- 2015-5-7
- 士業インタビュー
- インタビュー, ネクストフェイズ編集部, 社長対談, 税理士
東京都墨田区で開業している税理士・猪田昭一(いのだ・しょういち)さんは、
独立3年目を迎えた29歳。
そう、まだ20代! しかも、もう独立3年目なんです。
営業は一切しないのに絶賛繁盛中というその理由を中心に、
ネクストフェイズ社長…というか、
今回はむしろ中小企業診断士としてのヒガシカワとご対談いただきました。
ユニークな仕事スタイル、金融機関との関係を作っていく方法、
関与先から融資相談を受けたら税理士的にどうなのとか、
専門家が知っておきたい各種の公的補助金、地域密着主義の貫きかた、
地元の士業ネットワークづくり、次世代を見据えた事業計画…などなど、
会話はまるでジェットコースターのようにスピーディでエキサイティング。
ふたりのお喋りをそばで聞いているような気になれる(ことを目指した)ライブな対談、
今回はたっぷり10回連載でお届けしましょう。
猪田さんが展開する内容の広さと濃さのおかげで、破格の読みごたえですよ。
【もくじ】
第1回 ほとんどの顧客が法人。個人さんは受けません。なぜなら…。
第2回 金融機関にとって「役に立つ」税理士。
第3回 地域の若手士業と、どんどん連携していきます。
第4回 顧客からの融資相談、コツさえつかめば難しくないのに…。
第5回 公的補助金申請のお手伝い、する? しない?
第6回 地場で連携して、この土地から新しいものを。
第7回 自治体訪問時に、みかん置いてきたりして。
第8回 税理士も、クリエイティブに。
第9回 次世代の経営者を育てると、自分も育っていく。
第10回 「すきま」は、つついていると広がる。
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第1回 ほとんどの顧客が法人。個人さんは受けません。なぜなら…。
猪田 今日は大阪から?
東川 はい、大阪から。
猪田 僕、4月21日に「大阪来い」と言われていて、いや、無理だよって断ったんです。(注:取材は3月下旬に行われました)
東川 何でまた。
猪田 大阪で「情熱の学校」という、ブランディングやっているエサキヨシノリさんってちょっと変わり者のおっさんがいるんですけど、「ライブやるからおいで」って言われて。
東川 何のライブですか。
猪田 町工場を応援するライブとかって。
東川 大阪来てくれたら、僕とも一緒に飯でも食いにいけますやんか。
猪田 行きたいんですけど、さすがにちょっと怒られています(笑)。子ども生まれたばっかで。
東川 あ、書いていましたね、Facebookに。
猪田 ちょっと動けないので。
東川 今日もお忙しいとか。
猪田 このあと事務所に戻って、いろいろと細かいことがたまっちゃっていて、すみません。
東川 ちょうど確定申告終わったばっかりですもんね。
猪田 はい(笑)。ないんですけどね、お客さん、確定申告ほとんど。
東川 全部法人ですか。
猪田 個人のお客さんは、一切受けないので。
東川 ほう。
猪田 個人って、お金もほとんどもらえない。顧問料負担が、まず、できない。だからお仕事としては受けないんです。個人を一切受けないというのは、そう公表しているという面もありますけど、僕、創業しかやらないので。
東川 猪田さんのおもな顧客は創業者で、なかでも「法人設立を考えている創業者」を応援しているんですよね。
猪田 はい、お仕事として、お金いただく先は法人です。でも、何もやらない、何も始まっていない時点からサポートするので、その時点ではまだ法人じゃない。そういうときは公的な制度を使って、たとえばミラサポのアドバイザー、その仕組みを使って派遣で行ってしまいます。それこそ、「こんな商売始めたいんだけど、何から準備するの」とか、「飲食店やりたいんだけど、どこのお店に聞きに行ったらいいかな」「仕入れの材料はどこから」とか。
東川 そこから聞いてきますか。
猪田 そこから。で、僕、食材とかの仕入れも特殊なところから、全国から調達するんです。
東川 そこまで手伝っているんですね。手間がかかるでしょう。(笑)
猪田 でも、メール1本で大体全部。たとえば、某市役所さんに1本電話して、「悪い、食材ちょっと何かサンプル送って」って一言言って、ブツッて切るだけなので(笑)。
東川 そんなんで送ってくれます? すごいな。
猪田 バーベキューとかだと、100人前の食材とか調達して、イベントの宣伝とかもやっていたりするんです。
東川 こないだバーベキューやっていましたよね。
猪田 4月もです。経営者100人ぐらい来て。島根県の離島から、岩ガキ100個(笑)とか。
東川 Facebookで見て面白そうやな、と思っていました。
猪田 バカなことばっかりやっていますよね。でも、バカやるからお客さんが来てくださる…というか(笑)。
東川 それは、ありますよね。
猪田 イベントの場で「顧問契約ください」みたいな営業するんじゃないですよ。僕も仕事は手いっぱいなんで、お仕事の契約とか別にいいですって言うんです。
東川 でも、ぜひお願いしたい。
猪田 …と言ってくれる人としか契約しない(笑)。
東川 いい流れです(笑)。
猪田 なので、ウェブからのお客さんはもう全部断っています。お問い合わせ来ても、誰かからの紹介であればお会いはしますけども、たいていメールで済んでしまうんです。僕が興味あるのは、何をやっている人かとか、どんな経歴をお持ちとか、むしろそちらで(笑)。
●猪田さんの事務所HP。問い合わせフォームはあるけれど、なかなか契約には…
東川 僕もそんなんですよ。メールで問い合わせ来ても、初回面談の料金が…と言うとそこで終わってしまう。連絡こなくなってしまう。それでも「来たい」と言う人とは、もちろんお会いしますけれど。
猪田 ウェブからだと、「なんぼですか」という結論から入ってきますよね。スタートアップさんって、お金ないし。
東川 ないですね。
猪田 月に顧問料1万円出すのが厳しい。でも1万円では、僕もさすがに(笑)。
東川 できないですよね。
猪田 たとえば僕と一緒に、シナジーというか、コワーキングとか、スタートアップ施設とか、僕自身もやりたい事業をなさる方だったら、「あ、お金いいですよ」「僕も一緒にやりましょう」となります。企画から入って、何から何までやって、一緒になってその事業を大きくするとかね。そういう、お客さんと一緒にやっていけるような事業以外は、ほとんど断っちゃう。
東川 僕、そこをお尋ねしたかったんです。お金がないという創業者を相手になさっているのに、どうやって費用をもらうんかなって。
猪田 銀行さんとか、あと、いろんなところがですね、最近手伝ってくれるんですよ。
東川 銀行さん?(メガネがキラッ)
(次回に続きます)
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【もくじ】
第1回 ほとんどの顧客が法人。個人さんは受けません。なぜなら…。
第2回 金融機関にとって「役に立つ」税理士。
第3回 地域の若手士業と、どんどん連携していきます。
第4回 顧客からの融資相談、コツさえつかめば難しくないのに…。
第5回 公的補助金申請のお手伝い、する? しない?
第6回 地場で連携して、この土地から新しいものを。
第7回 自治体訪問時に、みかん置いてきたりして。
第8回 税理士も、クリエイティブに。
第9回 次世代の経営者を育てると、自分も育っていく。
第10回 「すきま」は、つついていると広がる。