- 2019-5-20
- 融資サポート
- 創業融資, 日本政策金融公庫, 日本政策金融公庫に聞いた質問, 金融機関とのつきあい方
融資に対する否決理由は、本人以外には伝えることができません。
こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
【日本政策金融公庫の融資課長たちに聞いた27の質問】の7回目です。
会員の士業・コンサルタントから出た質問は全部で27。内容は、以前のブログをご参照ください。
今回は、
「否決理由を聞くときに、専門家は同席できるのか」についてと
「減額融資となる場合の基準とは」
について、お伝えさせていただきます。
7. 否決理由を聞くときに、専門家は同席できるのか?
質問
先日、外国籍の方の融資申請のお手伝いをさせていただきました。
その案件は、審査が通らず否決となっていまいました。
その否決理由を、申請者に尋ねたところ、あまり日本語が上手でなかったため、
コミュニケーションが上手くとれていなかったようで、ほとんど理解されていませんでした。
できれば、否決理由について、きちんと納得してもらいたかったのですが、
例えば、結果を一緒に聞かせていただくとかということは可能なのでしょうか?
公庫からの回答
確かに、社長さんがすべて理解してくれれば、一番助かりますが、本人以外の、他の方には伝えられない情報が入っていたりしている場合もあるからです。
たまに、士業の先生から、「この人はどうしてだめだったのか」と問合せの電話をいただいたりします。その場合は、「ご本人さんから、担当者に1回連絡をしてください」と伝えています。
担当者は、ご本人さんに、何度もご説明をさせていただいているというのが実態です。
なので、結果の事象に関してはご回答をしますけれども、中身については、お答えできないということになっています。
回答後のやりとり
私どもも、すべてのお客様にご利用をいただきたいという思いはあります。
ただ、それでも、お断りをする場合は、何か、第三者にお伝えをしづらい情報が混じっていることが多々あるので、ちょっと、さわりだけと言われても、出しづらいというのは、本音としてありますね。
「ちょっと理解ができなかったから、もう一回説明をしてくれませんか」と。
そのときに、「自分がちゃんと理解できるように、説明をしてもらうために、専門家の方に同席してもらうのだけど」というかたちだったら、どうなんですか。
申し訳ないですが、
ご本人さんに何度も説明をさせていただいています
極力、テープのご利用は、お控えいただいているんです。
テープは加工できますんで、(それが一人歩きすると)どうしようもないので、私どもは、録音は止めていただいて、何度もご説明をしますというかたちの対応をさせていただいています。
8.減額融資となる場合の基準とは
質問
公庫が融資を行う際に、「満額融資」「減額融資」「否決」という3つのパターンが
あると思いますが、減額される場合の基準というのは、あるのでしょうか?
また、減額された場合でも、
「この事業計画には、どうしてもこれだけ必要なのだ」
と熱く語った場合、増額されることはあるのでしょうか?
公庫からの回答
例えば、「月商100万円、年商1200万の飲食店経営者」が「運転資金4800万貸してください」といってきた場合、希望金額が明らかに多いですよね。
運転資金という考え方は、月の売上と、サイトを見て必要額を計算します。
私どもの考える運転資金の性格というのは、一度、融資させていただいて、それを長期で消化してもらうと同時に、資金繰りを好転させていただくというニュアンスがあります。ですので、そのお客さんによって、基準というのは特にありません。
減額された後に、熱く説明されるより、面談の際に言っておいてもらいたいと思っています。あとで言いたかったと言われても、私ども、1回結論を出してしまうと、動けない部分があります。
だから、必要な情報は面談のときに語っていただいて、その中で妥当性を探ります。
私どもも、調査をしていますので、妥当な資金額を把握しています。熱く語っていただいたら出るかとか、そういうことはありません。
もし、お伝えいただきたいことがあれば、審査の前に、残さずお伝えいただくようにしておいていただいたほうがいいかなというところです。
あと、状況によって、「この金額は難しいですけれど、ここまでだったらできますよ」とか、「次は、この辺をこういうふうに改善しておいてもらったら、公庫としても対処しやすいですね」という話を、ちらっと、ご面談のときにさせていただいていたりしていますので、その辺をご考慮いただいて、参考にしていただければと思います。
公庫としては、お客様に不要なお金を、わざわざ、金利をつけて借りて、それを使ってもらおうというのはないというふうに考えています。
ご業歴の浅い方、あるいは、これから始める方、いろんなリスクが、ご商売そのものに伴っておりますので、私どもとしては、無理のない範囲で、まずは、ご商売の実績を作っていただく中で、ご返済に負担のかからない金額をご用意させていただきます。
それでうまくいけば、極端なことを言えば、半年後、1年後であっても、「あのときはこれだけしか貸してもらえなかったけれども、今、これぐらいの結果が出ています。このあと、さらに拡大する計画があるのですが、どうでしょうか」と、いうようなご相談があれば、対処させていただきます。
昔はご融資をさせていただいて、「残高が半分ぐらいにならないと、次のご相談は難しいですね」というようなことを言われた方もいらっしゃるかと思いますが、今は、「創業後1年ぐらいで、営業が軌道に乗ってきた事業者が求める追加の運転資金」や「設備を拡大するための設備資金」が必要だということであれば、ご遠慮なくお申し込みをいただいて結構です。
そういう意味で、当初、ご期待に沿えない金額であっても、次につながるような融資を行っていきたいと考えています。そして、お客様、もちろん、先生方もそうなんですけども、関係の構築ということをしていきたいと思っています。
場合によっては、民間金融機関の融資が必要であれば、取り次ぎのようなかたちでご紹介もさせていただくケースもございます。
うまい具合に公庫を使っていただいて、無理のない企業さんのご成長のお役に立つように考えさせていただいています。
公庫の融資スタンスや、公庫の担当者の考え方を知っておけば、
創業融資はとてもスムーズに借りることができます。
しかし、一般的には、なかなか、そういったスタンスや考え方を知る機会はありません。
創業融資に詳しい専門家は、公庫の担当者達との人脈を作り直接聞いたり、
多くの創業融資案件のサポートを行うことで経験を積むことで、そういった知識を得ています。
そんな、創業融資のサポートができるようになるためのヒントが手に入ります。
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