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経営者保証の解除に積極的な金融機関の見つけ方

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。

2020年8月31日、金融庁から「令和2年度 金融行政方針について」が発表されました。

金融庁の事務年度は、毎年7月から翌年6月まで。今回発表された金融行政方針は、これからの金融庁の金融機関に対する指導方針と言ってもいいものです。

●令和2年度 金融行政方針について

この金融行政方針を見ると、これから金融庁が金融機関に対し求めるものを把握することができ、それに伴い各金融機関の融資方針も予想することが可能になります。

上記ページでは、3つの資料がダウンロードできます。

●令和2事務年度金融行政方針(概要)
●令和2事務年度金融行政方針(本文)
●令和2事務年度金融行政方針(補足資料)

 
金融機関に対する金融庁の指導方針を把握するには、3つめの「令和2事務年度金融行政方針(補足資料)」を読む必要があります。

チェックすべきは、P8(PDF内ではP11)からはじまる「(イ) 地域金融機関による持続可能なビジネスモデルの構築・地域事業者支援等のための環境整備等」のところでしょう。

ここには金融庁が地域金融機関に求めていることが詳しく書かれています。しっかり読み込めば、よりよい金融機関とのつきあい方を中小企業に提案できる士業・コンサルタントになれますよ。
 

「経営者保証に関するガイドラインの特則の浸透・定着」…に注目

P9(PDF内ではP12)ページの中ほどに<地域金融機関による地域事業者支援等の促進>という項目があり、その最初に「経営者保証ガイドラインの活用」があります。ここに書かれている内容の一部を引用します。

・金融機関の取組状況の「見える化」を通じて、経営者保証に依存しない融資を促す観点から、「新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合」及び「事業承継時における保証徴求割合」を「金融仲介の取組状況を客観的に評価できる指標群(KPI)」として設定し、金融機関に対し、2019 年度下期以降の KPI の自主公表を促してきた。

・各銀行が自主公表した KPI を金融庁ウェブサイトにて一覧性のある形で公表を行うなど、引き続き「経営者保証に関するガイドライン」の特則の浸透・定着に向けた取組みを進める。
「令和2年度 金融行政方針(補足資料)」より

 

経営者保証に頼らない融資を進めたい金融庁

この項目が意味することは、以下のとおりです。

新規融資時や事業承継時に、経営者保証を徴求しない割合の自主公表を金融機関に促している

 
またそこから考えると、以下のことも言えそうです。

「公表しない金融機関は経営者保証解除に消極的な金融機関」だと、(金融庁から)目を付けられる=指導対象になる可能性がある

 
金融機関が企業に融資を行うとき、担保や経営者保証を求めるのが通常です。しかし金融庁は上記の引用部分にあるとおり、金融機関に対して「経営者保証に頼らない融資」を浸透させたいと考えています。経営者の保証に頼るのではなく、事業の内容を見て融資判断をしましょう――いわゆる「事業性融資」の推進です。

そのさらなる促進を求めて、今回金融庁は各金融機関に対し、「経営者保証を求めない割合を自主公表してください」と発表したのです。

経営者保証が不要なら、事業者としてもうれしい。経営者保証については以下の記事でも書かれています。

●経営者に非情な現実を知らしめる「銀行の個人保証」という重石(幻冬舎ゴールドオンライン)

融資を受けるとき、経営者保証の解除に積極的な金融機関とおつきあいしたいものですよね。

では、そんな金融機関をどう見つければいいのでしょうか。
 

目当ての金融機関のディスクロージャー誌を見てみよう

経営者保証の解除に積極的な金融機関を見つけるには、金融機関のサイトやディスクロージャー誌を読んで、他の金融機関と比較します。

※ディスクロージャー誌とは、経営状況、また今後の方向性などが記載された情報公開誌。ネットで公開している金融機関も多くあります

取引している、もしくは、取引しようと考えている金融機関のサイトを見るか、ディスクロージャー誌(毎年6月から7月に各金融機関が発行する経営内容を開示した小冊子のこと)を調べれば、融資姿勢がある程度わかるようになると思います。

どの金融機関もサイトやディスクロージャー誌の中に、「中小企業の金融仲介に関する取組」という箇所があります(金融機関によっては表現が多少違っているかもしれませんが)。

※ディスクロージャー誌が膨大なPDFファイルなどの場合は、「金融仲介」「中小企業の金融仲介」などのキーワードでPDF内に検索をかけると便利

そこで「新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合」及び「事業承継時における保証徴求割合」を公表していない金融機関は、「経営者保証解除に消極的な金融機関」と考えられます。

また、公表していても割合が低い金融機関も同様に、「経営者保証解除に消極的な金融機関」と判断できます。
 

「割合」だけではなく「伸び率」にも注目

このデータを見る際は、「割合」だけではなく、割合がどれだけ増えているのか「伸び率」を注視することが重要です。

「新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合」及び「事業承継時における保証徴求割合」が低くても、着実にその割合が増えているなら、「経営者保証の解除に積極的な金融機関」と判断できると思います。取り組み姿勢が重要ということですね。

「割合」「伸び率」に注目しながら、同じ地域の別の金融機関のディスクロージャー誌を比較して、なるべく経営者保証を外すのに積極的な金融機関を、顧問先に提案したいものです。
 

顧問先や見込み客先の地元にある各金融機関のディスクロージャー誌をチェック

地元にある「経営者保証の解除に積極的な金融機関」がどこか知っておくことができれば、顧問先や見込み先の経営者にその情報を伝えることでとても喜んでもらえます。

中小企業が「経営者保証を外すことに積極的な金融機関」とつきあえたら、自社の(既存)債務に対する経営者保証を外せる可能性が高まるからです。

経営者保証を外すお手伝いができれば「頼りになる」と顧問先からの信頼はより強固になり、少々の売上減少等で顧問契約の解除を検討されることはなくなるでしょう。また顧問先ではなく見込み先なら、「銀行との関係改善を手伝ってもらえる」と、その後の顧問契約につながりやすくなります。

あらかじめ顧問先や見込み客先の地元にある金融機関のディスクロージャー誌に目を通し、それぞれが経営者保証の解除に前向きかどうかを面談前に調べておきたいものですね。


金融機関の融資方針や担当者の考え方を知っていれば、少しでも有利な条件で借入を行うことができます。

たとえば今回のコロナ禍で【民間金融機関による実質無利子、無担保融資】を借り入れた、同じような財務内容の会社が2つあったと想像してみてください。以下はあくまで「例」ですが…。

金融機関を熟知している専門家がサポートした会社は「保証人なし」「返済期間10年」「据え置き期間5年」で借りることができたでしょう。一方、金融機関のことをほとんど知らない専門家がサポートした会社は、「代表取締役の保証」「返済期間5年」「据え置き期間1年」…と、借入条件に大きな差が出ます。

経営者が有利な借入条件を引き出せる専門家にサポートを求めるのは当然です。そんな有利な借入条件を引き出せる専門家として活躍するためのヒントが手に入ります。

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