- 2020-7-20
- 士業インタビュー
- インタビュー, 中小・零細企業のM&A, 中小企業診断士, 事業承継, 士業のキャリア, 士業のビジネスモデル
東京都港区・株式会社つながりバンクに勤務するシニアM&Aアドバイザー、
白石直之中小企業診断士。
株式会社つながりバンクは、小規模のM&Aに特化した、
仲介・アドバイザリー業務をメインとしながら、中小企業の課題解決に取り組む会社です。
白石さんは2017年に入社、
年間で約10件ものスモールM&A(中小・零細企業のM&A)を手がけるという、
業界では破格のスピードで、経験とノウハウを積み重ねています。
「株式会社つながりバンク」と聞いて、ご記憶の読者もおられるでしょう。
そう、株式会社つながりバンクとは、
2019年にこの取材に応じてくださった齋藤由紀夫さんの会社です。
白石さんは、2017年に中小企業診断士として独立。
当初は融資や補助金をメインに考えていましたが、
同年、齋藤さんのスモールM&Aセミナーに出会って、完全に路線替えします。
白石さんの話をお聞きしながら、
ひとりの中小企業診断士としてのキャリア、
そして「スモールM&A」ならではの仕事の手応えが見えてきました。
白石さんと同じ中小企業診断士、
もちろん公認会計士や税理士、弁護士、司法書士、
さらに建設業と縁の深い行政書士、
法人との結びつきを強くしたい保険営業など、
それぞれの資格・職業の強みや立場から参画できる「スモールM&A」。
コロナショック後に変化しつつある業界事情も含め、
多くの士業・コンサルタントにとって参考になるお話です。
いつものように5回連載でお届けします。聞き手はネクストフェイズ編集部ですが、
取材に同席していたネクストフェイズ代表・東川もときどき発言しています。
●白石直之中小企業診断士プロフィールはこちら
白石直之中小企業診断士インタビュー(全5回)
「士業にスモールM&Aへの参画をすすめる理由は?」
【もくじ】
1/スモールM&A業務のメリットが大きくて路線変更
2/ひとりで抱え込まず、他士業との連携でスモールM&A
3/スモールM&Aを入り口に、他の業務の依頼が入る
4/コロナ事情、再生型M&A、実務寄り…【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020
5/需要は高いのに人が足りない、それが「スモールM&Aアドバイザー」
第1回 スモールM&A業務のメリットが大きくて路線変更
白石 はい、登録は2016年です。
―― そして2017年に退職。もともと独立するご予定で?
白石 そういうわけでもないんですが、まあ半導体並びに電機業界が市場として下火で、将来への不透明感はありました。また、大前研一さん創設の一新塾に通っていて、そこで融資や補助金作業のお手伝いすることがあり、興味が涌いて勉強して資格を取ったんです。その後、大学の先輩でもある診断士の手伝いで再生案件の一部調査を行いました。これが私の最初の再生案件ですね。
―― 初仕事、どう感じましたか。
白石 診断士の財務の知識では粉飾の見破り方はないため、踏み込んだものでした。しかし、診断士の資格勉強での基礎知識(財務3表の見方や、DCFなどの企業価値方法)は大いに参考になります。ちゃんと考えて、教えてもらえれば、M&A経験がうすい会計士よりもしっかり対応できるようになると思います。
―― では独立すぐからスモールM&Aの世界に?
白石 いえ、当初は、融資と補助金サポートをメインにしようと思っていたんですよ。
―― なんと。
白石 中小企業の社長が苦手としており、また中小企業庁としても、診断士に期待しているのはこの2点かなと思って。まあ、僕がそう想像しているだけなんですが。
東川 補助金と融資ね。融資はたぶん、期待しているのは中小企業庁というより金融庁かもしれへんけど。でも今の状況を見ていたら、コロナ融資なんか全部経済産業省やから、もしかしたら中小企業庁も期待してるんかな。
―― しかし当初の事業の柱が…。
白石 はい、これもやはり2017年、今の私の上司・齋藤が行うスモールM&Aセミナーを受けて、そちらへ(笑)。
―― なぜそんなにスモールM&Aの世界に惹かれたんでしょう。
白石 セミナーに行ったときは、まだ業務のことなどよくイメージできていなかったと思います。が、「自分もできる」とは、だんだん思い始めました。あとは…。
―― あとは?
白石 収入も魅力で(笑)。
―― 大事なことです(笑)。
白石 真面目な話をすると、新聞や中小企業庁の発表を見ていると、事業承継は社会問題だと報じられています。でもM&Aなら解決できる。実際に現場にいると、たしかに社長にはまったくその方面の知識がなく、熱心に私の話を聞いてくださるんです。広く、強く必要とされる仕事だと実感したのが、この世界にどっぷり入り込んだ理由です。
―― そして株式会社つながりバンクへ。
白石 最初は業務委託という形で1年弱くらい、その後に正式入社しました。
東川 で、大事な収入の話は。
白石 正社員ですが、ほぼ成果報酬です。普段の給料はまあそこそこで(笑)、成約したらドーンって感じですね。上場企業さんだと基本給の割合が大きめで、成果報酬がフィーの10%ぐらいなんです。弊社が手がける小規模企業を対象としたスモールM&Aだと、成果報酬はもうちょっとあります(笑)。
―― ということは。
白石 2年目で、前職より一応アップしました。
東川 すごいね。独立2年目で、まずそんなんありえへん。
白石 いえいえ、出会う人々とか、上司の指導とか、総合的にラッキーだったんだと思います。
●「今、年間10件以上は手がけているでしょうか。
大手M&A企業なら、1年に1件くらいの担当件数なんですが…」(白石さん)
「独立は2017年…、すごい濃い時間を過ごしたんやね。そりゃ成長も早いわ」(東川)
上司から「小さな案件も断らないように」と教わる
白石 「マグロだけじゃなく、サバもちゃんと対応をしなさい」と。
―― マグロとサバ。
白石 M&Aってどうしても大きい案件=マグロを選びがちなんです。上場しているM&A企業なんて、「大きいのだけ」を狙っています。報酬は売買代金で決まりますし、代金が大きくても小さくてもM&Aアドバイザーの手間があまり変わらないから。むしろ大きい方が、外部の公認会計士や弁護士にもサポートをお願いすることが多くて、仕事は楽かもしれない、ぐらいの認識です。
―― (ふむふむ)
白石 ただ、そうすると、それこそ今のように新型コロナの影響で、再生案件のようにちょっと手間のかかるものが増えてくると、今までマグロばかりを選んできた人にとっては「再生案件って面倒だし」と断りがちです。しかし、一度断ってきたM&Aアドバイザーに、たとえば次の案件が来たとき依頼するかっていったら…。
―― しませんよね。
白石 そうなんです。齋藤からよく言われます。
―― 指導入った。
白石 齋藤は、わりと何でも受けます。受けた後、連携パートナーに相談することもできますしね。
―― まずは一旦受ける。
白石 去年、おかげさまで年収がドーンと伸びたんですが、ひとつ大きな案件をまとめたからです。で、そのときも「これで調子に乗っちゃダメだよ」と、気持ちを抑えてくれたり。
―― さすが上司。
白石 たしかに私もサバを食べなくなりそうになり、報酬3000万円以上の案件を優先しがちになっていました…。
―― えっ、報酬3000万円って、ざっくり見積もると年商5億ぐらいの企業のM&Aってことですよね。
白石 はい、それくらいです。
―― (桁が違う…)
白石 そんな仕事がポンと入ってくるのも、やはり信頼関係あってこそなんです。そこを大事にしなさいと齋藤から言われています。信頼ができていれば、小さいのも大きいのも、パラパラと依頼が来ますから。
―― あのう、依頼ってどこから来るんですか? 誰と信頼関係を結ぶんですか?
(スモールM&Aの依頼が白石さんに来る仕組みは? 第2回に続きます)
白石直之中小企業診断士インタビュー(全5回)
「士業にスモールM&Aへの参画をすすめる理由は?」
【もくじ】
1/スモールM&A業務のメリットが大きくて路線変更
2/ひとりで抱え込まず、他士業との連携でスモールM&A
3/スモールM&Aを入り口に、他の業務の依頼が入る
4/コロナ事情、再生型M&A、実務寄り…【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020
5/需要は高いのに人が足りない、それが「スモールM&Aアドバイザー」
白石直之中小企業診断士による【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020を開催
今回の取材で話していただいたスモールM&Aについて、実務テクニックはもちろん、歴史から現在のマーケット傾向まで、最新の実例を交えてお話しします。
2019年の齋藤氏による同セミナーも好評でしたが、今回はとくに「コロナショック後」に増加しつつある再生型M&Aについて、また気になる「実務」についても、時間を割いてご説明くださるとのこと。
もちろん質問のための時間も設けていますので、気になること、深く知りたいことなど、何でも気軽にご相談ください。
●日時・会場
2020年8月21日(金) 14:00〜17:00 サニーストンホテル<江坂>北館
2020年8月22日(土) 14:00〜17:00 サニーストンホテル<江坂>北館
2020年8月28日(金) 14:00〜17:00 DAYS赤坂見附
2020年8月29日(土) 14:00〜17:00 DAYS赤坂見附
●定員 各回 25名
●受講料 6,500円(税別)
●お申し込みは下記からどうぞ↓
※白石さんの言葉もこちらから読めます