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金融機関との交渉時、士業・コンサルタントは「安易に」同席しない方がよい

本来は、同席するのがベストです。しかし、下記の注意点には気をつけるようにしましょう。

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。

私は普段から士業・コンサルタントに対し、顧客が金融機関に訪問するときは積極的に同行するようおすすめしています。

なぜなら専門家が金融機関に同行することで、顧客・専門家、またもちろん金融機関それぞれにメリットがあるからです。

 顧客企業専門家自身金融機関
利点●専門家の同席で、融資などの取引が有利に働きやすくなる

●融資など案件の正式申請「前」に、打診しやすくなる
●定期的に顔をあわせることで、金融機関から顧客や仕事を紹介してもらえる関係性を構築しやすくなる

●一度、成功事例ができれば案件紹介が続き、自分も他の顧問先をその銀行に紹介しやすくなる
●専門的な話になったときは、専門家から事業者にその場で説明してもらえる

●専門家の他の顧客企業を紹介してもらいやすくなる
●事業者・支援する専門家・金融機関、懇意になることによる三者のメリット

にもかかわらず、「経営者と融資について話をするとき、金融機関は士業・コンサルタントの同席を嫌うのでは」という質問を、ときどきいただきます。実際にはけっしてそんなことはなく、むしろ歓迎されることがほとんどです。

私としても、できるだけ同席してほしい。けれど、注意しておきたいことも2点。以下でお話ししましょう。

※なおネクストフェイズは、事業者への個別アドバイスを行っていません。ご相談のある事業者は、ネクストフェイズが運営する一般社団法人融資コンサルタント協会の会員を検索して気軽に連絡を取ってください。融資の専門研修を受けた融資コンサルタントが、全国に900名以上います

注意点①金融機関を選ぶこと

都市銀行や大手地方銀行は、士業・コンサルタントの同席を嫌がる傾向にあります。案件のイニシアティブを取る側でありたい志向が強く、専門家は「不要な入れ知恵」を行う存在として警戒されます。

しかし第二地方銀行や信用金庫、信用組合など地域密着型金融機関なら、「貸す側にのみ都合のよい条件の押しつけ」より、「案件のスムーズな進捗」が優先しがちです。だから、必要に応じたサポートを行える士業・コンサルタントの同席は歓迎されるんですね。

注意点②金融機関や融資のことを理解した上で同席すること

金融機関が歓迎するのは、「金融機関の考え方、取り巻く環境、現在の状況、金融業界の常識、融資に関する知識等を把握している士業・コンサルタント」です。

金融機関や融資についてよく理解している士業・コンサルタントが顧客をサポートするときは、たとえば融資審査などの業務を進めやすいように、先回りして相応の資料を整えます。そんな士業・コンサルタントが適切に支援することで、金融機関は大いに助かるのです。

「熱心だからこそ」陥りやすい落とし穴

しかし金融機関の状況が見えていない士業・コンサルタントは、つい顧客側の主張を押し出しがちです。こんな姿勢には金融機関も閉口してしまいます。顧客への熱心な貢献意欲ゆえの行動(それに、顧客の前でいいところ見せたいですしね…わかります)ですが、貸す側=銀行の立場も考えたうえでの両者の橋渡しこそ、専門家の務めなのです。

こんな主張をしてくる士業やコンサルタントがサポートする融資案件は、金融機関も「適当な対応」であしらう可能性が高いもの。もちろんこの専門家への印象もよいはずがありません。ひどいときには経営者に「あの人の同席はもう…」と訴え、出入禁止になることもあります。

過去の成功体験は忘れ、「今」の情報を集めてアドバイスを

現在、金融庁は「経営者保証の免除や解除」を積極的に推し進めています。経営者保証の免除や解除を積極的な実施を金融機関に指導しつつ、一方、その運用については「金融機関の裁量」に任せている部分が多いといえるでしょう。

このような「現場」に疎い士業・コンサルタントが、金融庁の指針どおりに「経営者保証は積極的に外すべき、前向きに対応しないのはけしからん、問答無用で経営者保証は解除だ」と経営者と一緒に主張しても、金融機関は「弊行にも指針がございまして…」でしょう。

また、新型コロナの影響を受けた「直後」「現在」では、金融機関の融資方針が大きく変化しています。「以前はこの資料で十分だったのに、なぜ今は大量の書類を書かされるのか」「なぜ審査にこれだけ長い時間がかかるのか」などの主張にも、やはり金融機関は「今は状況が変わりまして…」です。

貸し手側に配慮せず、声や態度の大きさ・当時の社会状況で押し通した無理筋な融資など、過去の成功体験に基づいた古いアドバイスは、金融機関にとって「邪魔」

しかしアドバイスを受ける経営者は、「ウチの先生だから」と盲信することも多いでしょう。また先ほども書いた専門家側の貢献意欲もあいまって、つい金融機関に強く出てしまう士業・コンサルタントもいるでしょう。

「じゃ、銀行について詳しくなるまで同行できないの?」「顧客の資金需要が近いうちに発生するのに」という質問が飛んできそうです。ご安心ください。

経営者との金融機関同行「前」に、事情に詳しい他士業他の顧客に尋ねたり、またもし銀行員の知り合いがいれば少し時間を取ってもらって質問してみたりすることもできるでしょう。周りを見渡して(ネット情報だけではなく!)、できれば人づてに、多くの新情報を事前に集めておきたいですね。


士業・コンサルタントが経営者に行ったアドバイスが不正確・不適切だったことによって、通常は通るはずの融資案件が否決された事例を目にする機会が、いま増えています。とくに多いトラブルは、「新規融資」「経営者保証解除」の案件です。

金融機関の融資方針は、金融庁の監督指針の改正によって変わることがしばしばあります。「以前こうだった」「ネットや書籍にこう書いてあった」という過去の経験古い情報、また現場感覚ではなく四角四面の原理原則によるアドバイスは、最新の状況では通用しないことが少なくありません。

また金融庁の指針があっても、銀行によって、また同じ銀行でも支店によって方針が少しずつ違うこともあります。融資に関するアドバイスを行うときは、「最新の情報」を、顧客の取引金融機関に「なるべく近い」存在から、広く集めるように務めましょう。

そんな「融資に関する最新情報」を継続的に入手できる士業・コンサルタントになるヒントが出に入ります。

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