東 川 ということは、創業融資ですね。
質問者 でも自己資金がゼロなんです。だって、その空き物件が出たのは、ついこの間のことですから、準備も何も…。
東 川 うーん、自己資金がまったくなくても、創業融資は借りることができるかというと、それは厳しいです(きっぱり)。
質問者 ああ…(がっかり)。
東 川 残念ながら、融資は、まず下りません。今はまだ独立するべき時ではないとお伝えするのも、融資コンサルタントとしての大事な務めですよ。「運命の物件と出会えた!」と夢を膨らませ、いざ融資を申し込んで、断られて一番傷つくのは、そのバーテンダーさんですから。
質問者 それはそうですが…。
東 川 それに、いま勤めている店の近くで独立したら、いまの店のオーナーさんが、いい顔するでしょうか。その物件は、本当に選ぶ価値があるのかな…。
質問者 うーん…(納得していない様子)。
東 川 しかし、あなたが彼の力になりたいと思う気持ちは、とてもわかります。相談されたら、いいところを見せたいものですよね。融資希望額が1500万円ということなら、まずその10分の1である150万円を貯めましょう。10分の1あれば、希望はあります。たとえば半年後をめどにするなら、1ヶ月で25万円、がんばれば、なんとかならない額ではない。そうして準備が整ったときに「いいな」と思う物件に出会えたら、それこそが彼にとって「選ぶ価値のある物件」ですよ。さあ、元気を出して。あなたが明るければ、彼も明るくなれますから。
「いい物件を見つけた! 今こそチャンス! さあ創業融資だ!」と勢いづく開業希望者は多いもの。しかしそこで「大丈夫かな?」と冷静に考えるのが、相談された融資コンサルタントの役割です。金融機関に融資を申し込んで断られると、「自分って信用ないんだ」と、けっこう傷つく。その融資希望者だけでなく、おそらく、相談にのって力になれなかったあなたも、です。万全の融資サポートができるようになるためのセミナー、詳しくはこちらから。
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きちんと返済できる相手になら、しっかり貸したいのが銀行の本音。小さな会社が「きちんと返済できます」とアピールするにはどうすれば? というコツをたくさん詰め込んだ一冊です。書きながらヒガシカワは、金融機関勤務時代に「こんな会社だったら、よろこんで貸せるのに…」と思っていたあれこれが、どんどんあふれ出てきたのだそうです。じわじわ売れ続けてロングセラー。ありがたい話です。