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省力化投資補助金の「つなぎ融資」に資本性ローンは活用できるか? 制度見直しと現場ヒアリング

事業者からのニーズは高いものの、利用ハードルが高かった資本性ローン。今回の制度見直しで、省力化投資補助金の「つなぎ融資」に活用しやすくなる可能性が高まりました。

こんにちは。株式会社ネクストフェイズのヒガシカワです。

2025年2月末で、日本政策金融公庫の「コロナ資本性劣後ローン」が終了します。その後、「通常資本性劣後ローン」の見直しにより、省力化投資に取り組む事業者が対象に追加されることになりました。

この変更により、省力化投資補助金の 「つなぎ融資」 として資本性ローンを活用できる可能性が高まったと考えられます。ただし、実際の融資の現場でどのような対応になるのかは不透明な部分もあります。

本記事では、日本政策金融公庫の担当者へのヒアリングを行いながら、最新の情報を整理しました。

※なおネクストフェイズは、事業者への個別アドバイスを行っていません。ご相談のある事業者は、ネクストフェイズが運営する一般社団法人融資コンサルタント協会の会員を検索して気軽に連絡を取ってください。融資の専門研修を受けた融資コンサルタントが、全国に1,000名以上います

補助金のつなぎ融資では、必要額全額の融資が難しかった

これまで補助金を活用する企業がつなぎ融資を受ける際に、事業に必要な全額を借りるのは難しい状況が続いていました。

とくに 「事業再構築補助金」 のつなぎ融資では、金融機関が 「補助金として支給される金額のみ」 を融資対象とし、事業に必要な全額の融資を受けられないケースが多く見られました。

この背景や対策については、過去のブログ記事をご覧ください。

資本性ローンを活用すれば、全額融資が可能になるのか

省力化投資補助金の場合、資本性ローンを活用することで事業に必要な全額を融資できる可能性があります。その理由として、「資本性ローンの利用目的」と「省力化投資」の親和性が高いことが挙げられます。

中小企業庁が公表した 「今後の中小企業向け資金繰り支援について」 に、以下の旨が記載されています。

「通常資本性劣後ローンの対象に、省力化投資に取り組む事業者を追加し、事業者の成長を支援する」

今後の中小企業向け資金繰り支援について|中小企業庁

2025年2月末の「コロナ資本性劣後ローン」終了後、省力化投資を行う企業は「通常資本性劣後ローン」の対象者となります。この変更により、補助金額に関係なく事業に必要な全額を融資できる可能性が考えられます。

資本性ローンを利用するためには「利益向上」の計画が必須

資本性ローンは、もともと「財務体質の強化」を目的とした融資制度です。そのため「資金繰り改善」のためだけの申請では、融資が通りにくい傾向にありました。

「財務内容が悪く、民間金融機関から融資をしてもらえない企業」が資金繰り改善を目的として申し込んでも、そのような申請理由だと資本性ローンによる融資が通ることは滅多になかったのです。なぜなら資本性ローンでの調達は、資金繰り改善に寄与しても、収益改善に寄与するとは考えられなかったからです。

資本性ローンを借りた当初の資金繰りは改善しますが、それだけでは利益が増えるような経営改善につながることがないため、一括返済期日が到来したときに返済できないだろうと判断されることが多かったのです。

実際に私も多くの企業の資本性ローン申請をサポートしてきた経験から、以下のような認識でいます。

  • 「財務体質や資金繰りの改善」 を理由にした申請は、ほとんど通らなかった
  • 「売上や利益を向上させる取り組みのための資金」 を理由にした申請は、比較的通りやすかった

省力化投資は「利益を増やす取り組み」として見なされる

省力化投資は「人員を増やさずに生産性を向上させる」ことを目的としており、結果的に利益向上につながる可能性が高い取り組みです。

また、省力化投資の効果が出るまでに時間がかかるため、長期間の返済が可能な資本性ローンは最適な資金調達手段のひとつだといえるでしょう。

金融機関に対しては、

という計画の根拠を示せば、資本性ローンの審査が通りやすくなると考えられます。

融資の現場での対応はどうなのか – 日本政策金融公庫に聞いてみた

資本性ローンの拡充により、省力化投資補助金のつなぎ融資が受けやすくなるのか、知り合いの日本政策金融公庫の担当者に尋ねてみました。

① 制度はまだ開始されていないため、使いやすくなるかは不明

「この制度は使いやすくなりますか?」と尋ねたところ、次のような回答がありました。

「そうなってくれればよいとは思っていますが、今のところどうなるか私たちもわからないのです」

現在のところ具体的な運用は決まっておらず、実際に使いやすくなるかどうかは未確定のようです。

② 案件ごとに判断、全額融資の確約はできない

「省力化投資補助金を活用する場合、必要額の全額を融資してもらえますか?」との質問には、以下の回答でした。

「案件自体の内容を確認した上で、補助金額のみにするのか、全額を対象とするのか判断させていただきます。
省力化投資だからといって、必要額全額を融資するとはお約束できません。あくまでも案件次第です」

金融機関の審査基準として、補助金の対象となる事業内容返済計画を慎重に確認する必要があるため、もちろん一律に全額融資を受けられるとは限りません。金融機関ですから、断定的な回答ができないのは当然でしょう。

③ 民間金融機関ではまだ、この制度の認知度が低い

また一方、ネクストフェイズが運営する一般社団法人融資コンサルタント協会所属の士業・コンサルタントからは、以下の報告がありました。

  • 複数の金融機関に対してこの制度について説明したところ、 民間金融機関で「資本性ローンの拡充(省力化投資への対象追加)」を知っていた担当者はいませんでした

現時点では金融機関側にも十分に情報が行き渡っていないため、申請時にスムーズに対応してもらえない可能性があります。それだけに、中小企業を支援する士業・コンサルタントの側が新しい情報をおさえておきたいものです。

まとめ – 省力化投資補助金のつなぎ融資に資本性ローンは使えるのか

  • 資本性ローンの対象拡大により、省力化投資補助金のつなぎ融資に活用できる可能性がある
  • ただし現在のところ、日本政策金融公庫の担当者も「運用がどうなるかは未定」と回答
  • 金融機関の審査次第では、補助金額のみが融資対象となる可能性もある
  • 民間金融機関では、まだこの制度の認知が進んでいない

今後の運用状況を注視しながら、 金融機関とのコミュニケーションを続け、適切な資金調達の提案を行うことが求められます。私も新しい情報を得られたら、今後もこの場で共有していきます。

資本性ローンを活用した資金調達支援も視野に

省力化投資補助金の申請支援を行っている士業やコンサルタントは、 資本性ローンを活用した資金調達支援 も併せて提供することで、次のようなメリットが期待できます。

  • 補助金獲得支援に加えて、追加報酬を得られる
  • 資金調達支援の実績を積むことで、融資ニーズに応える新規案件の獲得につながる
  • 公庫の資本性ローンを皮切りに民間金融機関からの資金調達支援業務に発展する可能性がある

結果的に、 「単発業務」から「継続的な顧問業務」へとつなげるチャンス にもなります。

そんな「融資による資金調達支援」ができる専門家になるために必要な知識が学べるセミナーです。

※融資に関する質問などにもその場でお答えします

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