社員じぶんひとり、という小さな法人を知人が立ち上げました。するとすぐに、税理士さんたちから営業案内が届いたのだそうです。
こんにちは、ネクストフェイズ編集部(以下、編集)です。
ごく零細な法人設立後に知人が受け取ったという、
数々のDM(ほとんど税理士さんから)を見せてもらう機会に恵まれました。
あくまでも知人1名の体験談ですし、届いたDMも税理士6名分だけなので、
安易に一般化するわけにはいきませんが、
知人と話すうちに、いろんな「?」や「!」が見えてきた(ような気がする)ので、
士業・コンサルタントのみなさんにとって、
日々の営業の小さなヒントになったらいいなあと思いながらお届けします。
いつもながらの連載です。今回は全4回です。
もくじ
第1回 DMへの率直な感想は?
第2回 経営者1年生の心が動いたDMとは?
第3回 顧問税理士を決められない理由
第4回 「はじめての顧問税理士」に望むこと
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第2回 経営者1年生の心が動いたDMとは?
税理士からのDMを比較
法人設立直後、税理士が決まっていない状態で、税理士さんたちからDMが届き、不審に思う気持ちになったという知人。しかし新設法人の名前や住所は法務局で見られるということをネットで知って、その感覚は払拭されたようです。
前回も書きましたが、知人が受け取ったDMのうち、税理士さんが6名。知人はその時点で(今も、ですが)税理士さんを決めていません。編集は質問を続けます。
「そのなかで、心が動いたDMはありましたか?」
知人は、また少し困った顔をしてこう言いました。
「まだ開けてないんです」。
えーっ。まさかの展開。
「設立したばかりで忙しくて…」
そ、そうですか。たしかに設立直後って忙しそうです。送った側としては、すぐに反応を期待しても難しいのかもしれません。
しかし…あの、もう設立して何ヶ月か経っていますよね。
「はい、でも本業を回していくのに手一杯で」
「じゃ、いま開けちゃいましょう!」と、思わず編集は言いました。
「なんなら、いま決めてしまいましょう、御社の税理士さんを!」と付け加えたかったのですが、そこは自重しました。
いま開けることに同意してもらえたので、いよいよ開封の議とあいなりました。じゃじゃーん。
●つまらない写真ですが…「開封の議、終了」の証拠です
「どれに興味をおぼえますか」
あんまり急がせてはいけない、と自重しつつも、尋ねたいことは尋ねたい。
知人はDMを眺めて言いました。
「よくわからないです…」
そ、そうですよね。
「でも編集さん」と知人は言いました。
「開封する前から、気になるDMはあったんですよ」
ほほう、と編集は身を乗り出しました。
封筒の外側は大事
「設立直後は忙しいので、中身を開けることはありませんでした。でも封筒は見ますよね。そこに何か書いてあれば、自然に目はいきます」
なるほど。そこであらためて封筒の外側を観察し、気になっていた/ならなかったDMを仕訳しました。
●「開業1年目に限り顧問料月額○万円」といった「新設法人向けメッセージ」が封筒に書かれてあると、とりあえずそこは読む
●封筒に「○○業界に強い」といった「事務所の特色」が書いてあれば目に入るし、自分の業界と合致していたら興味はわく
●「粗品入り」とあって封筒が少し膨らんでいると、「何が入っているのかな」とは思う
●事務所名だけが入った、普段遣いしているような封筒だと、テンション上がらない
数回送ってもいい
知人が「開封前からずっと気になってた」と言うのは、
●同じ税理士さんから、1週間ごとに届く、A4サイズの大判ハガキ
でした。
「ハガキと言っていいのでしょうか」と知人。
「まあ、1枚モノで、封筒じゃないし…」と編集。
そのDMは120円切手で送られてきた、やや厚めの1枚モノの定形外郵便です。知人が「とても印象に残った」というのは以下の3つのポイントでした。
●封筒じゃないので、わざわざ開封しなくても、全部読もうと思えば読める
●A4サイズだから、目に入る情報量が多く、一覧できる(しかも画像・図版が多かった)
●毎週届くので、なんとなく見知った感じがしてきた
営業色が多少強くてもいい
「それに加えて、営業がんばっておられるんだな、という点に好感を持ちました。いちおう私も経営者なので、営業の大切さはよくわかるんですよね」との由。
なるほど、こういうのって、受け取った人に訊いてみないとわからないものです。新設法人へのDMは、営業色を少々強めに出してもよさそう…と編集は感じました。
「で、4通目はなかったんですか」と訊いたら、
「まあ3通目をもらった時点で、設立後約1ヶ月なんで…」
ああ、普通なら税理士を決めてしまっていますよね。ということは、3通で終えるのが合理的といえるのかもしれない…。
知人が好感を持ったというその事務所、
顧問料も他と比べてけっして高いわけではありません。
「この税理士さんと顧問契約するおつもりはおありですか?」と編集は尋ねました。
すると、知人の答えは「NO」。
どんなDMなら読むの? というよりむしろ…
知人はまず、「遠いから」と言いました。たしかに知人の都道府県とは違う、少しばかり遠いところからのDMでした。
「自社から遠いか近いかというのは、気になりますか」
「ならないことはないですね」
「でも大きな問題じゃない?」
「大きな問題じゃない」
そして知人は続けます。
「問題は、そこじゃないんです。税理士事務所との距離でもないし、料金も大切だけれど、それだけじゃない。そしてまた、DMの体裁でも、たぶんないんです」
さて知人の「ひっかかり」は何?
次回、どうぞお楽しみに!
(第3回に続きます)
【第2回まとめ】
●設立直後は忙しくて開封する時間がない=反応はすぐ返ってこないかも
●一方、封筒の外側のメッセージなら読まれやすい
●普段遣いしている「事務所名だけが入った封筒」は興味を持たれにくい
(→新設法人用に向けた特別なメッセージを、封筒のオモテに!)
●封筒のない、A4の大判ハガキのDMは読まれやすい(情報も多い!)
●1度きりではなく、1週間ごとに、違った内容が届くと、親近感がわく
(といっても、3通目くらいが合理的かもしれない)
●新設法人へのDMは、思い切って営業色を強めに出してもよさそう
●事務所と自社との物理的距離は、気にはなるが大きな問題ではない
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もくじ
第1回 DMへの率直な感想は?
第2回 経営者1年生の心が動いたDMとは?
第3回 顧問税理士を決められない理由
第4回 「はじめての顧問税理士」に望むこと