- 2023-7-13
- 顧客獲得
- 士業のビジネスモデル, 認定支援機関
「個人」ではなく「法人」名義で業務を行っていても、登録への道は拓かれています。
こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
士業・コンサルタントのみなさん、認定経営革新等支援機関に登録していますか? 何かと必要性を感じることも多く、ぜひにと考える人は多いでしょう。しかし登録への要件・道筋は複数あり、自分がどれに該当するか、または該当しないかわかりにくいのが難点。そのせいかネクストフェイズの以下の記事は、以前からよく読まれています。
このたび私も「再登録」手続きの着手を考えていたところ、その過程で「個人」ではなく「法人」名義で業務を行っていても、「個人」として登録できることを知りました。
先に根拠をおさえておきたい読者は、認定経営革新等支援機関FAQについて解説した箇所からご覧ください。
また次項からは、少し長くなりますが経緯をお話ししましょう。流れをまとめると以下のとおりです。
↓
●2020年 更新時
※更新には「中小企業診断士個人としての活動」が必要
※しかし活動はすべて法人名義だった
↓
●仕方なく更新せず
↓
●2023年 法人決算書の提出で「個人」として再登録
なお中小企業診断士の場合、「個人」の持つ資格で「法人」としての登録はできません。このことを知った経緯は以下の過去記事をご覧ください。近畿経済産業局を訪問して直接詳しくお尋ねした件です。
一度は「法人」で登録、数年ブランクの後「個人」で再登録
2013年7月に「経営革新等支援機関」の認定をいただいたのは、2013年7月。個人ではなく、「法人」株式会社ネクストフェイズとしてでした。
現在は税理士・弁護士・公認会計士・中小企業診断士のみが資格を所持することで、認定支援機関として登録できます。が、当時、中小企業診断士はその対象から外れていたため、「経営革新計画の承認支援を3件以上」という要件を満たしたうえでの登録でした。
登録後は認定支援機関として活動していましたが、7年後の2020年7月に登録期間が終了。更新をしなかったため、いったん経営革新等支援機関としての活動も停止しました。
2020年以降は経営革新等支援機関としての活動を停止していたのですから、次は更新ではなく、再登録です。そのためには再び「経営革新計画等の承認・認定支援を3件以上」という要件を満たす必要がありました。が、法人業務が多忙で、個人としての活動時間を捻出できずにいたところ…
2023年、「法人」決算書の提出で「個人」として再登録することができた次第です。
中小企業診断士資格だけで認定支援機関の登録は可能、しかし…
上記を読んで「中小企業診断士はその資格を所持しているだけで、認定支援機関として登録できるのでは?」と疑問を感じた読者もいるでしょう。たしかに2020年の時点でも、中小企業診断士資格で認定支援機関としての登録は可能でした。
しかし厳密には、資格以外にも以下に要件があります。
要件①活動の実績
■中小企業・小規模事業者の財務内容等の経営状況の分析や事業計画の策定支援・実行支援を適切に実施する観点から、具体的には、以下のような認定基準としています。
(1)※後述します
(2)中小企業・小規模事業者に対する支援に関し、法定業務に係る1年以上の実務経験を含む3年以上の実務経験を有していること、または同等以上の能力を有していること(後略)
私は2003年から中小企業へのコンサルティングを行っているため、(2)の要件は問題なくクリアしていました。
要件②資格だけで登録するときは
私にとっての問題は、上記(2)ではなく、(1)でした。
(1)税務、金融及び企業の財務に関する専門的な知識を有していること。
経営革新等認定支援機関候補として想定される者は、多岐多様にわたり、かつ、それぞれにおいて専門的な知識のメルクマールが異なることから、以下(イ)~(ハ)の3分類で判断することとします。(イ)士業法や金融機関の個別業法において、税務、金融及び企業の財務に関する専門的知識が求められる国家資格や業の免許・認可を有すること (税理士法人、税理士、弁護士法人、弁護士、監査法人、公認会計士、中小企業診断士、金融機関のみ本号に該当)
(ロ)「中小企業等経営強化法」等に基づいて、中小企業者等が「経営革新計画」、「異分野連携新事業分野開拓計画」等の策定を行う際、主たる支援者として関与した後、当該計画の認定を3件以上受けていること。
(ハ)(イ)や(ロ)と同等以上の能力を有していること
診断士資格の所持のみで登録するなら、上記(1)の(イ)にあたります。しかしあくまでも「法人」ではなく「東川仁」個人としての登録ですから、そのためには(2020年の更新時は)「中小企業診断士個人としての活動」が必要でした。
ところが経営コンサルタントしての活動はすべて法人名義で行っていたため、中小企業診断士個人の売上も収益もありませんでした。認定支援機関として登録する際は、過去の損益計算書の内容を報告する必要がありますので、私は更新できなかったのです。
2023年7月現在、法人代表者である診断士なら個人として登録できる
あるとき「認定経営革新等支援機関電子申請システムのFAQ」を閲覧していたところ、以下の質問を見つけました。
中小企業診断士または公認会計士として、個人で認定を取得したいと考えている。
しかし、自らが代表を務める法人はあるが、これまで個人では事業を実施してこなかったため、個人としての事業基盤はない。
この場合、認定を取得することはできないのか。
回答は以下のとおりでした。結論からいえば、法人の決算書を提出することで「個人としての登録」ができるようになっていたのです。
(前略)中小企業診断士または公認会計士が個人で認定(新規及び更新含む)を受けようとした際に、中小企業等の経営強化に関する基本方針における「2 経営革新等支援業務の実施体制に関する事項」に定める要件を満たせない場合、以下の運用による認定を認めています。
(中略)
「1.申請者である中小企業診断士または公認会計士が代表を務める非認定支援機関の法人(監査法人を除く)が別途存在しており、同法人が中小企業等に対する経営相談といった経営支援を継続的に実施してきたことが客観的に認められる場合
2.当該法人の事業基盤をもって、中小企業診断士または公認会計士である個人の事業基盤とみなすことができる。(後略)
法人の決算書が、個人の事業基盤として認めてもらえるんですね。私のように法人名義で活動していて登録をあきらめていたみなさん、ぜひ挑戦してみてください。認定支援機関には、事業を行ううえで多くのメリットがあります。
認定支援機関だからできる業務まとめ
過去記事でもお知らせしていますが、あらためて中小企業庁の資料に記載されている「認定支援機関の関与が必須の補助事業等」についてお伝えしましょう。
●事業再構築補助金
●中小企業経営強化税制C類型
●個人事業者の遺留分に関する民法特例
●個人版事業承継税制
●先端設備等導入計画
●法人版事業承継税制
●事業承継・引継ぎ補助金
●経営改善計画策定支援事業
●経営力強化保証制度
上記資料には、これ以外にも「認定支援機関の関与が必須ではなく、他の機関や条件でも可の国の補助事業」についても記載されています。ぜひ参考にしてください。
また、ネクストフェイズが制作した「認定支援機関アピールチラシ」「活用マニュアル」を、無料でプレゼントしています。見込み客への配布などで、新規業務の獲得に役立てることができるでしょう。詳細は以下の記事をご覧ください。
認定支援機関として、中小企業の経営者に貢献できる場面は数多くあります。「認定支援機関だからこそ利用できる補助金」が多数用意されているからです。
なかでも大いに活用できそうなのが、「早期経営改善計画策定支援補助金」(ポストコロナ持続的発展計画支援事業)です。
今後、コロナ融資のリスケを必要とする事業者はかならず増えます。リスケ時は、事業者は金融機関に対して基本的に「経営改善計画書」を提出しなくてはなりません。
この「経営改善計画書」の作成支援時に使える補助金が、「早期経営改善計画策定支援補助金」です。この補助金の利用で、リスケを避けられない事業者の負担を軽減することができます。
そんなリスケのサポートを行う上で必要な知識・ノウハウを学べるセミナーです。