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落藤伸夫中小企業診断士インタビュー【4】「融資コンサルタントのビジネスモデルは?」

東京都新宿区で独立開業している中小企業診断士、落藤伸夫さん(55歳)。

大学卒業後から勤めていた日本政策金融公庫を2014年に退職し、
翌2015年、53歳のとき、経営コンサルタントとして独立開業しました。
同じ2015年秋には、
一般社団法人融資コンサルタント協会認定のSP融資コンサルタント資格を取得。

今回は落藤さんが初めて受注した融資サポート案件を振り返りながら、
実際に請求した報酬料金も踏まえた新メニューづくりから顧客獲得の仕組みなど、
「融資コンサルタント×中小企業診断士」のリアルなビジネスモデルをお伺いしました。
いつものように5回連載でお届けします。

聞き手はネクストフェイズ編集部ですが、
今回も取材に同席していたネクストフェイズ代表・東川がときどき発言しています。

落藤伸夫さんプロフィールはこちら

落藤伸夫中小企業診断士インタビュー <全5回>
「融資コンサルタントのビジネスモデルは?」

【もくじ】
第1回 初めての融資サポート、内容と報酬額
第2回 今回の失敗ポイントを振り返る
第3回 現場で初めて知った、経営者のニーズ
第4回 融資サポートは、顧問化のきっかけ
第5回 金融機関は、士業の同行を嫌がらない
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【第4回】融資サポートは、顧問化のきっかけ

―― 顧問契約5:融資サポート4:セミナー1の現在から、顧問契約7:融資サポート2:セミナー1の状態を目指していると。

落藤 融資を1回サポートしたお客さまを、顧問契約に持っていきたいということです。

東川 そうそう、融資ばっかり専門的に行うのもアリやけど、税理士や社会保険労務士、また中小企業診断士といった「顧問先を持つ職業」の場合は、融資サポートって格好の入り口になるんやで。

落藤 そうなんですよね。

東川 融資コンサルタントというのは、顧問先を取るためのクギなんですよ。クギやから、融資サポートの仕事が来たときに、顧問契約へつなげようという意識をしとかんと、単発の仕事で終わってしまうんです。融資コンサルをすればかなりの確率で継続コンサルにつながるので、そこはちゃんとはじめに意識して、顧問先になってもらおうというビジネスモデル設計をしておけば、後がラクです。

落藤 日本政策金融公庫を辞めてコンサルタントとして独立した時、私はあまりにも楽観的だったと思います。自分では考えていたつもりでしたが、きちんと回っていくビジネスモデルを準備できていませんでした。独立してしばらくたって、「自分はどういうビジネスを作っていくのか」が一番大切なことに気が付きました。ほかの誰でもなく、自分のビジネスモデルを作り上げることです。

―― 自分のビジネスモデル…。

落藤 でも、お客さんとどういう接点を持って、そこからどう顧問契約へ持ち込むかという設計を作り上げられるようになったのは、「自分は融資コンサルタントなんだ」とはっきり意識し始めてからですね。融資コンサルタントという概念を入れない状態でビジネスモデルを作るのは非常に難しかったです。

東川 中小企業診断士とかコンサルタントって、お客さんを見つけるのがすごく難しいんですよ。ちゃんとこっちに来てもらえるような仕掛けを作っておかんとアカンねんけど、苦手な人も多い。診断士なんか、とくにそうですからね。

落藤 そうそう。中小企業診断士は、企業が必ずつき合わないといけない士業ではないですから。そこが我々にとって、顧客獲得の難しい点です。

東川 だからこそ経営者が心から必要とする、またゴール共有がしやすい「融資」が、士業にとっての顧客獲得キーワードになるんです。単発の融資サポートをきっかけに顧問契約に持っていくまでは、先ほどもお話ししたとおり、メニューの作り方でうまく誘導できますよ。ぜひお試しください。

 
●ジェラルミンに「見える」、FRP製のブリーフケース。
「軽くて丈夫でおすすめです。ちょっとイイカッコしたいときだけ持つんですよ」(落藤さん)。
いえいえ、普段からお使いの手帳も、黒地に赤のステッチが利いてお洒落!

―― とはいえ、肝心の融資を通さないことには話になりません。融資を通すには、何かコツがありますか?

落藤 結局、自分がすることは、金融機関とお客様をつなぐことなんです。もっと詳しく言えば、顧客企業と金融機関の、意識のギャップを埋めることでしょうか。

―― 両者の意識のギャップ?

落藤 「金融機関は、晴れの日に傘を貸して、雨の日に取り上げる」という言葉がありますね。

―― よく耳にします。そういう金融機関を相手にするには、一筋縄ではいかないですよね。

落藤 そこを「金融機関がそう考えるのは当然なんだ。自分もその立場だったら、同じように考えるはずなんだ。だから、そういう金融機関でも貸してくれるような説明をしよう」と考えることが、意識のギャップを埋めることになると思うのです。

―― なるほど。

落藤 私がよく言っているのは、「金融機関は、預金を原資にお金を貸している」ということです。金融機関にある預金というのは、通常の業者でいえば、決算書上、借入金です。つまり金融機関は借金をして、そのお金を貸すのが仕事なんです。「あなたは誰か友だちにお金を貸してくれと言われた。しかし、ことの成り行き上、自分が持っているお金ではなくて、借金しないと貸せない。そのとき相手に何を求めますか? どうしてほしいと思いますか?」と、経営者に考えてもらうんです。

東川 他から借金してまで貸さんとアカン立場になったら、あなたどうします?ってことですね。

―― 借りたい側の企業の考えがそこまで至って初めて、貸す側の金融機関があれこれ注文をつけるのも理解できると。

落藤 はい、貸す側の意図を理解すれば、それに対して誠実に答えていきましょう、書面にしましょうと経営者も納得できる。その意欲が書面や面談時に表れたら、金融機関からの理解も得やすいと思います。それをサポートするのが、融資コンサルタントの役目ではないかと思います。

―― しかし、ちょっと待ってください。落藤さんは公庫出身だから、「公庫ってこうだよね」という融資の仕組みや職員の考え方をご存じです。でもたとえば金融機関にこれまであまり縁がなかったり、融資サポートが初めてだったり、また経験が少ない士業さんは、経営者から相談されても自分もアタフタしてしまうと思うんですよ。

落藤 さあ、そこで!

―― そこで?

落藤 アタフタせずに済む秘訣があるんです。

(第5回につづきます)

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落藤伸夫中小企業診断士インタビュー <全5回>
「融資コンサルタントのビジネスモデルは?」

【もくじ】
第1回 初めての融資サポート、内容と報酬額
第2回 今回の失敗ポイントを振り返る
第3回 現場で初めて知った、経営者のニーズ
第4回 融資サポートは、顧問化のきっかけ
第5回 金融機関は、士業の同行を嫌がらない
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