- 2017-7-24
- 語録・記録
- 弁理士, 弁理士、金融機関へ行く, 日本政策金融公庫, 融資コンサルタント協会
大阪府堺市で独立開業している、山本英彦(やまもと・ひでひこ)弁理士(37歳)。
2年目を迎える本業の特許事務所とは別に、このたび2017年6月、
特許権活用のニュービジネスのために新会社を設立することにしました。
そこで創業融資をしてもらうことを(最終?)目的に、
金融機関との関係構築を決心して…。
こんにちは、ネクストフェイズ編集部です。
かつて同僚としてネクストフェイズで働いていた山本さんは、
弁理士という士業であり、
規定の講座を受けた融資コンサルタント協会認定のSP融資コンサルタントであり、
また同時に、経営者自身。
そんな山本さんが、金融機関との関係構築の過程を綴った記録を送ってくれました。
読んでみたら、現場ならではの情報や実感にあふれ、はっとさせられる点がたくさん。
そこで山本さんから原稿が届きましたら、随時、こちらでご紹介していくことにしました。
なるべく固有名詞を秘さない、なるべくリアルな体験ルポを、不定期連載でお届けします。
『弁理士、金融機関へ行く』シリーズ
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【3】日本政策金融公庫で早とちり2回
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こんにちは、弁理士・SP融資コンサルタントの山本です。『弁理士、金融機関へ行く』第3回です。といっても、今回訪問したのは池田泉州銀行ではなく、日本政策金融公庫です。2017年5月16日(火)のことです。
「中小企業事業」か、「国民生活事業」か
日本政策金融公庫の某支店を訪問しました。建物にある案内図ですぐに「日本政策金融公庫」の文字を発見、エレベータに乗ります。降りてすぐ、ガラス張りのきれいなドアに「日本政策金融公庫」と書いてあり、ドアを開けて中にはいると、受付の女性がいました。
融資をお願いしたくて訪問した旨を伝えると、「中小企業事業ですか?」と聞かれ、一瞬「?」となりました。
しかし、訪問前にHPで予習してきた内容を思い出し、「国民生活事業です」と答えると「国民生活事業はひとつ上の階になります」との回答が返ってきました。
「失礼しました」とその場を去り、再度案内図をみると、
・『○F:日本政策金融公庫 中小企業事業』
・『○F:日本政策金融公庫 国民生活事業』
と、別々のフロアになっていました。早とちりには気を付けましょう。
おおまかにいえば、「中小企業事業」は少し規模の大きい中小企業が対象。規模のあまり大きくない創業である山本さんの場合、「国民生活事業」になります。中小企業事業の対象についてはこちらをご参照ください。
●日本政策金融公庫 中小企業向けの長期事業資金を利用できる業種及び企業の規模(資本金・従業員)
少し恥ずかしい思いをして出鼻をくじかれつつ、しかし融資コンサルタント協会認定のSP融資コンサルタントとしてこの程度であきらめるわけにはいかない(大袈裟?)と、改めてひとつ上の階の国民生活事業の方に向かいました。そこで改めて、融資を受けたくて初めて訪問した旨を受付の女性に伝えると、今度は普通に担当者に案内されました。
定番の「新事業融資」ではなく「中小企業経営力強化資金」を希望してみたら…
担当者に、会社を設立するので融資を受けたい旨を伝えると、アンケートを渡され、それを記入しながら簡単な面談(?)のような感じになりました。設立予定日やら、融資希望額やら、自己資金の話やら、たぶん定型の質問なんだろうなと思いながら、ひととおり答えました。
案の定、「新創業融資」を紹介されましたが、「ここは一捻り」、というか、そもそも予定していた「中小企業経営力強化資金」を考えている旨を伝えました。
そうすると担当者は「少し待って下さい」とPCを操作し始めました。どうやらインターネットで「中小企業経営力強化資金」の資料を探しているようでした。
し、資料そのままの質問? 「要件確認」
その方は、中小企業経営力強化資金の資料を印刷してこられて、資料を見ながら「認定支援機関の支援は受けられるか?」等の要件を確認されました。
要件確認は必要だと思うのですが、資料の内容をそのまま読んで確認されるので、少し驚きました。私が受けた融資コンサルタント協会の講座を受講していれば、もう少し詳しい説明や要件確認ができる気がしました。
ひととおりの説明や確認が終わり、「それでは、こちらの書類を記入して申し込んで下さい」と、申込書や事業計画書のフォーマットを渡されました。
ス、スルー? 「特定創業支援の認定書」
書類をもらってそのまま帰っても良かったのですが、SP融資コンサルタントとして少し芸がないかなと思い、今回の創業で創業補助金を申請予定であることを話し、例の「特定創業支援の認定書」(第1回の記事で書きました)などを見せました。
●産業競争力強化法に基づく「認定特定創業事業計画」による支援を受けた旨の市町村が発行する証明書
この証明書があれば、会社の設立登記の登録免許税が半額になったり、公庫の融資が受けやすくなる(要件が緩和される)などのメリットがあります。第12回認定は、平成29年6月23日(金)に申請書(素案)受付締切となりましたが、詳しくは経済産業省のこちらのページをご参照ください。
しかし、担当者はあまり食いついてはこられず、「補助金の事業計画書を流用して、今回の融資の事業計画書を書いてもらえれば十分ですよ」程度のアドバイスで終わってしまいました。
担当とお話しした時間は30分弱で、第一回の訪問は終了しました。池田泉州銀行さんに訪問したときほどは、緊張しませんでした。
士業が融資商品を知っておけば、経営者へのコンサルティングは可能
個人的な感覚ですが、担当者の方は丁寧なのだけれど個別の融資商品にはあまり詳しくないのかもと感じました。もしそうなら、士業でも政策金融公庫の商品をひととおり知っておくだけで、ちょっとした融資コンサルティングができるような気がしました。
まとめ
●日本政策金融公庫の初回訪問目的は、融資申請書類の受け取り
●間違えずに「国民生活事業」部署に行くこと ※だいたいの場合、中小企業事業ではない
●要件確認では定型の質問しかされず、「特定創業支援の認定書」にも興味を示されなかった
●融資商品に詳しくなれば、士業は経営者へのコンサルティングができそう
●滞在時間は、全体で小一時間
その後、東川とのやりとり
山本「担当者が資料を読んでいるだけなのに驚いて…。日本政策金融公庫ってそういうものですか」
東川「その方は、融資担当者じゃないですよ」
山本「えっ」
東川「山本さんは“担当者”という言葉を使っておられるけれど、その方は違う。窓口応対の方です」
山本「そうなんだ…」
東川「だから誰が出てきても似たような対応になるでしょう。受付→窓口→それからようやく、融資担当者と会うことになります」
山本「また早とちりしていました…」
東川「最初に会った人=金融機関の印象を抱かないように。交渉すべき担当者と会うのは、次ですよ!」
(第4回につづきます)
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『弁理士、金融機関へ行く』シリーズ
【3】2017/5/16訪問 日本政策金融公庫で早とちり2回
【2】2017/5/11訪問 第2回訪問は、あっさりと
【1】2017/5/9訪問 いきなり融資の話をしてみた
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