- 2020-7-3
- 融資サポート
- セーフティネット保証4号, 新型コロナウイルス影響下の資金繰り支援策
相談者は喜び、自分も金融機関とのパイプもできる一石二鳥の方法です。
こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
ネクストフェイズのブログを見た個人事業主から先日、「新型コロナ関連の緊急融資を銀行に相談しましたが、断られました」という相談の電話が入りました。
「セーフティネット保証4号を申し込もうとして、取引のない近くの金融機関に申込みに行ったが店頭で断られてしまった、この後どうすればいいか…」とのこと。
たまたま翌日に少しフリー時間があったので、事務所に来訪してもらって詳しく話を聞くことにしました。
2つの金融機関にセーフティネット保証4号を断られた
相談に来られたのは、40年近くフリーアナウンサーをしているAさん。ベテランなので懇意にしている番組制作会社が多くあって仕事は安定していたのですが、今回のコロナ禍で番組制作がストップ。この3ヶ月まったく売上がない状況になったのでした。
そこで自分なりに調べたところ、セーフティネット保証4号の要件に該当することがわかり、2つの金融機関に出向きますが、どちらにも断られました。
②九州に本店のある金融機関の東京支店
1つめは、ご自身の事務所兼自宅の近くの駅前にある外資系第二地方銀行。取引はなく、飛び込みの訪問でした。しかし窓口で、「返済できるとは思えない」と言われて断られたそうです。
その後、古い友人が九州に本店のある金融機関の東京支店に勤めていることを思い出し、その友人のつてで支店に行って相談したところ、「うちでは扱っていない」とあっさりと断られたそうです。
どうすればセーフティネット保証4号で借りられるのかわからず、途方に暮れ、ネットで情報を集めるうちに弊社のサイトにたどり着いて連絡してこられたのでした。
1つ目のミス – 申請金額が妥当でなかった
話を詳しく聞いてみると、このケースでは2つのミスがありました。1つは、「申請した金額が、妥当でなかったこと」です。上記2つの金融機関が断ってきた理由は、これです。
Aさんの月収は40万円~80万円、平均月商は約60万円でした。今までお金を借りたことがなく、どれぐらいの金額なら貸してもらえる可能性があるのかわからず、「1千万円貸して欲しい」とお願いしたそうです。
コロナ融資の場合、相場はおよそ「月商の3ヶ月分」です。
Aさんの場合、平均月商60万円×3ヶ月=180万円。それに比べて1千万円の融資申請となると「何に使うの?」と疑われてしまい、それだけで「こういう人を相手にしていても時間の無駄」と銀行員に思われたのでしょう。200万円ぐらいの申請額だったら、もう少し誠意のある対応をしてもらえただろうと思います。
※それにしても金融機関側だって「返済できるとは思えない」で終わるのではなく、「セーフティネット保証4号は、月商の3ヶ月分が目安なんですよ」とか「月商から考えれば、200万くらいでいかがでしょう」とか提案すればいいのに…。初手からまったく貸す気がなかったとしか思えません…
2つ目のミス – 信用保証協会の保証対象金融機関ではなかった
2つめのミスは、「信用保証協会の保証対象金融機関になっていない金融機関に申し込もうとした」ことです。これは2つめの金融機関で断られた理由です。
もちろん上記で書いたとおり、金額が妥当でなかったことも理由です。しかしこの2つめの理由は、金融機関ではどうしようもないのです。
というのも、【民間金融機関による実質無利子・無担保融資】をセーフティネット保証4号で利用する場合、保証協会の保証が必要です。保証協会の保証をつける場合は、その都道府県の制度融資を扱っている指定金融機関しか受付けてもらえません。
Aさんが2つめに訪ねた九州に本店のある金融機関の東京支店は、東京保証協会の指定金融機関になっていなかったため、そもそもセーフティネット保証4号が申し込めなかったのです。
私が金融機関へ直接問い合わせすることに
これら断られた理由をAさんに解説し、「適正な金額(200万円程度)」で「親身になってくれる金融機関」へ融資申し込みすれば、融資をしてもらえる可能性があるということを説明。Aさんは200万円の金額には納得したのですが、どう金融機関を選んでいいか…と困り顔。
そこで私はAさんの事務所の近くの金融機関を探し、対応してくれそうな信用金庫を2つピックアップしました。「このうちのどちらかに相談すれば、話を聞いてもらえる可能性が高いですよ」と提案。しかしこれで済ませたら無責任かも…と感じ、私が直接その信用金庫に問い合わせて、前向きに対応してくれそうか聞いてみることにしました。
金融機関に電話したときの内容
ピックアップした2つの金融機関のうち、ひとつの信用金庫に電話し、貸付担当につないでもらいました。
今、ある個人事業主が融資に関する相談に来られています
セーフティネット保証4号で融資をご希望ですが
民間金融機関との取引がありません
ある金融機関に申し込んだところ、窓口で断られたとのことです
こういうときは地元の信用金庫や信用組合のほうが
親身に話を聞いてくれると思いますので
御社に問い合わせいたしました
取引のない個人事業主が
セーフティネット保証4号による融資を申し込んだ場合
取扱ってもらえますか?
応対に出た貸付担当は、ていねいに話を聞いてくださいました。Aさんの事業について聞かれましたが、私が間に入って事情をお伝えしたところ、よい返事が返ってきました。
ぜひ窓口にお越しになってください
そのときは確定申告3期分と
身分証明書をお持ちいただければ結構です
実際にセーフティネット保証4号を利用するときはほかにも、市町村の認定書や印鑑証明なども必要になってくるでしょう。しかしこの貸付担当は、「それらの書類はまた次でよいので、まずお話をお聞きしますよ」と言ってくださったのです。
Aさんは弊社来訪時、すでに確定申告3期分をお持ちでした。すぐにでも金融機関に行ける状態です。
確定申告3期分と身分証明書だけで相談にのれるとのことですから
この後にでも○○信用金庫○○支店の○○さんを訪ねてください
話を聞いてもらえるようにつないであります
前向きに対応してもらえるとのことでしたよ
Aさんは涙ぐみながらお礼を言われ、さっそく当該金融機関に向かいました。
専門家として相談者を支援する6つのポイント
今回、私が専門家として支援した内容をまとめましょう。
(1)話をしっかり聞き、断られた理由を明確に伝えた
(2)借りられるかどうかの判断を行った
(3)取り扱いしてくれそうな金融機関を探した
(4)金融機関へ専門家として電話し、融資に積極的な金融機関かどうか調査した
(5)金融機関と相談者、双方に対して説明した
(6)相談者に対して、融資をしやすくしてもらえる書類を説明した
およそ1時間弱で、これだけのことができました。専門家が間に入り、金融機関に電話をして、ちょっとした問い合わせをすることで、融資の申請がスムーズに進みます。
最後にAさんから相談料を尋ねられましたが、無料で結構ですと伝えると驚かれました。私の場合は無料で相談を承りましたが、もちろん相談料をいただいても十分喜んでもらえるでしょう。相談料の目安はとくになく、自由にご設定ください。
※参考までに、弁護士の相談料の相場はだいたい1時間10,000円くらいでしょうか。ちなみに書類を整えるなど融資に至るまでのサポートをしたときの報酬は、着手金も含めて実際に融資された額の最大5%までと法的に定められています。
状況次第ではもしかして相談者が顧問先になってくれることもあるでしょうから、積極的に相談に乗ることで顧客を増やせるかもしれませんね。もちろんたとえ顧問に至らなくても、親身に相談にのって金融機関との橋渡しをするだけで相談者は喜んでくれますし、自分もその金融機関とパイプを作ったり強めたりすることができます。私も今回の件でご縁ができましたので、近いうちに上述の貸付担当を訪ねようと思っています。
【ご注意】事業者からの直接の相談は承っていません
今回たまたま私に空き時間があり、事務所まで来てもらえたので対応させていただきました。が、普段は事業者からの直接相談は承っていません。このブログを読んで相談の申込みをくださってもほとんど対応できませんので、あしからずご了承ください。
融資サポートをご希望の事業者は、ネクストフェイズが運営する一般社団法人融資コンサルタント協会のページからお近くの会員を検索し、連絡を取ってご相談ください。
※近隣に会員が見つからなければ、地域を広げ、「遠距離対応可」にチェックを入れて再度検索ください
※ネクストフェイズおよび融資コンサルタント協会は会員の紹介や個別の取り次ぎを行っておりません
今回のコロナショックで多くの中小企業が、士業・コンサルタントに融資に関する相談をしました。そこで的確なアドバイスができた士業・コンサルタントは顧客からの信頼度が増し、新しい顧問先を紹介してもらえたりした事例を数多く耳にしています。しかし一方、相談に後ろ向きだった士業・コンサルタントは、顧問料減額の要請・顧問契約解除という状況に陥っています。
これからの時代、「融資サポートスキル」は士業・コンサルタントにとって必須です。金融機関に関する正しい知識を持っているかどうか、金融機関に適切な対応ができるかどうかが、「選ばれる専門家」になるか「切られる専門家」になるかの境目となるでしょう。
そんな、金融機関に関する知識を身につけるためのヒントが手に入ります。
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【東京】
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※8月以降も日程あり。詳しくはサイトをご参照ください