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将来性のない金融機関を見分ける9つのポイント      【平成30年事務年度 金融庁の行政方針(1)】

金融機関は、今までの融資方針から転換しなければならないようです

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
20 年前に、不良債権問題が深刻化し、国内大手金融機関の破綻が相次いだことから、
金融庁はその前身である金融監督庁として発足しました。
10 年前には、サブプライムローン問題を発端として、アメリカ大手投資銀行が破綻し、
これに連鎖してグローバルな金融危機が発生しました。

それらの危機を乗り越えるために、金融庁は、金融機関に対し、いろいろな指導・監督を行ってきました

毎年、毎年、金融機関への指導・監督方針を含む、金融行政方針は微妙に変わってきました
金融庁では、平成27 事務年度より、金融行政が何を目指すかを明確にするとともに、
その実現に向け、いかなる方針で金融行政を行っていくかを、毎事務年度ごとに
金融行政方針」として公表してきました。

※「事務年度」とは
一般的には、政府における「年度」は、4月~翌年3月となっていますが、
金融庁における「事務年度」は、7月~翌年6月となっています。

一般的な「年度」と区別をつけるために「事務年度」といっています。

この「金融行政方針」を読み解くことで、
今年は、金融庁がどのような方針で金融機関への指導・監督を行うのかがわかりますし、
金融機関の融資方針が、どのようにかわっていくのかがわかります。

今回は、9月に公表された「金融行政方針」から、
中小企業の資金繰りに大きな影響を与える「地域金融」への行政方針についてお伝えします。

1.地域銀行の収益状況
直近3ヶ年の決算の状況を見ると、2015 年度では106 行中40 行
2016 年度では106 行中54 行でそれぞれ本業利益が赤字となっていたが、
昨年度では、地域銀行全体では役務取引等利益の増加によって本業利益率が下げ止まり、
本業利益が赤字となっている銀行数は106 行中54 行と前年度比横ばいで推移している。
しかしながら、その内訳を見ると、2期以上の連続赤字となっている銀行数が年々増加しており
、昨年度では106 行中52 行が連続赤字、うち23 行は5期以上の連続赤字となっている等、
一旦、本業赤字となった銀行の多くで黒字転換できない状況が窺える。

<解説>
本業利益とは、金融機関の本業で稼ぐ利益のことで、
(貸出金利息+手数料収入)-(預金利息+経費(人件費・物件費等))
で計算されます。
一般的な会社でいうところの営業利益のことです。

この本業利益が、地域銀行106行中、54行で赤字となっています。
本業利益が赤字になっている地域銀行の多くは、含み益がある公社債等の売却で
カバーしてきたのですが、この含み益もだんだんと低減しており、
今のままのビジネスモデルでは、長期的に見ると事業が継続できないようになっています

このことから、ビジネスモデルの転換ができない金融機関は、
淘汰される(他の金融機関に吸収される)結果になるのではないかと言われています。

2.淘汰される可能性が高い金融機関
金融庁は、平成29年事務年度において、ビジネスモデルの持続可能性や
それを支えるガバナンス等に課題を抱える地域銀行及び、
有価証券運用でのリスクテイクが経営体力・リスクコントロール能力対比で高いと見られる
地域銀行に対し、検査を含むモニタリングを実施しました。
そういった地域銀行で見つかった課題は下記の通りです。

【ビジネスモデルの持続可能性に関する課題】
・ 中長期的な視点を持たず、中長期の採算性を度外視した低金利貸出を拡大している
・ 目先の期間収益を確保するため、利回りの高い貸出債権を売却し、将来収益を喪失している
・ 自らの経営実態を正確に把握しないまま、金利の緩やかな上昇や営業基盤の拡大等、
  経営環境の好転を期待し、将来起こりうる課題を直視せずに
  実現可能性に乏しい経営計画や収益計画を策定
・ 計画が大幅未達となっているにもかかわらず、その要因分析や対応策の策定を怠った結果、
  業績の低下が継続し、将来的な収益の維持・回復の見込みに懸念が生じたことで、
  繰延税金資産の取崩しや減損処理等、損失が発生
・ 経営理念に即したリスクテイク領域を定めることなく、リスクテイクが
  経営体力(自己資本・収益力)やリスクコントロール能力(運営態勢・リスク管理態勢)と
  比較して過大
・ コア業務純益が大幅に低下する中であっても、本質的な議論を行わないまま、
  中期経営計画や年度業務計画に掲げた当期純利益、配当額、配当性向を維持するための
  リスクテイクを実行
・ 収益力が著しく悪化しているにもかかわらず、抜本的な経営効率化を未検討・未実施
・ 収益の柱となっている商品・サービスの特性やリスクを理解せず、必要な収益管理も未実施

<解説>
上記の課題を抱えている金融機関を見分けるためには、下記の項目について調べると、
どの金融機関が淘汰される可能性が高い金融機関かわかります。
各金融機関のディスクロージャー誌を2期分比較し、調べることや、
金融機関の担当者と話をすることで、大体のことを知ることができます。

 1.低金利競争に巻き込まれて、平均貸出金利が大幅に低減している
 2.本業利益の赤字を補填するため、保有債券を積極的に売却している
 3.本業利益に関する経営計画が未達成になっている
 4.繰延税金資産の取崩しや減損処理等、損失が発生している
 5.決算書と担保・保証人でしか融資判断ができない(目利き力がない)
 6.本業利益の赤字が続いているのにも関わらず、当期純利益の黒字が続いている
 7.本業利益が赤字にもかかわらず、今までと同じ融資姿勢のままである
 8.拡大志向(取引先をどんどん増やそうとしている)
 9.担当者が無理に、投資信託や保険、国債等を販売しようとしている

自分たちの取引金融機関や、クライアントの取引している金融機関について、一度、調査し、
上記のような兆しがある金融機関と取引している場合は、早いうちに、
別の金融機関を開拓されることをお勧めします。

今、多くの金融機関の融資方針は、「金融検査マニュアル」の影響から抜け切れていません。
低金利が続く中、
今までと同じような融資方針の金融機関は、将来的には経営の安定度が低まってきます

落ち目の金融機関とつきあってもメリットはありません。
逆に資金調達が不安定になる可能性があります。

将来性のある金融機関とつきあってくることが、今後はとても重要となります。

そんな、将来性のある金融機関を見つけるための目利き力が身につくヒントが手に入ります。

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「金融検査マニュアル廃止」について学びたいときに読むべき本です。

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