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金融機関の担当者の多くは決算書を読めません。注目点を提示する工夫が必要です。
こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
金融機関職員向けの業界誌『近代セールス』編集部から、12月1日号(2021年11月20日発売)への寄稿依頼がありました。その内容は後述するとして今回は、原稿のやりとりの間で担当編集者から聞いた情報をもとに、広く士業・コンサルタントにお役立ていただきたいポイントをお話ししましょう。
担当編集者によると、2021年10月20日(水)に発売された『近代セールス11月1日号』「決算書特集」が大好評なのだそうです。
本号のテーマは、「すぐ質問できる!決算書の見方&課題発掘術~受取時に着目すべきポイントと基本分析」。
誌面紹介として、こうあります。
融資先から決算書を受け取ったとき、「どう感想を述べればよいかわからない」「決算書を見ても課題が読み取れない」という担当者も多いでしょう。本特集では取引先から損益計算書や貸借対照表を受け取ったその時点で、どこを見ればよいか、そこからどんな声かけ・課題発掘につなげていけばよいか解説します。
「決算書特集」の売れ行きがよいのは、それだけ「決算書が読めない」「しかし勉強したい」と考える担当者が多いからです。
融資を行いたいとき、担当者は「融資稟議書」を作成します。融資稟議書の作成には、「決算書を読む」ことが欠かせません。しかし書かれた数字を眺めることはできても、内容を読み解き、稟議書に反映させられる担当者はそう多くないのが実情です。
なぜなら「財務分析」を細かく行うのはコンピューターだから。担当者の多くは「財務分析に必要な理屈」を十分には理解しないまま、出力された財務分析の内容をそのまま稟議書に反映させているに過ぎません。
そんな担当者の悩みは、経営者から決算書を渡されても「どう感想を述べればよいかわからない」「決算書を見ても課題が読み取れない」。渡されたその場でリアクションに困り、デスクに持ち帰ってもクエスチョンマークの連続なのです。
ちなみに特集名の冒頭に「すぐ質問できる!」とあるのは、まさに担当者の悩みを解決できる誌面だと伝えるため。お悩み解決後をイメージしやすいタイトルの付け方、上手だなあと思います。
今回の特集号を購入しているのは、「このままじゃいけない」と危機感を持ったそんな担当者たちでしょう。売れ行きのよさは、財務分析能力の低い担当者が多くいるのと同時に、「勉強しよう」と意欲を持つ担当者も多くいることでもあるんですね。(将来に期待!)
金融機関のことを詳しく知らない経営者、また士業・コンサルタントの多くは、「金融機関の担当者は決算書が読める」「読めて当たり前」と思っているでしょう。しかし実際は「決算書を読めない」という悩みを持つ担当者が、上記のとおり若手を中心に増えています。
その理由として「そもそも教えてもらう機会がない」「研修はあるが、体系化されていないから身につかない」が挙げられますが、最大の要因は「業務が多すぎて、決算書の読み方を学ぶ時間を捻出できない」からです。
金融機関で「体系的に決算書の読み方を学べる研修」がほとんど行われていないのは今に始まった話ではなく、以前からのこと。自分から積極的に学ぼうとする担当者しか決算書を深く読み込めないのは、昔も今も同様です。
以前「決算書を読める担当者」が多かったのは、そのための勉強をする時間があったからであり、今の担当者には時間がない。多くの担当者が決算書を読めない理由です。
ところで決算書を読めないからといって、現在の担当者を責めるのは酷であり、気の毒です。低金利が続き、これからは手数料収入だ、とばかりに、(たとえ経営者と話すときも)彼らは保険や投資信託の販売を強く求められてきたのです。昔は保険も投信も販売していませんでしたから、「昔の担当者は優秀だった」などの単純な比較はナンセンスです。
さらに新システムや新デバイスの導入対応は頻繁に起こるし、残業時間も厳しく管理されています。よほど強い意志持って自主的に学ぼうとしない限り、十分な勉強時間の確保は難しいでしょう。金融機関担当者の状況については過去記事でも言及しているので、ぜひあわせてお読みください。
担当者が決算書を読めないと、取引先企業にとってデメリットになることも少なくありません。決算書には企業にとって都合の悪い内容もありますが、融資を有利に進めるためにアピールしたい内容「も」あるからです。
金融機関に伝えたい項目があっても、決算書を読めない担当者に気づかれなければ企業のメリットにつながりません。「決算書は、担当者が深く読んでくれて、よいポイントを見つけてくれるもの」では、けっしてないのです。
そこで決算書を提出するとき、アピールしたい内容の課目に「ラインマーカー」を引きましょう。またラインマーカーに加え、「付箋」も有効です。ラインマーカーや付箋があれば、いくらなんでも担当者は気づき「なぜこの箇所に?」と聞いてきます。
企業側はその場で当該課目の詳細を説明することができますし、マーカーや付箋が残れば担当者はデスクで稟議書を書くときにまた思い出してくれます。融資に有利に働く要素なら、稟議書でかならず言及するでしょう。金融機関は基本的に、「貸したい」からです。
このようにマーカーや付箋を積極的に活用すれば、「借りやすい決算書」としてわかりやすくアピールできます。ただし多用は禁物、ポイントを絞って使いましょう。
ちょっとしたコツですが、士業・コンサルタントとしては顧客の事業主がスムーズに融資を受けられるよう、提出書類の小さな点まで細かくサポートしたいですね。
さて、次号『近代セールス12月1日号』(11月20発売)の特集名は、「社長がうなずく!補助金支援(仮題)」。「金融機関による補助金へのニーズ喚起・申請サポートの進め方」と「事業再構築補助金で話題になった根抵当権問題の背景」について解説する内容です。
そのなかで私は「担当者に必要な補助金申請の基本や事前準備、アプローチする際に伝えるべきことなど、基本的な進め方」について執筆しました。Amazonでは予約もできますので、ぜひご一読ください。とくに補助金申請サポートを行う士業・コンサルタントにおすすめです。
『近代セールス11月1日号』「決算書特集」を読めば、金融機関担当者の「決算書をチェックするポイント」を深く理解することができるでしょう。
金融機関の考え方を知ることができれば、よりスムーズに融資を引き出したり、金融機関から顧客を紹介してもらったりすることも容易になります。
そんな「金融機関の考え方」を学ぶためのヒントが手に入るセミナーです。
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