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税理士は他の税理士の顧問先に営業してはいけない?

税理士のみなさん、また他の士業・コンサルタントはどうお考えになりますか。

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。

先日、ある税理士から下記のような話を聞きました。

A税理士
税理士には

他の税理士の関与先に営業してはいけない規則があるんです

私も昔、その規則に従って
同意書にサインした覚えがあります


 
私も以前から同様の規則があるとは耳にしており、これを機にネット検索すると、以下のような某税理士会の綱紀規則を見つけました。

(業務侵害行為の禁止)
会員は、直接であると間接であるとを問わず、他の税理士又は税理士法人の業務を不当又は不公正な方法によって侵害する次のような行為をしてはならない。
(1) 納税義務者に対しみだりに業務の委嘱を懇請すること。
(2) 不公正な方法をもって業務の委嘱を誘引すること。
(3) 他の税理士又は税理士法人の使用人等を引き抜き雇用すること。
(4) 上記各号のほか、不当又は不公正な方法によって業務を侵害すること。
2 会員は、すでに他の税理士若しくは税理士法人が関与している者より委嘱の申し込みを受けた場合は、良識により判断し、相互の信義にもとらないよう努めなければならない。

 
「不当又は不公正な」「みだりに」「良識により判断」「相互の信義」「努めなければならない」…。ふむふむ、なるほど。しかしどういうケースが該当するのか判断が難しく、自分では大丈夫と考える行動が、実は抵触している…ということもありそうです。

「だったら営業的な活動は一切しないほうが」と、税理士は二の足を踏みがちですよね。一方、士会の立場を考えると、もちろん公に事例などを具体的に示すのは難しいだろうとも推察します。これは悩ましいです。
 

実質的に営業禁止?

先の税理士の言葉にあった「他の税理士の関与先に営業してはいけない」の根拠は、上記の綱紀規則にある「2 会員は、すでに他の税理士若しくは税理士法人が関与している者より委嘱の申し込みを受けた場合は、良識により判断し、相互の信義にもとらないよう努めなければならない。」なのだろうと思います。

この文言、私には一見、以下のようにほのめかしているかに感じられました。

「今つきあっている税理士を変えたいので、弊社の面倒を見てくれませんか」と事業者から依頼されても、「良識により判断し、相互の信義にもとらないよう」、なるべくなら辞退する方向で考えてみては…?

 
ここはたしかに大切な部分で、ゆるく設定してしまうと業界全体の収拾がつかなくなることはじゅうぶん想像できます。しかし、しかしです。
 

顧客は自由に税理士を変えることができないのか?

「税理士を変更したい」という言葉は、事業者が今の税理士に不満を持っているからでしょう。不満のある税理士とつきあい続けなければならない義務は事業者にありませんから、他の税理士に変更しようとするのは当然ですよね。

ところが新たに顧問になってほしいと依頼されても自分の自由意志での受任が(もし)許されないなら、顧客の利益を阻害することにならないでしょうか。そのあたりが、なんともすっきりしない感じがします。

しかし私は税理士ではないし…ということで…。
 

営業することは他の税理士の顧客を奪うこと?

この規則について、別の税理士に意見を求めてみました。

B税理士
ベテランの税理士が

「営業するということは
他の税理士の顧客を奪うことに繋がり
品位に欠ける行為になるから
営業活動を積極的に行うべきではない」

…と言っているのはよく聞きますね


 
他の税理士に営業されて顧問先を失った税理士が批判すべき先は、その顧問先を獲得した税理士ではなく、顧問先を失う原因を作ってしまった自分ではないかと私などは考えるのですが…。

顧問先が満足できるサービスを提供し続けることができていたら、顧問契約を解除されることはなかったはずです。他の税理士への変更は、自分の提供サービスの満足度が、新しい税理士に比べて劣っていたことに他なりません。

にも関わらず「税理士たるもの営業するなんて」と批判する税理士は、自らのサービスを磨き、よりよいサービスを顧客に提供する視点が欠けているのではないかと思います。

ただしB税理士の言葉にあった、ベテランの方々が口にする「品位」は、税理士のみならずどの職業でも共有したい概念ですよね。おそらく過去に大きく逸脱した行動を取ってしまった人々がいたのではないかと私も想像しており、この言葉にこだわる気持ちはよく理解できます。
 

営業で顧客を獲得できている税理士は「強み」を持っている

さて、営業している税理士が、必ずしも次々と顧客を獲得できているとは限りません。しかし営業して顧客が獲得できている税理士には、何か「強み」があります。

たとえば融資・補助金・相続・会計のIT化など「特化した業務ノウハウ」、つまり顧客が求める知識、またはズバリ「価格」だったりもするでしょう。

あるいはそれらとは別に、レスポンスが早い・フットワークが軽い・雑談にも快く応じてくれるなどの、「相談しやすさ」「面倒見のよさ」「親しみやすさ」かもしれません。

一方、強みを持たない税理士は、強みを持ち営業を積極的に行う税理士に顧客を奪われ、次第に淘汰されていく可能性が高いと思います。

「これから」を生きる税理士としてすべきことは営業を行う税理士に対するクレームではなく、顧客から選んでもらえる「知識」「ノウハウ」、または「価格競争力」、さらにはそんな自分の強みを伝える「営業力」を磨いていくことでしょう。

顧客満足度は二の次にして既得権を主張しがちな守旧派の姿勢が、顧客の要望に応えようと試行錯誤を繰り返す若手税理士の成長意欲を削ぐことにならないようにと願っています。

また独立開業から10年以上も経つようなベテラン税理士が「そうだ、自分も強みを持ちたい」と思い立ったとき、「大丈夫です、今からでも間に合います」と太鼓判を押し、「こんな方向はいかがですか」「こんな道もありますよ」「こんな知識が、今とても求められています」「今の顧問先の層を考えると、このスキルを学ぶのがおすすめです」と、多方面からアドバイスできる自分でいたいとも思っています。

せっかく取得した税理士資格であり、もちろん独立開業には不安や迷いも(もしかして反対も)あったでしょうし、またその後だってつねに順風満帆であったはずがありません。末永く今の資格を活かして、多くの事業者を支援していきたいですよね。


顧客満足度を高めるためには、顧客ニーズに応えるサービスを提供する必要があります。

中小企業経営者の3大悩みは「資金繰り」「売上」「人の問題」。これらのどれかについてアドバイスやサポートができれば、単なる記帳代行や税務申告しか提供できない税理士に比べ、顧客満足度について大きなアドバンテージを取ることができるようになります。

中小企業経営者の3大悩みの中で最も多い悩みは「資金繰り」。資金繰りの悩みに対応できるようになれば、多くの顧客から選んでもらえる税理士になることができます。

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