- 2014-11-13
- 士業インタビュー
- インタビュー, ネクストフェイズ編集部, 弁理士
大阪市淀川区で開業している弁理士・崎山博教さんは、独立2年目を迎えた40歳。
ほんわか、ゆったり、落ち着いてお話しになるのですが、お仕事はスピーディそのもので、
事務所のイメージカラーといえば士業では珍しいソフトなピンク、
人脈の広げ方についての「作戦」や、強みの活かし方も、ユニークで新鮮!
崎山さんのオリジナルな「逆張り」仕事術、5回連載でお届けします。
聞き手は、(株)ネクストフェイズ編集部です。
目次
第1回 イメージカラーに優しいピンクを選んだ理由。
第2回 勉強会や交流会についての、崎山「作戦」。
第3回 弁理士資格を取ったら独立しよう。なぜなら…。
第4回 アピールするだけが、強みの活かし方じゃない。
第5回 代書屋になり下がらない、弁理士の新しい仕事。
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第4回 アピールするだけが、強みの活かし方じゃない。
―― 崎山さんの強みは「スピード」ですよね。Webサイトにもハッキリ書いておられるし…。
崎山 ええ、調子にのって、こんなものまで作ってしまいましたし(笑)。
●商標も取得した『スピード・パテント23』のチラシ。もちろん優しいピンクがキーカラー
―― 通常は1ヶ月かかる特許の出願書類作成を、23時間で…って! ほかにこんな弁理士さん、なかなかいないと思います。大きな差別化ポイントですよ。
崎山 でも『スピード・パテント23』はねえ…。
―― はい。
崎山 シンドイんです(笑)。
―― …シンドイと思います(笑)。
崎山 だから、営業の場でこのチラシをお見せして、「スピード」をアピールするけれど、「お願いだから、これは依頼しないで」って付け加えます(笑)。
―― えええー。いったんアピールするのに…。
崎山 ただ、いざというときには、このスピード力でお手伝いできますよ、というお話につなげますよ、もちろん。
―― その点は、チラシを作っておくと信用してもらいやすいですね。
崎山 それはあると思います。サイトにもそう書いてありますし。強みって、普通は、それ自体で他の同業士業と差別化して、それ自体でお客さまを呼び込むという、営業的な使い方をすると思うんですが、私の場合はむしろ、「自信」ですね。
―― 強みを、営業ツールではなく、自信として…。
崎山 いざとなればこれくらいできる、という自信です。もちろん「スピードという点に興味があって…」と言ってくださる企業さんは多いですよ。ニーズは、あります。
―― でも営業の場では、「それだけは依頼しないで」と釘を刺す(笑)。
崎山 シンドイんで(笑)。
―― そんな「強みの活かし方」、初めて聞きました。出しておいて、引っ込めるなんて。
崎山 やっぱり逆張りなのかなあ…。
―― ところで実際に、この『スピード・パテント23』のご依頼は?
崎山 ないです(笑)。今のところ、幸いに(笑)。
―― それ、喜んでいいのか、悲しんでいいのか(笑)。
●「スピードというニーズは確実にありますよ。若い弁理士さん、いかがですか。おすすめです」
崎山 弁理士の差別化ポイントって、みんな品質がいい、仕事レベルが高いってアピールしたがりますよね。でも書類の品質って、見る人によって全然違ってくると思いませんか。
―― ああ…。
崎山 特許出願に情報いっぱい盛り込むのがいいと主張する人もいれば、無駄なことを書かない書類こそが完璧だと考える人もいます。どっちがいいという基準は、その人の経験によるんですよね。だから判断つけられない。
―― 客観的ではないと…。
崎山 一方、価格とかスピードだと、優劣がはっきりわかる。
―― わかります。数字で、はっきり。
崎山 だからといって、価格競争は私はやりたくない。うちは全部で3人しかいないので、価格で勝負すると事務所体力的にも厳しい。だからスピードを打ち出すことにしたんです。
―― でもシンドイと(笑)。
崎山 はい(笑)。でも23時間で特許出願書類を作成することは、けっして難しいことではないんです。誰にだってできると思いますよ。
―― ニーズはあるんですよね。
崎山 それはたしかです。だから、とくに若い方々、スピードを強みにしてみてもいいと思います。
―― 崎山さんと、かぶりますよ(笑)。
崎山 私はスピードから引退したいので(笑)。やりたいという若い方々がいれば、ぜひスピードを看板に上げてみましょう!
―― じゃ、崎山さん、これからどうします?
崎山 今ね、新しい営業手法を「練習」しているんです。
―― 練習?
崎山 先ほどチラシを持って行ったとお話ししたのは、企業にアポイント取って営業しに行ったときのことなんですよ。
―― そういうスタイルの営業はしたことがない?
崎山 はい、今は、ほとんど紹介ですから。でも、それで何とかなっている今こそ、次の段階として「営業」をやってみようかな、と。
―― お忙しいのに…。
崎山 しょっちゅうじゃないですよ。たまに、です。でも、まったく新しいことって、突然できるようにはならないでしょう。すぐに結果を求めるのは厳しい。だから年を取って動くのが億劫になる前に、今のうちに練習しようと。
―― たしかに年を取ると動くのが…(笑)。
崎山 今、40歳ちょうどです。これくらいの年齢なら、慣れない営業に行ったり、それがたとえ失敗しても、恥ずかしくないんです。これが50いくつになって初めて営業に飛び出しても、こちらのぎこちない営業トークに相手だって「??」と戸惑うんじゃないかな。
―― 営業先の企業選びはどのように?
崎山 弁理士なら誰もが知っている特許データベースのサイトに、たくさん企業名が載っています。そこで、「ここ、どうかな」と思う企業さんについて、ここさいきんの出願件数、担当している特許事務所のタイプ、もちろん特許情報も詳しく見て決めています。特許の内容によって得手不得手がありますからね。みなさんも、自分に合いそうな企業を探してみてください。
(知財ポータルサイト特許ランキング http://ipforce.jp/Data)
―― 練習の成果、これから楽しみですね。
崎山 営業しても、全然お仕事をいただけないかもしれない。けれど、何度も失敗するうちに、見えてくるものもあると思うんですよ。「そもそもこのスタイルの営業は無意味だった」とわかるかもしれないでしょ。
―― それもまた、ひとつの成果です。
崎山 ただ今後、弁理士として独立開業する若い人々に私が何か言えるとしたら…。
―― はいっ!(身を乗り出す)
(第5回に続きます)
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目次
第1回 イメージカラーに優しいピンクを選んだ理由。
第2回 勉強会や交流会についての、崎山「作戦」。
第3回 弁理士資格を取ったら独立しよう。なぜなら…。
第4回 アピールするだけが、強みの活かし方じゃない。
第5回 代書屋になり下がらない、弁理士の新しい仕事。
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