- 2016-9-19
- 士業インタビュー
- インタビュー, 助成金, 士業のビジネスモデル, 社会保険労務士
東京都千代田区と立川市に事務所を構える社会保険労務士、伊藤泰人さん(54歳)。
2010年4月、48歳のとき、大手の損保企業を辞め、
以前から持っていた社労士資格を活かして独立開業しました。
当初から助成金申請代行を看板に掲げ、初年度の売上は1000万円、昨年度はなんと1億円を突破。
もちろん最初はひとりでスタート、1年後にパート1名を雇用し、現在の従業員数は8名になりました。
そんな伊藤さんの、盤石のビジネスモデルについて、
細かくお尋ねする機会に恵まれましたので、5回連載でお届けします。
聞き手はネクストフェイズ編集部ですが、
今回も同席していたネクストフェイズ代表・東川がときどき発言しています。
【もくじ】
1/助成金を積極的に扱う社労士は約1割?
2/ファックスDM、送るときのコツあれこれ
3/見込み客との面談時、どう語る?
4/助成金は社労士にとって、邪道か?
5/士業なら、「お金」まわりの仕事をしよう
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第1回 助成金を積極的に扱う社労士は約1割?
編集:開業当初から助成金で行こうとお考えでしたか。
伊藤:いえ、最初は退職金でやろうと思ったんですよ。前の勤務先が損保だったんですが、そこで企業型確定拠出年金を担当していましたから。でも当時、すでに開業している社労士から「退職金? 今からじゃ…」と言われ、おすすめを尋ねたら「助成金だ」と。開業するその4月になって初めてそう知り、何もわからないままネットで助成金の情報収集を始めました。
編集:…ということは…。
伊藤:はい、全然勉強していないですよ、それまでは。退職金のことしか勉強していなかったから。でも私は周りから言われるとそうかなと思って、さっと変えるんですよ。いいなと思ったら、まず試してみる。
編集:それが、当たったんですね(笑)。
伊藤:当たったんですね、それが(笑)。
編集:ビジネスモデルとしては…。
伊藤:開業当時はね、見込み客にファックスDMを送って、助成金セミナーへ来てもらいます。そこでアンケートを取り、個別相談希望者をこちらからご訪問するというかたちです。
編集:セミナー? 助成金申請の経験もなく?
伊藤:ええ、4月開業で、すぐその翌月の5月にはセミナーをやっていました。1件も申請なんかしたことがないんですよ。「もっと勉強してからでなきゃセミナーできない」とか言う人がいるんだけど、そんなこと言ったら助成金なんかなくなっちゃいますよ。私なんか助成金のことも、社会保険労務士の仕事も知らないで、申請もしたことなくて、いきなりセミナーやったんですよ。
編集:いきなり(笑)。
伊藤:初めてです、もう全然わからないですよ。もう、ハッタリですよね(笑)。
編集:書いておきます、ハッタリって(笑)。
伊藤:自信を持って、あたかも、たくさん申請代行した経験があるような顔をしながらセミナーしていました。そのとき一番つらかったのが「いつから申請代行やっているんですか」という質問。でも、幸い聞かれなかった、そのときは。
(ここで東川登場)
東川:「社労士の資格は10年前に取りました」と、言ったらいいんじゃないですか(笑)。それは本当のことですし。
伊藤:それも言わなかったなあ。つっこまれると嫌だから、何も言わなかったですね。
編集:ところでファックスDMから、セミナーに来られる方の率は。
伊藤:0.2~0.3%ぐらい。
東川:1000件で3件ですな。
編集:では、セミナーに生で来られた方が個別相談を希望する率は?
伊藤:開業当時は3割ぐらいかな。今はもっと上がっています。コツがあるんですよ。だから当時は3割、今は5割を超えますね。多いと7割とか。
編集:そこから助成金の申請代行に至る率は。
伊藤:半分より多いくらいかな。自分で申請したい人は、やっぱりいるので。
編集:かなり確度が高いですね。
伊藤:当初はファックスDMからセミナー誘導でしたが、今は資料請求に誘導しています。そこからご訪問して申請代行へ、という流れです。今はもう忙しくて、セミナーを毎月というわけにはいきませんので。
●伊藤「会社を辞めると、本当に貯金が減っていくんですよね。独立当初は自転車で活動していました。
交通費はこんなにかかるのかと、開業してみんな思うんじゃないかな。
無料セミナーがあるから参加したいと思っても、往復だけで1000円超えるじゃないかとかね(笑)」
東川「でも今は時間の方が貴重でしょ?(笑)」
□ 社労士に勉強好きな人は多いけれど
編集:助成金で成功した伊藤さんとしては、社労士さんは助成金をぜひ手がけておきたい?
伊藤:手がけておいたほうがいいんだけど、やっているのは1割ぐらいしかいないという…。
編集:1割! 9割の社労士は手がけていない?
伊藤:だって面倒くさいですからね。内容は変わるし、いつ中止になるかわからないし、もう面倒くさいから、毎年同じ手続きをやっているほうが楽ですよ。
東川:費用対効果を考えたら、助成金の方がいいんですけれどね。だって助成金申請代行1件分の売上を確保しようと思ったら、給与計算を何件せんとアカンのかとか考えると。それに、顧問先を持ったら安心とはよく言われるけれど、価格競争に巻き込まれる恐怖とも戦わなアカンし、実際いざお客さん失ったらどうすんねん、ですわ。
編集:それでも社労士の1割ほどしか…。
伊藤:だからチャンスがあったの。6年前に私が助成金始めたとき、周りではほとんど誰もやってなかった。これが、たとえば社労士の7割ぐらいが助成金を手がけていたら、参入する余地がないですよね。
東川:面倒なことをせんと、ある程度の売上は確保でけへんねんけどね。
伊藤:でも、勉強は好きなんですよ、社労士って。だからたいていみなさん、「特定社会保険労務士」の資格も持っておられますよね。
編集:多いですよね。
伊藤:社労士は勉強するの好きなんです。でも私は受けていません。紛争になったら弁護士に任せます(笑)。
編集:勉強は好きでも、営業が苦手な社労士さんは少なくありません。営業手法として、伊藤さんはファックスDMを大いに活用なさっていますよね。
伊藤:ええ、開業すぐから。
編集:そのファックスDMの上手な使い方、ちょっと教えてもらえませんか。
伊藤:はい、それはね…。
(第2回につづきます)
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伊藤泰人社会保険労務士インタビュー <全5回>
「社労士×助成金は最強ですか?」
【もくじ】
1/助成金を積極的に扱う社労士は約1割?
2/ファックスDM、送るときのコツあれこれ
3/見込み客との面談時、どう語る?
4/助成金は社労士にとって、邪道か?
5/士業なら、「お金」まわりの仕事をしよう
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