったし」って。
―― 打ち明けられなかった…。
浜田 そうですね、あれは…、もちろん、つまらない見栄のせい。と同時に、親しいからこそ、大切な人々だからこそ、心配をかけたくなかったんです。
―― 孤独でしたね。
浜田 心折れそうになりました(ニコニコ)。
―― (でもやっぱり笑っておられる…??) そんなピンチを切り抜けたのは?
浜田 ええっと、新規の融資を100万円ほど…大阪市の保証協会さんに駆け込んで…(笑)。何に使うんですか?って、そりゃあいろいろ聞かれますよね。で、あの、まあ、いろいろお話ししまして(笑)、その100万円で何とかひと息つけました。
―― 独立1年もしないうちに…大変でしたね。
浜田 でもその後、このときの資金ショート寸前の顛末を、セミナーで何度かお話しさせてもらったりして(笑)。
―― (ネ、ネタになってる!)どんな方々に向けてのセミナーで?
浜田 経営者さんや、起業を考えておられる方ですね。同じ失敗をしてほしくなくて。逆算して、計画的に進めないと、私みたいにとんでもないことになりますから(笑)。
―― そのお話を通して伝えるメッセージは?
浜田 独立するなら、順序を守りましょう!ってことですね。
―― 順序?
浜田 そう、順序です!
(第2回に続きます)
【浜田透税理士インタビュー もくじ】
第1回 当初は毎月の売上高9万円。不安を誰にも打ち明けられなかった理由。
第2回 独立前におさえておきたい、2つのステップ。
第3回 今のその経験が、かならずあなたの強みになる。
第4回 独立後だからこそ、相談&叱ってくれる存在を、いつも。
第5回 前の世代からいただいたものを、次の世代へ。
※ちなみに日本で一番大きな税務署は東京の麹町だそうです