- 2020-7-21
- 士業インタビュー
- インタビュー, 中小・零細企業のM&A, 中小企業診断士, 事業承継, 士業のキャリア, 士業のビジネスモデル
東京都港区・株式会社つながりバンクに勤務するシニアM&Aアドバイザー、
白石直之中小企業診断士。
株式会社つながりバンクは、小規模のM&Aに特化した、
仲介・アドバイザリー業務をメインとしながら、中小企業の課題解決に取り組む会社です。
白石さんは2017年に入社、
年間で約10件ものスモールM&A(中小・零細企業のM&A)を手がけるという、
業界では破格のスピードで、経験とノウハウを積み重ねています。
「株式会社つながりバンク」と聞いて、ご記憶の読者もおられるでしょう。
そう、株式会社つながりバンクとは、
2019年にこの取材に応じてくださった齋藤由紀夫さんの会社です。
白石さんは、2017年に中小企業診断士として独立。
当初は融資や補助金をメインに考えていましたが、
同年、齋藤さんのスモールM&Aセミナーに出会って、完全に路線替えします。
白石さんの話をお聞きしながら、
ひとりの中小企業診断士としてのキャリア、
そして「スモールM&A」ならではの仕事の手応えが見えてきました。
白石さんと同じ中小企業診断士、
もちろん公認会計士や税理士、弁護士、司法書士、
さらに建設業と縁の深い行政書士、
法人との結びつきを強くしたい保険営業など、
それぞれの資格・職業の強みや立場から参画できる「スモールM&A」。
コロナショック後に変化しつつある業界事情も含め、
多くの士業・コンサルタントにとって参考になるお話です。
いつものように5回連載でお届けします。聞き手はネクストフェイズ編集部ですが、
取材に同席していたネクストフェイズ代表・東川もときどき発言しています。
●白石直之中小企業診断士プロフィールはこちら
白石直之中小企業診断士インタビュー(全5回)
「士業にスモールM&Aへの参画をすすめる理由は?」
【もくじ】
1/スモールM&A業務のメリットが大きくて路線変更
2/ひとりで抱え込まず、他士業との連携でスモールM&A
3/スモールM&Aを入り口に、他の業務の依頼が入る
4/コロナ事情、再生型M&A、実務寄り…【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020
5/需要は高いのに人が足りない、それが「スモールM&Aアドバイザー」
第2回 ひとりで抱え込まず、他士業との連携でスモールM&A
東川 それはもしかして社名がカタカナ5文字で。
白石 「オ」から始まって。
東川 最後は「ス」。
―― (わかるやん…)
白石 彼らはM&Aを始めたばかりなんですよ。
東川 そうなんや。以前からやっていそうな気がしてた。
白石 大きい案件はずっと手がけていたんです。
―― ところが近ごろ、サバに手を付け始めた?
白石 ブリぐらいですかね。報酬で1000万ぐらいですが、彼らにとっては小さいんです。売り手も買い手も見つけてきてくださったりして。
―― そこで白石さんのおられる株式会社つながりバンクに、実務を依頼してくださるんですね。
白石 そのとおりです。
―― ではその「オ」から始まり「ス」で終わる大手リース系企業との関係を維持するためには、先ほどの話に戻ると、信頼が大事だと。
白石 はい、小さな案件もていねいに対応して、一つひとつ実績を重ねることだと思います。そうそう、信頼関係といえば。
―― 信頼関係といえば。
白石 M&Aの実務において、他士業とのパートナー連携は大事ですよ。
―― というと。
白石 資格によって、それぞれ得意・不得意分野がありますから。企業規模にもよりますが、ひとりでは完結しにくいことも多いですしね。
―― 小規模企業など「スモール」なM&Aは?
東川 それはひとりで行う。
白石 たしかに基本的にはひとりなんですが、ちょっと相談したいなあ、なんてときがよくあるので、そこはやはり依頼しますね。たとえば税理士に節税に関して相談したり。
―― では一般的な「チーム編成」は?
●「他の士業・コンサルタントと、どう連携していくか。
そのあたりも今回のセミナーで詳しくお話ししますよ。お楽しみに!」(白石さん)
資格や得意分野ごとに、スモールM&Aに参画できる
―― 2019年の「スモールM&Aアドバイザー入門セミナー」では、企業内診断士も多く来られました。組織内でそういった事案を持っておられる方も、またこれから独立を考えている診断士も、両方おられましたね。
白石 ほかには法人との関わりが深い保険営業にも、スモールM&Aアドバイザーはおすすめです。
東川 スモールM&Aアドバイザーなら、行政書士も適していると思う。とくに建設業や風営法絡みの顧客を持っていると、事業承継の相談を持ちかけられやすいねん。
白石 顧客と顧問契約など関係をすでに持たれている方は、動きやすいと思います。
―― アドバイザー以外のメンバーとしては。
白石 先ほどお話しした税理士、公認会計士など、数字面をきっちりおさえてくれる士業ですね。企業規模が大きくなると責任のリスクが出てくるので、会計士に依頼してレポートまで作らないといけない局面も出てきます。
―― 数字面のほかには。
白石 法務面を見てくれる弁護士や司法書士です。
東川 法務デューデリとして。契約書の事例とか?
白石 契約書はね、特別なことをしなければだいたい同じなので、私がいくつかご説明すれば大丈夫なような気がします。たとえば雛形の問題や、「ここだけは」というポイントなどですね。私の場合、司法書士にお願いすることが多いのですが、新型コロナの影響で増えてきた再生案件だと、弁護士は必須です。でも…。
―― でも?
白石 弁護士なら誰にでも依頼できる…というわけにはいかないかも。
―― というと?
白石 弁護士側の事情をお話しすると、わりと破産をすすめがちなんです。手続きも、ある程度は型どおりで進められますしね。その点は大いに理解できるのですが、私が従事しているような再生手法だと、ちょっと手間がかかる(笑)。だから多少の手間はかかっても、社長のためになることをやってくれる弁護士さんと組みたいなあと思います。
―― 社長のために。
白石 破産すると、従業員への給料を払った後には破産管財人と弁護士が分け合い、その後ようやく社長に残る…という形がほとんどです。しかも案件や弁護士によっては、報酬の額が数千万になったりすることもあって…、それだと社長のためにあまり残らない。もちろんそんなのはレアケースですが。
―― ほかの士業は。
白石 再生型M&Aだと、弁護士のほかに、再生コンサルタントを付けるケースが多いですよ。
―― 社会保険労務士は。
白石 社会保険労務士は、買い手側についていることが多いですね。
東川 人事デューデリやね。
白石 人事は多いです。昨今は未払い残業代でトラブルになるケースも少なくありませんから。余談ですが、人事デューデリでは退職金を見逃すこともあって、これは「M&Aの失敗あるある」なんですよ。
東川 小規模M&Aは基本的にひとりで行うけれど、こうして他士業との連携が大事だと。
白石 はい、こうして自分で動き始めてから実感しているんですが、先ほどもお話ししたように、税金や法務のことで、税理士や司法書士に対する有償の「依頼」というほどではなく、「ちょっと聞きたい」くらいの疑問が出てきます。だからそうなる前の段階で別の業務依頼などをしながら連携していたら、とても心強いですよね。
―― 白石さんも、スモールM&Aを手がけるようになってから、別件の仕事を頼まれることも増えたとか?
白石 そのとおりです。たとえば…。
(スモールM&Aを入り口に、他の業務を紹介された例は? 第3回に続きます)
白石直之中小企業診断士インタビュー(全5回)
「士業にスモールM&Aへの参画をすすめる理由は?」
【もくじ】
1/スモールM&A業務のメリットが大きくて路線変更
2/ひとりで抱え込まず、他士業との連携でスモールM&A
3/スモールM&Aを入り口に、他の業務の依頼が入る
4/コロナ事情、再生型M&A、実務寄り…【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020
5/需要は高いのに人が足りない、それが「スモールM&Aアドバイザー」
白石直之中小企業診断士による【スモールM&Aアドバイザー】入門セミナー2020を開催
今回の取材で話していただいたスモールM&Aについて、実務テクニックはもちろん、歴史から現在のマーケット傾向まで、最新の実例を交えてお話しします。
2019年の齋藤氏による同セミナーも好評でしたが、今回はとくに「コロナショック後」に増加しつつある再生型M&Aについて、また気になる「実務」についても、時間を割いてご説明くださるとのこと。
もちろん質問のための時間も設けていますので、気になること、深く知りたいことなど、何でも気軽にご相談ください。
●日時・会場
2020年8月21日(金) 14:00〜17:00 サニーストンホテル<江坂>北館
2020年8月22日(土) 14:00〜17:00 サニーストンホテル<江坂>北館
2020年8月28日(金) 14:00〜17:00 DAYS赤坂見附
2020年8月29日(土) 14:00〜17:00 DAYS赤坂見附
●定員 各回 25名
●受講料 6,500円(税別)
●お申し込みは下記からどうぞ↓
※白石さんの言葉もこちらから読めます