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創業融資の相談を受けたら、「月別収支計画書」に書く数字の目安を調べよう

根拠のある収支計画書を提出するために知っておきたい、便利な資料を2点ご紹介しましょう。

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。

創業融資を申し込む際、「創業計画書」や「月別収支計画書」を提出します。金融機関の担当者はまず「創業計画書」を見て事業の概要を把握し、その後「月別収支計画書」を見て、「その事業計画で・融資した金額を返済可能かどうか」判断します。

※「月別収支計画書フォーマット」のダウンロードはコチラ↓
月別収支計画書フォーマット

ここで金融機関担当者が注視するのは、「収支計画の数字の根拠」です。
 

収支計画書の数字に無理がある

私は長年創業塾の講師を務め、またその前に金融機関で融資担当でもありましたので、担当者が見るべきポイントはよくわかります。創業計画書で引っかかる点の多くが、「収支計画書の数字」です。この数字の根拠に疑問符がつくケースが、実に多い。

収支計画書に説得力がなければ、その計画で事業を行っても十分に返済できるキャッシュが確保できるとは担当者に思ってもらえません。返済できる計画でなければ、当然、創業融資は貸してもらえないのです。
 

売上に根拠がない

とくに「売上の根拠を信用できない」ケースが一番多く見られます。「こんな売上、実現できるわけがない」という計画を、それはそれはたいへんよく見てきました。

今日は居酒屋開業の例を挙げましょう。

●席数20席
●平均客単価3,000円
●営業時間17:00~23:00
●平均月間営業日数25日

この居酒屋で…

●売上 月間500万円

 
こんな収支計画書をよく見ます。でもよく考えてみてください。この例で月間500万円の売上は、ほぼ不可能です。

通常、居酒屋において、顧客の平均滞在時間は2時間程度。営業時間が17:00~23:00の6時間だと、最大3回転だと推測できます。

飲食店の場合の売上を算出する計算式は、平均客単価×席数×平均回転率×営業日数。それを基に、この居酒屋の最大売上可能額を考えてみましょう。

3,000円×20席×3回転×25日=450万円

 
実際にはよほどの繁盛店でない限り、17:00~23:00までずっと満席なんてことはあり得ませんよね。しかもそれが25日間続く…なんてことは考えられません。

実現が難しい売上額を記載している収支計画書は、金融機関にとって「深く考えられていない収支計画書」と判断されます。「このような実現不可能な収支計画を立てる創業者は失敗する」と金融機関は判断し、結果、申請した創業融資は否決されるでしょう。
 

利益率・経費率が業界平均から乖離

どの業種にも、業種平均の経営指標があります。提出された収支計画書の数字が業界平均から大きく乖離していると、その収支計画の信憑性が疑われます。

業界平均と大きく乖離している理由が「独自のビジネス上の工夫」で、担当者がその工夫内容を確認して納得できればその数字を信用するでしょう。

しかし「独自のビジネス上の工夫」が見当たらないにもかかわらず、収支計画の数字が大きく業界平均から大きく乖離している場合は、「信憑性のない収支計画書」と判断され、審査に悪影響を与えます。

少なくとも収支計画を作成する場合は、「業界平均値」くらいは調べておきたいですね。ではその数字をどこで入手するか?
 

業界平均利益率・経費率を調べる方法

業界平均利益率や経費率を調べる方法として、代表的な2つをご紹介しましょう。

(1)日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」

日本政策金融公庫は1965 年以来、小企業の標準的な指標を作成し、中小企業関係者の参考に供するため、調査を実施しています。

調査結果は日本政策金融公庫のサイトで公開されているので、業種ごとの平均利益率や経費率をあらかじめ見ておきましょう。

「小企業の経営指標調査」は、下記ページの下部からダウンロードできます。
●中小企業の経営等に関する調査(日本政策金融公庫)

(2)(一社)金融財政事情研究会の「業種別審査事典」

金融機関の担当者があまりよく知らない業種の融資を行う際、参考にしているのがこの「業種別審査事典」です。

「業種別審査事典」にも経営数値の資料として「TKC経営指標」や「東京商工リサーチのTSR中小企業経営指標」等が載っています。

また、この「業種別審査事典」を読むことで、金融機関における当該業種の審査のポイントを把握することができます。その内容を加味することで、金融機関に対してより説得力のある事業計画書を作成することができます。

「業種別審査事典」は大きな図書館、また大学の図書館にも置かれていることもあります。商工会議所に置いてある場合もありますので、近くの図書館や商工会議所に「業種別審査事典」を置いているかどうか確認し、置いてある場合は内容を確認の上、事業計画書を作成することをおすすめします。

ちょっとした資料を見るだけで収支計画書の数字に根拠を示すことができ、事業計画書の内容に説得力が生まれます。創業融資を相談されたときは、ぜひいちど公庫の「小企業の経営指標調査」、また金融財政事情研究会の「業種別審査事典」を閲覧してみましょう。
 

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