東京都豊島区で開業している税理士、西守正希さん(37歳)。
当初から創業支援を大きく掲げ、順調に業績を伸ばしておられます。
独立3年目ながら、そのビジネスモデルや事務所経営手腕の、まあ見事なこと。
開業前から固めていたビジョン、気になる料金体系、人材採用の試行錯誤、
職員さんの給与システム(驚き!)など、細かくお尋ねしてきました。
聞き手は、ネクストフェイズ編集部です。
ところどころ、同席していたネクストフェイズ代表・東川も入ってきますよ。
というわけで、
推定全国100万人の士業インタビューシリーズファンのみなさま、
前回掲載から長らくお待たせしました。
今回もいつもと変わらず、5回連載でお送りします。
【もくじ】
第1回 創業者に月額3万も4万も請求できない。だから…
第2回 会計事務所の料金表に、柔軟性を
第3回 会計事務所の人材採用、工夫のしどころ
第4回 創業支援税理士に必要な「法人税務以外」の知識
第5回 若手税理士におすすめ!顧客獲得の具体策
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第4回 創業支援税理士に必要な「法人税務以外」の知識
西守 どの業界にもそういう一定の傾向はあると思うんですけど、税理士なら6月、7月、あと、税理士試験明けの9月。さらに、合格発表後の12月、1月あたりの募集かな。とはいえ…。
―― とはいえ?
西守 年末が近づくにつれて、優秀な人材は少しずつ減ってきます。すぐ繁忙期が始まりますから、動けなくなっちゃうんですよ。
―― それも要チェック項目ですね。みなさーん、優秀な人材確保は、なるべく秋までに!
西守 私の事務所は創業支援をメインにしていますが、創業支援とひとくちに言っても、必要な能力は幅広いですしね。
―― そこで西守さんの強みというか、特長がフォーカスされますよね。たとえば創業支援を看板に掲げる税理士さんはほかにもいらっしゃるでしょうけれど…。
西守 ええ、これは以前務めていた税理士法人で学んだことなんですけれど…。あのう…(しばらく考えて)…、私、法人の税務だけができる税理士では、創業支援はできないと思っているんですよ。
―― 法人だけでは、税務だけでは。
西守 たとえば法人成りするにあたって、設立の登記が必要になるじゃないですか。となると、登記の知識も必要ですよね。また、「人を採用する」「役員報酬を出す」「社会保険に加入」「雇用保険に加入」となると、労務の知識も絶対に必要です。
―― たしかに。
西守 もちろん個人の税務にも精通していないと。たとえば個人事業主のお客さまからのご相談で、「法人化するのに、どのタイミングがベスト?」と尋ねられることがけっこうあるんです。そこでですね…。
―― はい。
西守 たとえば、たとえばの話ですよ。あくまで例ですが、あまりその分野に詳しくない税理士さんだと、「法人化してもらった方が顧問報酬も高くなるし、よくわからないけど法人化を薦めちゃおう」…というケースだって考えられますよね。
―― ああ…。
西守 もちろん私の場合は、個人の方がその方にとって有利なら「個人のままで」という提案をしますし、その判断をしていただくための材料や条件をお出しするんですが、そのためには勉強が必要です。
―― なるほど。
西守 もちろん補助金にも詳しくありたいと思っていますし。
―― 補助金は種類も多いですしね。
西守 また、私はFP資格も持っているんですけど、ファイナンシャルプランニングの知識がないと、たとえば税金面だけじゃなくてトータルで考えたライフプランの中で、いま行おうとしている処理が適切かどうか判断もできませんよね。
―― FP資格まで。
西守 さらに、これは創業支援の後の話になりますが、将来的には相続税や資産税関係などの知識も必要になってきます。つまり、ひとりのお客さまとおつきあいするということは、入り口は創業支援であっても、幅広い知識を持っている人間じゃないと務まらないなというのは感じています。そうでなければ、お客さま個人個人にとって、また、その時期その時期に応じた、適切なアドバイスができないと。
―― トータルなサポート力ですね。
西守 「創業支援でいこう」と決めた以上は、そこに少しでも関わることなら、知識もスキルもすべて身につけていきたいなと今も思っています。だからこそ、ネクストフェイズの融資セミナーに参加したんです。
東川 ありがとうございます(笑)。
西守 こちらこそ! 去年でしたか、まだ知識も経験も不十分だったとき、ネクストフェイズの融資セミナーで勉強させていただいて、本当によかったなと感じています。
●西守「高校時代までゲーム開発の仕事に就きたいと考えていました。クリエイターに憧れていたんです。
でも税理士だって、とてもクリエイティブな仕事ですよね。記帳して申告して、だけの時代じゃない」
東川「クリエイティブじゃないと、もう税理士はやっていかれへんよ。それより、どんなゲームしてたん?」
…その後ふたりは往年のゲームのディープな話へ…(編集はついていけず)
□ 最新情報は、専門メルマガ、Webサイト、そして「人」から
―― しかし創業融資にしろ補助金にしろ、制度がよく変更されますよね。汎用性の高い一般知識とは別に、最新情報はどのように得ておられますか?
西守 専門のメルマガが多いですね。それこそ、東川先生のメルマガとかで仕入れたり。
東川 ありがとうございます! ←うれしそう
西守 あとは、Webサイトです。日本政策金融公庫、区、銀行などのホームページを、つねにチェックすること。さらに…。
西守 日本政策金融公庫、そして地元の信金さんの担当の方のなかに、けっこう仲よくさせてもらっている人がいるんです。そこで最新の融資制度や金利動向、お客さまにとってより有利となる融資のご提案などなど、さまざまな情報をいただくことができているんですよ。
―― 「人」経由。
西守 はい、「人」経由ですね。
東川 十分ですよね。ここまで最新情報を追っかけていける人、なかなかいないです。
西守 本当ですか。
東川 真剣に情報を追っかけていると、チェックすべきメルマガやWebサイトについて、ある程度、勘がつかめてきます。ここは有用、ここはイマイチとか。それに、公庫や信金さんの内部の「人」から得られる情報も貴重です。普段から僕も言うてますが、やっぱり金融機関と士業は仲よくしておきたいですよね。
―― 今もご自身の業務について勉強熱心で、また同時に事務所の経営という大きな視点でもお仕事されている西守さんがですね…。
西守 まだまだですって(笑)。
―― いえいえ、そんな優秀な西守さんが(笑)、これから独立しようとしていたり、独立間もない税理士さんに、「これ、やっとくといいよ!」と具体的にアドバイスするとしたら?
西守 うーん、具体策ということでいえば、おすすめは、セミナーですね。
―― セミナー? ぜひ詳しく教えてください!
(第5回につづきます)
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西守正希税理士インタビュー <全5回>
「創業支援・コンサル型の税理士、生き残り方法は?」
【もくじ】
第1回 創業者に月額3万も4万も請求できない。だから…
第2回 会計事務所の料金表に、柔軟性を
第3回 会計事務所の人材採用、工夫のしどころ
第4回 創業支援税理士に必要な「法人税務以外」の知識
第5回 若手税理士におすすめ!顧客獲得の具体策
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☆西守さんが実際に手がけた融資事例を、融資コンサルタント協会サイトにアップしています。ぜひあわせてご覧ください。
●融資コンサルタント協会→融資事例→「補助金の採択歴が…」