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融資の経営者保証を外してもらえた実例

「金融検査マニュアルが廃止になったことで、金融機関の融資姿勢が変わってくる」と以前からお伝えしていましたが、すでにその影響が出ている金融機関もあります。

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
あるクライアントから以前より「経営者保証を外したい」という相談を受けていました。
そして先日ついに、そのクライアントの経営者保証を外すことに成功しました!

このブログを読んでくださっている方のために、経営者保証を外した経緯をお伝えしましょう。

登場する金融機関は3行です。

A:メインバンク
B:新規で開拓した第2の金融機関
C:新規で開拓した第3の金融機関

 

まずメインバンクが経営者保証外しに積極的かどうかを調査

「経営者保証を外したい」という相談を受けたときに行ったのは、「A金融機関の調査」でした。

メインバンクのA金融機関が経営者保証を外すのに積極的かどうかについて調べてみたのです。

融資姿勢の傾向は、実際に貸付担当役席や支店長の考え方を伺ったり、そうするまでもなく各金融機関のホームページやディスクロージャー誌に目を通したりすることでわかります。

※ディスクロージャー誌とは、経営状況、また今後の方向性などが記載された情報公開誌。ネットで公開している金融機関も多くあります

今回のケースの結論は、
「現在取引しているA金融機関は、経営者保証を外すことに積極的でない」でした。
そこで…。
 

メインバンクが後ろ向きだったので新たな金融機関BとCを開拓

メインバンクが経営者保証外しに後ろ向きだったので、経営者保証を外してくれそうな金融機関を新たに開拓することにしました。

地元の経営者の評判を聞いたりホームページやディスクロージャー誌を調べたりしながら、「経営者保証を外してくれそう」と判断してピックアップしたのは最終的に2行。

そこで相談企業の住所をテリトリーとしている支店を訪問し、貸付担当役席(=融資の責任者)に話を聞きました。

最初に訪問したB金融機関のホームページ上では経営者保証を外すことに積極的になっているように見えましたが、実際に話を聞いてみると現場ではほとんど取り扱っていないとのこと。

(こういうことは案外あるんです。本部は旗を振っても現場が…というケース。サイトやディスクロージャー誌だけで判断せず、支店に足を運ぶことが大事なんですね)

結局「B金融機関は脈がない」と判断し、もう一つのC金融機関を訪問しました。

C金融機関では支店長直々に対応してくださり、実際にその支店で「経営者保証を外した事例」について複数聞くことができました。支店で話を伺うとき、実際の事例をお尋ねするのはとても大切です。B金融機関のように「本部は旗を振っても…」という金融機関や支店を除外するためです。

結果、「C金融機関なら親身になって今後おつきあいくださるのではないか」
と感じたため、C金融機関と新しく取引を行うことにしました。
 

約半年かけてC金融機関と関係性を構築

良好な関係性が構築できていなければ経営者保証を外すことはできません。
「経営者保証なしの状態で、他行の融資を肩代わりして欲しい」といきなり依頼しても対応してもらえませんので、まずは実績作りからはじめました。

C金融機関との関係性を構築することが優先課題。実際に行ったのは以下の5点です。

期間5年の定期積金の契約
事業計画書の提出
毎月の試算表と月次事業報告書の提出
・当該金融機関のイベントへの積極的な参加
・各種協力依頼への積極的な対応

 
結果、半年程度で支店長といつでも話ができる関係を構築することができました。
 

C金融機関からの少額融資依頼を受けるのも実績のうち。ただし注意点あり

取引開始半年後ぐらいに金融機関側から「融資の提案」がありました。その提案では当然のように経営者保証はついていましたが、少額であったこともあり相手の要望どおり経営者保証つきで借りることにしました。

ただし、返済期間は短めに設定してもらいました。
なぜなら、半額程度返済した時点で次の融資の話がしやすくなるからです。
 

企業側も経営状況を改善

経営者保証を外すためには「経営者保証に関するガイドライン」の基準を満たすことが重要なため、経営状況の改善に取り組みました。

「経営者保証に関するガイドライン」では、下記のような経営状況であれば中小企業は経営者保証なしでも融資を受けられる可能性があると解説しています。

(1)法人と経営者の関係の明確な区分・分離
(2)財務基盤の強化
(3)経営の透明性

 
経営コンサルタントとしての腕の見せどころです。毎月ていねいに細かくサポートしながら、また同時に経営者との関係にも配慮しながら(ここ大事! 顧問先の財務・経営状況次第で長丁場になることも少なくないからです。やはり経営者保証外しまで持って行きたいですよね)、無理のないように各条件をクリアしていきました。
 

ついにC金融機関から融資の言質を得る

「経営者保証に関するガイドライン」の基準をクリアし、前に融資してもらった分の残高が半分を切ったタイミングで、C金融機関に「他行(=メインバンクたるA金融機関)で以前から借りている経営者保証付き融資の肩代わり」を打診しました。つまり「現在のメインバンクたるA金融機関からの融資を、新たに取引が始まった貴行=C金融機関に肩代わりしてもらえないか」という話です。

C金融機関とは取引から3年以上経っていたので、そのクライアントの考え方、経営内容、財務内容は理解してもらっていましたので、肩代わりについては積極的に応じていただける気配でした。

そこで「経営者保証なしでの肩代わりは可能ですか?」と尋ねたところ、
支店長と貸付担当役席は「一度、本部と検討させてください」とおっしゃいましたが、
1週間後「経営者保証なしで肩代わり融資に応じます」という返事をいただきました。
 

満を持して現メインバンクたるA金融機関との交渉

その答えを持って、今までメインバンクとなっていたA金融機関に対して、

「他行さんから、御行から借りている融資の肩代わりの提案がありました。
金利は貴行とそれほど変わらないのですが、
経営者保証なしで取り扱ってくれるという条件をいただいています。
弊社にとってはとてもありがたい話なので、その提案を受けようと考えていますが…」

と話したところ、支店長は大あわて。「それは困ります」と言われました。

そこで、
「その金融機関さんと同じように経営者保証を外してもらえるなら、
肩代わりの件については再度検討させていただきます」
と伝えるとA金融機関も「少し時間をください」とおっしゃり、
結果、A金融機関でも経営者保証を外してもらえるという返事がいただけました。

最終的にAとCの2行で融資額を折半し、両行とも「経営者保証なし」にすることができたのです。
 

財務状況次第で、もっとスピーディに経営者保証を外せることも

当初この中小企業は「経営者保証に関するガイドライン」の基準を満たせていなかったので、経営者保証を外すのに最終的に3年ほどの時間がかかりました。

しかしもしあなたや、あなたのクライアントの経営状況が「経営者保証に関するガイドライン」の基準を満たしているなら、金融検査マニュアルが廃止された今、もっとスピーディに経営者保証を外すことができるようになるでしょう。


「経営者保証を外すためのお手伝いをします」と言われて、興味を感じない経営者はほとんどいません。

これまで「経営者保証を外すのは至難の業」だと思われていましたが、金融検査マニュアルが廃止となった今、経営者保証を外せるチャンスはどんどん増えています。

経営者保証を外すために超えなければいけないハードルはいくつかありますが、そのための知識さえしっかり持っていれば、思ったより容易に経営者保証を外すことが可能です。

そんな「経営者保証を外すお手伝いができる専門家」になるためのヒントが手に入ります。
 

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近代セールス 2020年 2/1号
近代セールス社 (2020-01-20)

 

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