大阪市北区で開業している、弁護士・中村和洋さん。
「外れ馬券訴訟」の弁護人としても有名ですが、
それ以前からずっと、「紹介」でお仕事をいただくことが多い方なのです。
独立したばかり、あるいは独立間近という弁護士さんはもちろん、
他の士業さんも今日から実践できる具体的な仕事&経営ヒント、
5回連載でお届けしましょう。
また「外れ馬券訴訟」についてお話しいただいた特別編も、ぜひあわせてご覧ください。
聞き手は、ネクストフェイズ編集部です。
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中村和洋(なかむら・かずひろ)さん
弁護士。
●検事経験を豊富に持つ貴重な若手弁護士として、また、名高い「外れ馬券訴訟」※の弁護人としても活躍。
※大阪市のAさんが独自のシステムを構築して大量かつ反復的に行った馬券購入を、「営利を目的とする継続的行為」とし(=一時所得ではなく雑所得としての扱い)、外れ馬券も経費に算入できると訴えた裁判。
一審・二審でAさんの主張が認められ、現在は検察側が上告中。2015年3月10日に最高裁の判決が言い渡される予定。
●弁護士法人中村和洋法律事務所 http://www.k-nakamura-law.jp/
※取材当時は独立3年目、43歳
中村和洋弁護士インタビュー(全5回+特別編)
「紹介」が多いのはなぜですか?
【もくじ】
第1回 紹介と、その準備。
第2回 ネット広告と、フェイスブック。
第3回 餃子専門店と、人柄。
第4回 交流会の料金と、主催者。
第5回 士業と、和菓子。そして、桶。
【特別篇】 「誰ががんばるの? 法律家でしょ!」
第5回 士業と、和菓子。そして、桶。
―― キラーコンテンツを決めて、その「仕事」に集中することですね。
中村 そしてふたつめに、これは極論なんですが、もうね、「実績」を積み重ねるしかないんですよ(笑)。
―― たしかに! しかしその「実績」を積み重ねるための「仕事」がないのが困りもので、「仕事がないから実績が作れない」「実績がないから仕事が来ない」と、考えがグルグルします(笑)。
中村 うーん…。「焦らないこと」なんでしょうね。
―― 焦らない。
中村 自分の進みたい方向性から事務所の立地まで、そういう計画は開業前にきっちり立てておくべきでしょう。で、いざ開業したからには、走る。満を持して、スタートダッシュする。しかし、けっして焦らない。
―― そのためには…。
●依頼人との面談は、関係書類をPC画面で互いに確認しながら。
「お医者さんの電子カルテみたいですよね」(中村さん)。
ちなみに以前は、裁判所で使われる書類は一太郎のみだったそうです(現在はWordもOK)←業界プチ情報
依頼ゼロが何ヶ月も続くなら、根本的な別の問題がある
―― 開業前の貯金ですね。
中村 はい、でも、いざ独立開業して、依頼ゼロが何ヶ月も続くってことは、ないはずなんです。
―― 絶対の、絶対に、ない?
中村 依頼ゼロが何ヶ月も続くということは…、それは、何か根本的な別の問題がある(笑)。
―― あ(笑)。
中村 そうでなければ、たとえ仕事が少ないといっても、月に1件や2件はあると思います。それら一つひとつに対して、真摯に取り組んでいきましょう。
―― 一つひとつを大切に。
中村 あと、ほかに考えられるのは、仕事がなくて暇があるのなら、仕事以外の何かができますよね。そのときできることをすればいいわけで…。たとえば交流会に積極的に出席するのもいいと思うし、セミナーなどでも、まとまった回数があるものに出てもいいだろうし、時間があるからチラシ作ってみようとか、HPを工夫してみようとか。
―― ああ、それも「紹介につながっていく準備」ですね。
中村 もちろんそのためには先立つものがないといけないから、それなりの資金を確保して3ヶ月、半年くらいの余裕を持ちながら、その間に依頼された数少ない仕事を丁寧にこなすことで、実績を作っていくと。
実績の、地味な、しかし不思議な増え方
―― (笑)。
中村 その1が2になって、2が3になって…。でも、3から5にポンと飛ぶことはあるんですよ、実績というものは。
―― あっ…。←何か思い当たっている
中村 その5が、また7にポンと飛ぶ。7にまで増えたら、今度はいきなり10くらいにポーンと膨らむこともある…。実績って、そんな風に、地道に増えていくものだと思うんです。非常に地味な…。
―― なるほど…。
中村 とくに我々の、士業の仕事は、本当に地味だと思います。仕事の中身が地味ですからね、職人みたいに…。そう、職人の仕事に似ていると私は思っているんです。毎日がんばって和菓子作るとか、桶作るとか、そういうタイプの仕事なんです。
―― 桶!(笑)
中村 桶です、和菓子です(笑)。1個1個、いい桶作って、おいしい和菓子作って、買ってくれた人が「これ、よかったね」と思ってくれたら、その1人がいずれ2人、3人と増えていくわけです。そう考えると、毎日がんばって工夫して、和菓子作って…それしかないです。
―― ホントですね。
中村 おいしくないものを、いくらおいしいと実力以上に宣伝して、流行って、その和菓子が売れたとしても、しょうがない。そうやってお金を得ていく方法もあるとは思うけれど、それより私は、着実に少しずつ広がっていくのが一番だと思うんですよ。
―― 着実に。
中村 はい、焦らない。けっして焦らない。結果がすぐ出なくても、信じる。信じて、作り続ける。
―― なるほど、和菓子ですね、桶ですね。
中村 いえいえ、作るのは「実績」です(笑)。
(おわります)
●より正確なニュアンスを伝えるために言葉を尽くし、また誤解のないようにクリアな言葉を選びつつも、
爽やかな笑顔を絶やさない中村さん。ありがとうございました!
中村和洋弁護士インタビュー(全5回+特別編)
「紹介」が多いのはなぜですか?
【もくじ】
第1回 紹介と、その準備。
第2回 ネット広告と、フェイスブック。
第3回 餃子専門店と、人柄。
第4回 交流会の料金と、主催者。
第5回 士業と、和菓子。そして、桶。
【特別篇】 「誰ががんばるの? 法律家でしょ!」