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担当者だけでなく、その上司(融資担当役席、支店長など)にも話を通しておきましょう。
こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。
ネクストフェイズが運営する一般社団法人融資コンサルタント協会では、会員からのメールや電話、ご来訪などによる個別相談にのったり、活動報告をいただいたりしています。
先日ある税理士会員から、「コロナ借換保証を使った同額借換」に関する質問をいただきました。
※なおネクストフェイズは、事業者への個別アドバイスを行っていません。ご相談のある事業者は、ネクストフェイズが運営する一般社団法人融資コンサルタント協会の会員を検索して気軽に連絡を取ってください。融資の専門研修を受けた融資コンサルタントが、全国に900名以上います
私の顧問先が現在、A信用金庫・B銀行それぞれで保証付きのコロナ融資を受けており、残高は以下のとおりです
●A信用金庫 500万円
(貸出期間10年/返済据置中/100%保証)
●B銀行 1,800万円
(貸出期間10年/返済中/100%保証)
先日、B銀行に現在借りているコロナ融資(1,800万円)を、コロナ借換保証を使った同額借換による据置期間の延長を相談したところ、担当者から断られたんです
「できないことはないが、書類を作成してもらわなければいけませんし、業績を見ると返済できない状況でもないので、ここはやはり返済を続けていただいて」 と…
それはお困りでしょう
同額借換に消極的な金融機関も少なくないのです
その後、A信用金庫の担当者に、B銀行から断られた内容を伝えたところ、こんな提案を受けました
「弊庫での保証付きコロナ融資とB銀行のコロナ融資を、弊庫で一本化した上、増額して、3,000万円で借換しませんか?
書類は私どもが作成します。据え置き期間もできるだけ長くとりますよ」
この話はヒガシカワさんのセミナーで聞いた、他行の保証付きコロナ融資を自行で一本にするという借換提案だと思うのですが…
おっしゃるとおりです
A信用金庫の提案は据え置き期間を延ばせる上、毎月の返済額も減らせますし、運転資金に使えるいわゆる真水も増加します。あなたの顧問先にとってメリットが大きいですよね
ただ、顧問先は借換をするにあたり、B銀行との関係悪化を気にしています
というのもB銀行にはまだ、コロナ融資以外にプロパー融資が2,000万円あって…
さらにB銀行については、前の担当者の時代からあまりよい印象を持っていないようで、信頼関係を築けているとは言えないのです
私としてはB銀行に行って、今回のA信用金庫からの提案を受けることを説明した上で借換を進めればよいと思います。ヒガシカワさんはどうお考えですか?
A信用金庫での一本化を、強くおすすめします
ただし、B銀行との関係を悪化させるわけにはいかないので、慎重に事を進めなければなりません
慎重とは、どのように?
今回の案件は、B銀行の担当者が今回の申し出を握りつぶしている可能性があります
稟議書を作成するのを面倒がっているのかもしれませんし、いずれにしても上司に相談していないのではと、私は疑っています
かといって、いきなりB銀行の上司と話をするのは得策ではありません。担当者が保身を図るために、あなたの顧問先について上司へあることないことを吹き込む可能性があるからです
そこでまずは、外堀を埋めることからはじめましょう
外堀を埋めるとは、具体的に?
ここからは、私がアドバイスした内容を文章でお伝えしましょう。
A信用金庫の担当者に「コロナ借換保証」の依頼をしても、上司に稟議が回った時点で断られる可能性がないとは言えません。
そこで確実に事を進めるために、今回の案件については、まずA信用金庫の「貸付担当役席(貸付の責任者)」もしくは「支店長」に打診をしてください。
案件の内容から、貸付担当役席か支店長がOKを出せば、確実に話は進んでいくと思います。
依頼する際は、このように話しましょう。
【A信用金庫との会話例】
B銀行とのおつきあいもあり、一度、B銀行さんと話します
なぜならB銀行さんにはプロパー融資が2,000万円弱残っていて、事を荒立てたくないのです
実際に話を進めるのはもう少しお待ちください
B銀行の反応によっては、借換を依頼しないこともあり得ます。その旨を事前に伝えておくことで、万一の場合でもA信用金庫さんの顔をつぶすことを避けられます。
A信用金庫に内諾をもらってから、B銀行の「貸付担当役席」宛に訪問し、このように伝えましょう。順番としては、以下のとおりです。
1/経緯の説明
2/経営者の意向を伝える
3/A信用金庫との現況を伝える
4/B銀行の判断を促す
以下の会話例を参考にしてください。
【経緯の説明】
弊社の担当者にコロナ借換保証制度を利用し、同額借換による据置期間延長をお願いしたところ、断られました。その後、A信用金庫に内容を伝えたところ、魅力的な提案をいただきました
●弊庫から貸している保証付きのコロナ融資とB銀行のコロナ融資を、弊庫で一本化した上で
●さらに増額して、3,000万円で借換しませんか?
●必要書類は弊庫で作成します
●据え置き期間もできるだけ長く取ります
【経営者の考えを伝える】
●A信用金庫の提案は、据え置き期間を延ばせる上、毎月の返済額も減らせますし、運転資金に使える資金も調達出来るため弊社にとってもメリットが大きいのです
●ぜひこの提案を受けたいと思っていますが、御行に相談せずに話を進めてしまうと、御行に申し訳が立ちません。そこでまず、この提案を受けてもよいか、相談に伺わせていただいた次第です
【A信用金庫との現況を伝える】
●A信用金庫さんは急いで進めてくれていますが、「B銀行さんに相談するまで待ってほしい」とお願いしています
【B銀行の判断を促す】
●このまま進めてよければ、A信用金庫にその旨お伝えします。A信用金庫に、御行のコロナ融資の肩代わりをしてもらってもよろしいでしょうか?
もし貸付担当役席が知らない話だったら、「ちょっと待ってください。もう一度、当行でも検討させていただきます」と言うでしょう。その場合は、B銀行でも同じ内容での提案となると思います。
が、あらためて提案をいただくなら、A信用金庫よりも有利になる提案を出してもらうようお願いしましょう。同じ条件だと、A信用金庫に申し開きがしにくいからです。
担当者が握りつぶさず今回の案件を上司に相談の上で断っていた場合は、「金融機関の方針」「支店の方針」と言うでしょうから、今回の相談をしても再提案はしてくれないと思います。
その場合は、「ではB銀行に相談して許可をいただきましたので、A信用金庫の提案を受けます」と伝えれば、B銀行に対する義理は通したことになります。
「勝手に話を進めた」のではなく、「相談したけれど対応してくれなかったので、仕方なく借換を行った」という形なら、B銀行も納得して関係悪化を防ぐことができるでしょう。
今回の案件のように、B銀行の対応に不満があってもまずは「(担当者ではなく、その)上司への相談」は行うべきです。
先述のとおり「担当者が上司に相談せず、独断で案件を握りつぶす」事例はよくあります。そんな状況で「御行が対応してくれないので他行で借り換えします」と事業者が行動しても、上司には「何を勝手に」「恩知らず」と受け取られるおそれがあります。
しかし上司に相談して経緯を伝えれば、担当者が案件を握りつぶしていたことを上司は知り、融資先に申し訳なく思うことはあっても、悪く思われることはないでしょう。
逆に、「気遣いが感じられた、筋を通してくれた経営者」と思ってもらえるため、その金融機関からの評価が上がことも期待できます。
融資に関する大事な話は担当者にだけではなく、かならず「貸付担当役席」や「支店長」にも話を通しておくことが重要だと心得ましょう。金融機関での顧問先の評価を上げることも、支援する士業・コンサルタントの務めのひとつです。
2024年1月現在、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」も、また保証協会の「コロナ借換保証制度」も、2024年3月末で終了する予定です。
この両制度が終了すると、「同額借換による据置期間の延長」ができなくなります。そうなると、「無理にでも返済を行うか」「リスケを依頼するか」の二択になってしまい、いずれの方法をとるにしても経営に大きな負荷がかかります。
2024年1月の今なら、まだ「同額借換」の依頼は可能です。
この「同額借換」、2023年春ぐらいまでなら公庫も保証協会も比較的スムーズに認めてくれていました。今はなかなか難しくなりましたが、説得力のある説明資料を添付すれば、道は拓けます。
といっても同額借換を認めてもらうための説明資料を、書類づくりに慣れていない経営者が自作するのは難しいでしょう。このように事業者の資金調達に士業・コンサルタントのサポートが必要になる場面が、今後増えてきます。
そんな「同額借換による返済据置期間を延ばす」ためのヒントが手に入るセミナーです。
※融資に関する質問などにもその場でお答えします
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